新型インプレッサ試乗記「コイツはとんでもない傑作だ!」 [2016年10月21日更新]
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ブレーキは、パッドが吸い付くような精緻なフィーリングが秀逸。
そして、ブレーキ。何でしょうか。この精緻なフィーリングは。パッドがローターに吸い付くように、挟み付けていく感覚が分かります。初期制動がグッと立ち上がり、しかも僅かな踏力変化で自在に制動力を制御できます。もうつま先で直接、ローターを挟んでいるかのよう。新型インプレッサのブレーキを掛けたのは、これが初めてなのに・・・。
ここで、微小舵角のフィーリングをチェック。右に左に15度ほどの舵角で操舵を繰り返し、操舵応答性を確かめます。なるほど、そのフィーリングは著しくリニア。スパッと切れる、というほどではありませんが、スッスッととてつもなく素直。それでいて、しっとり。動的質感、まさに言い得て妙。走りがいい、だけじゃない。走りが愉しい。そんなレベルに進化しています。
ここで、試乗は終了。再び、出発点に戻ります。小生の頭は完全に混乱し、ヒザは少し笑っています。既に、この時確信していました。
スバルは、トンデモナイものを作った、と。
いつでも、コントローラブル。いつでも、余裕綽々。
続いて、本コース上での高速試乗。新型インプレッサはサーキット上で一体どんなポテンシャルを見せるのでしょうか。もう、期待に胸が張り裂けんばかりの小生。再び乗り込むと、サーキット走行用にシートとステアリング位置を近めに調整。シートベルトを締めて、シートに体をうずめてホールドさせる。次に、電動サイドブレーキを開放して、セレクトレバーをDレンジへ。ブレーキをリリースすると、今回の先導車であるWRX S4を追ってコースに出ます。
鈴鹿ツインサーキットはコース幅も広く、走りやすい印象。路面はまだ新しく、非常にスムーズ。高速コーナーこそ無いものの、左に荷重を残してのターンインとなる2コーナーなど、ボディバランスが肝要なコースレイアウトです。
1コーナー先をアウト側から合流すると、ブレーキングして右にターン。180°回り込んでいく2コーナーを、素直にターンしていく新型インプレッサ。立ち上がりで3コーナーの縁石をかすめて左右の複合コーナーへ進入。荷重が右に残りつつのブレーキングでも、ブレることなくきれいに進入していきます。右のヘアピンコーナーではいとも簡単にクリップを捉え、多めに縁石に乗せても盤石の立ち上がり。加速しつつ、シケインへ。左・右と大胆に縁石を使っていきます。スタンスタンッと軽くこれをクリア。10コーナーでS4を眼前に捉えながらのブレーキングでも、極めてコントローラブルなので全く不安はありません。その先の12コーナーのヘアピンではS4とは違うラインで進入させますが、舵角の修正で容易にラインをコントロールしていけます。もちろん、前走のS4は全開ではないでしょう。しかし、コチラもまったく余裕綽々。クロスラインでインに飛び込めそうな、そんなマージンがあります。
完全なる人馬一体感。
特に感心したのは、クルマとの強い人馬一体感。新型インプレッサは動きが極めて正確なため、その挙動が余裕をもって予測可能。それ故、多少プッシュしても常に安心して攻めていけるのです。
次に、舵角の小ささ。スッとインにノーズが入るので、大舵角で回り込む必要がありません。これはちょうど、セッティングが完璧に決まったレーシングカーと同じフィーリング。コーナリング中も、ブレーキング中も自在にラインコントロールが可能。ターンインも一発でラインが決まります。高速シケインもスッスッと切れば、パンパンとキレイに縁石を飛んでいきます。シャシー剛性が高いため高G下でもボディがよれず、それゆえタイヤが正確に路面を捕らえられるのです。
タイトコーナーでアクセルを開けていけばトルクべクタリングが作動し、ヨーが増強されてレコードラインをキープしていきます。電気じかけの違和感は微塵もなく、極々自然にグッ―と押し出すようにトラクションが掛かっていきます。素晴らしいの、一言。
これは本当にファミリーカーなのでしょうか?ボディは弱音を吐く気配すら見せず、高G下でもグリップにまだまだマージンを残しています。ロール角が深くなっても底付き感はまったく無く、アウト側の縁石に乗せてもしっかりダンピングが効いています。決して馬脚を現さない、恐ろしく深いシャシーのキャパシティです。