スバルがWRCに復帰!?その噂の真相に迫る。 [2019年11月24日更新]
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スバルのWRC復帰を阻むのは、水平対向エンジン!?
スバルは、モータースポーツに参加する理由として、市販車へのフィードバックを挙げてきました。レースフィールドを通じて、市販車技術を鍛える。それを参戦意義の中心に置いてきたのです。ところが、FIAが考えていることは、前述の通り全く逆です。FIAはレースカーと市販車を切り離したいのです。市販車に見えて、市販車ベースではない車両が、拮抗したレースを繰り広げる。それが、FIAの理想なのです。
これでは、スバルの理想は達せられません。役員会議で参戦計画を棄却する格好のイイワケになることでしょう。
現代的なレーシングエンジンの典型例は、GRE(Global Race Engine)と呼ばれる、レース専用設計の直列4気筒直噴ターボです。2000ccならば、SuperGTのGT500とDTM、Super Formulaに。1600ccならば、WRC、TCRに使用可能です。レース専用設計のため、自身で開発せずとも、外注で安価に調達することも可能です。
スバルにとって問題となるのが、レース専用のGREでは市販車との相関性は完全に絶たれてしまうこと。そして、更に問題となるのが、スバルが絶対に譲れないであろう水平対向エンジンです。GREでは、余計な開発が行われぬよう、エンジン形式を直列4気筒に限定しているのです。
つまり、上記カテゴリーに参戦するのであれば、直列4気筒を用意せざるを得ないのです。果たして、スバルが水平対向エンジンを諦めてまで、WRCに参戦する動機、そして価値はあるのでしょうか?
現経営陣を説得できるだけの熱い思いを持った漢が、スバルに居るのか。。。
スバルに売り込みを行っているのはプロドライブではなく、現在はフォードのワークス活動を担っているMスポーツだと言われています。2022年規定に合わせ、フォードよりも「信頼できる」提携先を探しているのでしょう。つまり、スバルのWRC復帰を望んでいるのは、スバルではなく、Mスポーツの方だということです。
前述の通りWRCの2022年規定は、スバルの望む市販車技術との相関性はほぼありません。直列4気筒直噴ターボを搭載し、スケーリングされたプロトタイプカーで出場することになるのです。スバルは、モータースポーツに対する取り組みそのものを転換せねばならないのです。
メーカーとしてのポリシーを変えてまでWRCに出場するには、強力な推進力が不可欠です。WRCに出場し、そして制覇する。そんな強い夢を持ち、周囲を説得できる強さを持った人物。そう、かつての久世氏のような熱血漢が居なくてはなりません。しかし、そんな漢が今の恵比寿にいるのでしょうか?
レヴォーグにMTを出せ!とも声を挙げられず、フォレスターにターボは不可欠!とも言えず、STIの体制を増強すべき!とも言えなかった面々なのですから。。。
スバルWRC復帰を求めるのなら、恵比寿に言うしかない。
社内に漢の中の漢が居ないのなら、外圧に頼る他ありません。
スバルのWRC復帰を求める強い原動力。それが、提携先のトヨタです。現在のトヨタのWRC活動は、豊田章男社長直々に参戦を決断したものです。各イベント毎に、自らコメントを発出。そればかりか、多忙の合間を縫っては現地を訪れ、ラリーチームの激励さえも行っています。そして、長年の活動が実を結び、来年には愛知県にWRCがやってきます。モリゾー氏の公道からは、ラリーに対する強い思いがありありと伝わってきます。そのモリゾー氏は、スバルに対して直接WRC復帰を促していると言われます。
トヨタが、強力にWRCをプッシュするのには、実は戦略的な理由があります。
欧州メーカーは、猫も杓子もEV一直線。しかし、拙速なEV化は、一歩間違えばコモディティ化を招きかねません。トヨタが恐れているのは、自動車のコモディティ化による自動車産業の構造崩壊なのです。
クルマに憧れを授け、もっと良いクルマを買いたいと思ってもらう。それには、子供の頃からクルマに憧れが無くてはなりません。WRCは、子供たちにクルマを「カッコいい」と思わせるには、最高のフィールドなのです。それ故、トヨタはWRCを強力に推進しているのです。
トヨタは、現在FIAに対して強力な立場にあります。WECとWRC、2つの世界選手権が維持できているのは、トヨタのお陰だからです。逆に言えば、トヨタの意向があれば、2022年規定に水平対向エンジンを参加させる事も可能になるかも知れません。
何れにしても、現経営陣はWRC復帰を決して歓迎しないでしょう。これに打ち克つ漢が、スバルに果たして居るのか。社内の奮闘に期待です。スバルファンの皆さんは、ぜひ恵比寿に熱いラブコールを。