家にいよう。特別企画 クラブ・スバリズム歴史発掘!技術的偉業10選 第9弾「VW TypeI」 [2020年04月25日更新]
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バックボーンフレームで全ての応力を負担する。
1946年。ドイツ復興とTypeI。Bundesarchiv, Bild 183-S74749 / CC-BY-SA 3.0 / CC BY-SA 3.0 DE
TypeIの主要骨格は、Y字型の鋼管製バックボーンフレームとフロアパンで構成されます。構造強度は、すべてこのシャシーで負担する設計であったため、甲虫型のボディを下ろせば、様々に派生型を生み出すことが可能でした。ドライブトレインはコンパクトにまとめられて、リヤに搭載されています。そのため、フロントは極めてシンプルな設計となっています。エンジンは、1.0Lの強制空冷式の水平対向4気筒OHV。意図的に低回転特性とされたために、世界各地の酷使に耐えうる抜群の信頼性を誇りました。
博士は、ナチスの協力者として囚われの身となります。当初、その功績を鑑み、連合国側は厚遇で博士を迎えました。シトロエン・4CVには助言を与えたとされます。
しかし、政情の変化により、博士はディジョンの刑務所に1年7ヶ月収監されることになります。息子フェリーはグランプリカーの設計で得た資金を保釈金とし、1947年8月1日に博士は漸く自由の身となります。
息子フェリーの手により、ポルシェが誕生。
息子フェリーの手によるPorsche No.1。博士自身はポルシェを手掛けたことはない。Alexander Migl / CC BY-SA
高齢の身には、刑務所での生活は耐えられるものではありませんでした。博士の体力は既に限界を超えており、もはや回復の見込みは残されていなかったのです。
1948年、フェリーの手により「ポルシェNo.1」と名付けられた試作車が完成します。これは、戦時中に試作された速度記録車のメカニズムを踏襲するもので、TypeIをベースに、アルミニウム製オープンボディが架装されていました。これこそ、後のポルシェ・356の原型となるモデルです。356は1950年に量産が開始され、15年に渡って生産が続けられた、歴史的なモデルとなります。以後、ポルシェは世界有数のスポーツカーメーカーへと成長を遂げていくことになります。
1950年6月3日、欧州全土から50台のポルシェ・356を招き、博士の75歳の誕生日会が華やかに催されます。しかし、博士の体はもう限界でした。秋に脳梗塞を発症。翌年1月30日、静かにその生涯を終えたのです。