ホンダ+日産=?国内自動車産業、再編の先を詠む。 [2024年12月27日更新]
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どんでん返しはある?未だ明確でない、三菱自動車とルノーの意向。
ルノーは、実に不思議なOEMである。2025年、アルピーヌF1はメルセデス製エンジンを使用(!!)するという。Steffen Prößdorf, CC BY-SA 4.0
今回の経営統合に関しては、依然として不確定要素があります。それは、三菱自動車の動向とルノーの思惑です。
三菱自動車は、実に不思議な会社です。小生は20年近く前にせっかく株を購入したのに、株価が半減した経験があるのですが、その間なぜか社長はずっと同じでした。株価が半減しても経営責任が問われないというのは、実に財閥企業らしいと言えます。
他にも不思議なことがあります。設備導入の際は、必ずグループ企業の製品を優先的に購入しなければならない、面倒な暗黙ルールが存在します。そのため、外部の設備を導入したい設備担当者は、仕様書作りに必死にならねばなりません。でないと、仕様とちょっと違うスリーダイヤモンド製品が届くことになるからです。(一方で、三菱電機のサービスカーは全てスズキ・エブリィとのこと。。。)他にも、部長以上はお上から降ってくるとか。。。このような不思議な事が盛り沢山の会社ですから、経営統合と言えども、お上のご意向を伺わねばなりません。
この状況は、日産の提携先のルノーも同じです。ルノーは何しろ国営企業。その経営方針を決めるには、大統領の決断と議会の承認が必要。取締役会で決すれば、、、という風に、事が単純には運ばないのが、この会社の不思議なトコロ。
そもそも、ルノーが経営不振の日産に手を差し伸べたのは、アジア市場と米国市場を考えてのこと。小型車中心のルノーは、日産のプラットフォームを活用することで、これら市場での競争力を確保することを望んだのです。この試みは一応の成功を収め、少なくないシナジー効果を生み出しました。ところが、近年では対等な資本関係を望む日産の意向を受け、ルノー保有の日産株を日産が自社株買いを行い、ルノーの株式保有率は年々低下する傾向にあります。共同購買契約を解消するなど、関係の希薄化も進んでいました。ただ、ルノーは依然として日産株の36%を保有する大株主です。
一筋縄で行かぬ、かの国のこと。経営統合の最終段階に至って、鴻海精密への保有株全ての売却に関して日産の承認を求めて提訴、なんてどんでん返しがあるやも知れません。
何れにしても、日産は軽自動車生産を三菱に、経営権ではルノーに深く依存しているのであって、自らの存念だけでは如何なる身の振りも決められぬ立場にあることだけは確かです。寧ろ、三菱・ルノーの存在と意向を無視して合併協議が進む方が不自然。双方の出方次第では、婚約破棄さえあり得ることは考えておく必要があるでしょう。
ケイレツをバッサリ切った日産に襲いかかる、手痛いツケ。
1997年、ルマンにチャレンジした日産・R390。ボディに描かれたスポンサーロゴの多くは、日産のケイレツ企業。しかし、その殆どは過去帳入り。。。Martin Lee from London, UK, CC BY-SA 2.0
ホンダと日産の経営統合は、北関東の自動車産業に致命的な打撃を与えることでしょう。性能・信頼性で圧倒的に優位に立つ西三河勢に対し、価格で何とか対抗してきた北関東勢。しかし、経営統合によって調達が一本化されれば、調達先数もバッサリ半減するはずです。ホンダ系サプライヤが、日立Astemoに統合されたように、旧日産系サプライヤの統合、場合によっては倒産事例が多発するやも知れません。
考えてみれば、デンソーもカルソニックも同じ「ラジエータ屋」でした。しかし、デンソーが世界のDENSOへ躍進したのに対し、カルソニックはマレリに買収された後に経営破綻に至っています。一体、その差は何処で生じたのでしょうか。
トヨタは、自身の技術開発の機会にサプライヤを巻き込むことで、ケイレツ丸ごとの技術進化を実現してきました。だからこそ、トヨタは世界随一の高い信頼性を実現しつつ、難しい技術変化にも対応する高い柔軟性を有しているのです。つまり、トヨタの強さはトヨタ本体ではなく、トヨタのケイレツ全体で育んできたものなのです。
所帯の小さなスバルでさえ、ケイレツを守るのは当然の努めとばかりに、アイシンと共同開発する次世代e-Axleの生産を坂本工業へ委託。ケイレツを保護する姿勢を鮮明にしました。ホンダも、SHOWAと日立オートモーティブの経営統合を支援。日立Astemoとして、ケイレツは再出発を図っています。それに引き換え、日産はカルソニックが経営破綻に至るのを、ただ座視していました。
ケイレツとは、江戸幕府で言えば旗本。大名では家臣。禄を食む家臣らは、いざ戦となれば、命尽き果てる最期まで忠心を尽くすのが務め。しかし、日産がケイレツをバッサリ切ってしまった。。。家臣が居なくては、平時は宜しくとも、有事に際して大名が務まるはずがありません。つまり、日産は今や丸腰も同然。殿が危急の事態に陥っても、シンガリを名乗り出る家臣は、何処にも居るはずがないのです。
OEMは今や、技術の大半をメガサプライヤに依存しています。サプライヤは部品屋でも、お手伝いさんでもなく、コア技術を提供するパートナー。「技術の日産」は過去のハナシと言われるのも、無理からぬことでしょう。
荻窪、村山、消えていった日産の影。次は、何処が。。。
如何にすれども、ホンダ・日産の経営統合は実行されるでしょう。日産にとってそれが例え不本意であったとしても、他に選択肢はないように思えます。それもこれも、自らの失策がもたらしたもの。悲しいことですが、日産という企業体はホンダに取り込まれた後、やがて溶けて無くなっていくことでしょう。かつて、プリンス自動車を溶かし込んだ日産が消えるのです。歴史とは、実に皮肉なものです。
横浜、銀座、厚木、追浜、座間、栃木、、、、日産の拠点の数々は、この後どうなるのでしょうか?荻窪、村山のようにならなければ良いのですが。世紀の企業合併が幸多からんことを願わんばかりです。
追伸:スズキを世界に、鈴木修氏死去。
2024年12月27日、国内自動車産業界の巨人、鈴木修氏死去。が亡くなりました。鈴木修氏は生前、自身の死後はスズキをトヨタに任せる、と発言していることから、今後の動向が注目されます。ダイハツとスズキが合流し、ホンダ+日産+三菱と国内軽自動車開発が二極化される可能性があります。