富士重工、次期陸上自衛隊多用途ヘリコプターを受注。 [2015年09月02日更新]
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最新型のUH-1で、UH-1を置き換える。
2015年7月17日、防衛省は陸上自衛隊多用途ヘリコプターUH-1Jの後継機「UH-X」の開発事業者に、富士重工を主契約者として選定したことを発表しました。主契約者としての新型航空機の受注は「色々あった」2001年の攻撃ヘリ「AH-64Dアパッチ」以来となります。
今回、富士重工はベル・ヘリコプターと共同でこの機体の発展型で応札し、受注に成功しました。今回開発されるUH-Xは、ヒューイシリーズの最新型である双発型(エンジンが2機)のベル「412EPI」をベースとしています。置き換え対象の機体がUH-1HおよびUH1-Jですから、「見た目が同じ機体」を置き換えていくことになるわけです。契約の初年度は2021年で、1機12億円で150機納入する契約です。
UH-1シリーズは、米国のベル・エアクラフトが開発したヘリコプターで、1955年に原型機が初飛行したという、非常に歴史ある航空機です。ベル「ヒューイ」の民間機名を持つこのヘリコプターは、西側諸国を中心としたベストセラー機で、シリーズ累計は10,000機以上に達しています。みなさんも、警察ヘリや消防ヘリなどできっと目にしたことがあるはずです。
傑作ヘリコプターは、これからも現役。
初飛行から60年を経過して、さらなる発展を遂げる脅威の航空機であるこの「ヒューイ」とはどんなものなのでしょうか。
原型となるモデル「204」は、米陸軍の汎用ヘリコプターの開発要求に応じて開発された機体で、1956年に初飛行。後に制式採用となり、1959年6月から米陸軍で「HU-1」として運用を開始しています。1962年には、早くも日本で富士重工がライセンス生産を開始しています。その後、世界各国で続々と採用された後、今でも日本をはじめとした各国で主力として運用されて今に至ります。
米陸軍では、1976年に後継機としてUH-60ブラックホークを採用したために、その後運用を終了していますが、1976年に米海軍がUH-1の発展型で、エンジンを2機に増やして洋上飛行の安全性を向上させたUH-1Nを発注しており、現在も運用を継続しています。このUH-1Nは、エンジンをさらに新型に換装したUH-1Yに改造して、数十年に渡り運用が継続されます。
胴体の延長や、エンジンの換装、コックピットのデジタル化など、全く別の中身に生まれ変わりつつも、21世紀中盤まで運用が継続されることを考えると、驚異的なことです。そして、さらに新たなバージョンが開発されようとしているのです。この機体は、民間型への発展を考慮して開発されるようですから、20世紀後半に入っても世界のどこかで「ヒューイ」の姿を見られることでしょう。