「技術ミーティング」分析第二弾。〜2030年死亡交通事故を目指して〜 [2020年02月23日更新]

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「技術ミーティング」分析第二弾。
 
2020年2月23日 2030年死亡交通事故ゼロを目指すスバル。

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文責:スバルショップ三河安城 和泉店

お問い合わせ:0566-92-6115

担当:余語

 

新たな時代へ向けて、今スバルが踏み出す新たな技術領域。2030年死亡交通事故ゼロへ向けて。

2020年1月20日に、報道関係者を対象に「SUBARU 技術ミーティング」を開催しました。この中で、いくつかスバルは重要な情報を公開しています。これらの情報と過去に公開された情報を合わせ、スバルのロードマップを分析していきます。

スバルが取り組む技術開発領域は、主に3分野に大別されます。一つは、動的質感をキーワードにした走りの進化。2つ目は、2030年の死亡交通事故ゼロを公約とした安全技術。そして、最後が、脱炭素社会の実現への貢献を果たすための環境技術です。

スバルは、「人を中心に考える。使う人にとって何が大切かを考えつくす。そして、クルマに新しい価値を生み出す。これが『SUBARUらしさ』であると私たちは考えます。」としています。スバルは、これら重要開発領域を最優先にしつつ、自らの個性を磨きつつ、長年培ってきたクルマづくりを進化させ、新たな時代へ挑戦していくことになります。

今回は、第2弾として「2030年死亡交通事故ゼロ」を目指した取り組みを詳しく見ていきます。

 

新たに示された、スバル車の市場における死亡交通事故実態のデータ。

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交通事故の根絶、それは自動車エンジニアにとって究極の目標です。近年、ADASの普及により、交通事故件数は漸く減少を始めました。しかし、それでも根絶に至るまでには、果てしない努力が必要です。

そもそも、世界広しと言えども、毎日事故を起こすのが当たり前の乗り物なぞ、自動車以外にありません。航空機や鉄道、船舶がそうであるように、たった1件の事故であっても、本来それは決して許されることではないはずです。何があっても、事故が起きないように。事故に至らないように。そして、少なくとも致命的事態にならないように。。。それはすべての自動車エンジニアに与えられた責務です。

スバルが今目指しているのは、「2030年死亡交通事故ゼロ」です。これは、「SUBARU乗車中の死亡事故およびSUBARUとの衝突による歩行者・自転車等の死亡事故をゼロにする」というものあり、現時点では非常に野心的な技術目標だと言えます。

スバルは、今回の技術ミーティングの中で、非常に重要なデータを示しています。それは「スバル車の死亡交通事故実態」と題されたもので、米国及び日本国内に於ける、過去5年の販売者について、スバル車及び主要ブランド車の死亡事故発生数を比較したものです。これによれば、米国では主要販売ブランドの平均が100万台あたり108なのに対し、スバルは59。日本国内では、国内メーカー平均の62に対し、スバルが50。スバル車は、平均値よりも充分に良好な数値を示しています。

ただ、それでもスバル車で絶命する人が確実に存在するのは確かです。平均より良好であったとしても、それは決してゴールではありません。

 

スバルがこだわり続けてきた、4段階の安全技術。そして、安全技術は未来へ。

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スバルは長年に渡り、強いこだわりを以て、安全技術に注力してきました。安全技術をステージ毎に4段階へ分類。それぞれの段階に於いて、不断の努力を続けてきたのです。

中でも、特別なこだわりを以てスバルが力を入れてきたのが、「0次安全」です。0次安全とは、運転を未然に防ぐための技術。運転のしやすいクルマは事故になりにくい。だからこそ、すべてのクルマにスバルは良好な視界と分かりやすい操作系を与えてきました。たとえ、エクステリアがパッとせず、インテリアが地味でも。。。スバルは0次安全を、メルセデスやボルボが既に放棄した「クルマづくりの戒律」を、今も頑なに守り続けているのです。

スバルはこうした基礎的な取り組みをさらに深度化させつつ、新たなテクノロジーの導入によって、事故リスクの一層の低減を図り、死亡交通事故ゼロを目指します。

スバルが「2030年死亡交通事故ゼロ」を目指すのならば、10年後に走行しているすべてのスバル車に、死亡交通事故ゼロを実現する技術を授けねばなりません。車両の平均寿命を考慮すれば、向こう数年内にはすべての販売車の安全技術を「死亡交通事故ゼロ」レベルに引き上げねばならない、ということになります。

ただ、期待の新技術であっても、一朝一夕には市場投入はできません。安全性と安定性、そして耐久性・耐候性を確実に実証せねばなりらないからです。つまり、要素技術としては現時点で完成域にない限り、数年内の市場投入は不可能です。逆に言えば、スバルが2030年死亡交通事故ゼロを宣言するからには、技術的には既に達成見込が立っている、ということでもあります。

一方で、疑問も残ります。対象にダイハツ製車両やクラシックカーを含むのでしょうか?もちろん、これらすべての車両の死亡交通事故ゼロを目指すとしても、アンコントローラブルな領域が多く不可能でしょう。もしかすると、「SUBARU」と記述するのは、2017年4月以降に製造された車両、との意味を含んでいるのかも知れません。

 

自車起因・他車起因を問わず、車内・車外を問わず。スバルは究極の安全性能を目指す。

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スバルは他車起因も含めて、死亡交通事故ゼロ達成を目標としています。0次安全及び予防安全技術は、自車起因の事故発生を抑止するものです。よって、他車起因の事故については、回避運動を行うための走行安全、衝突時の受傷を最小限に留める衝突安全、双方の技術領域の進化がカギとなります。

そもそも、他車起因とはドライバーのコントロール範囲外を要因とする事故であって、本来自車側の努力で防ぎ切れるものではありません。しかし、これをゼロとするのならば、相手側の損害まで軽減することを考慮して、革命的な技術的進化を成し遂げる必要があります。

日本国内に於いては、死亡重傷事故のうち44%を歩行者/サイクリスト(自車起因)が占めています。これに続いて多いのが、出合い頭(他車起因)で23%。少なくとも、これらをゼロとする技術を確立するには、まずはこの2タイプの事故を根絶するのが当面の課題となります。

スバルは2016年以降、世界初の試みとして、歩行者保護エアバッグを標準採用しています。歩行者保護エアバッグは衝突安全技術の一つであり、スカットル部及びAピラーへの衝突によって生じる歩行者の頭部に対する致命的傷害の回避を図るものです。衝突をバンパーの圧力センサーで感知。人間と思しき衝突物体への衝突時のみ展開させます。歩行者保護エアバッグの導入により、アイサイトで対応できない事象での致命的傷害の発生を回避します。2020年代後半には、サイクリスト対応を実現。さらなる致死率低下を図るべく、研究を続けています。

また、2020年秋登場予定の次期型アイサイトでは、360度センシングを導入。これまで対応していなかった、出合い頭の事故等への対応を図り、より広いシチュエーションで予防安全技術の適用を図ります。

スバルはこの2点の技術進化によって、さらなる安全性能の向上を図り、死亡交通事故ゼロを目指します。

 

世界最高峰の衝突安全性能。その技術はアセスメントを超えて、全方位衝突安全へ。

一方、米国では様相は異なります。道路逸脱/車線逸脱/対向車線への逸脱(自車起因)・対向車線からの衝突(他車起因)といった事故が多く、これら合計で49%を占めています。広大な国土を有する米国では、歩行者/サイクリストと近接する機会が少ない反面、長距離ドライブでの居眠り等で車線を逸脱する可能性が高いことが想像されます。

自車起因の道路/車線逸脱に対しては、現状のアイサイトでも充分対応可能です。進路逸脱を抑制/防止すると共に、これをドライバーに警告。衝突が予想される場合はプリクラッシュブレーキを作動させ、衝突被害の軽減を図り、致命的傷害の発生を回避します。

一方、他車起因の事故では、早期発見/早期対処が欠かせません。ターゲットを早期に発見しつつ、その行動を予測。コリジョンコースにあると判断した時点で早期対処することが、致命的事故を回避・削減することに繋がります。ただ、道路法規を無視して走行する車両のふるまいを予測するのは、そもそも不可能です。であるならば、走行安全及び衝突安全技術向上によって致死率低下を図る他ありません。

米国のIIHSでは、スモールオーバーラップという最も厳しい衝突試験を課しています。これは、前面のたった25%のみをバリアに当てるもので、回避運動により互いがズレた状態で正面衝突した場合を想定しています。スバルは、このIIHSのアセスメントに於いて、9車種が「TOP SAFETY PICK+」及び「TOP SAFETY PICK」を獲得。世界で最も厳しいと言われるアセスメントで、世界最高峰の評価を受けています。

ただ、たとえ安全性能が世界一であっても、目標はさらに先にあります。リアルワールドでは、前面・後面・側面ではなく、斜め等様々な方向からの衝突事故に遭遇します。スバルは、単純なアセスメント対策を超えて、リアルワールドで実際に機能する次なる全方位の衝突安全性能の実現を目指し、研究を続けています。

 

スバルが目指すのは、アフォーダブルで信頼性の高い、究極の安全性能。

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スバルは、2020年に市場投入する新型レヴォーグに、360度センシングを実現する第4世代アイサイトを投入します。この新世代アイサイト開発に際して、スバルが最も重要視したのはアフォータビリティです。アイサイトの高性能化は当然価格上昇を招きます。しかし、それでは意味がありません。取得価格が高ければ、多くのユーザが装着を諦めてしまうからです。

そこで、スバルが選んだのは、たった4つのレーダ追加による360度センシングの実現でした。前後バンパーのコーナー部内側に、4個のレーダを設置。これだけで、360度方向の危険を探知します。

センサーは単純に数を増やせば良い、というものではありません。複数方式のセンサー情報を統合するには、各センサー情報の正確性が問題となります。センサーの特性によって、探知できる物体は異なるからです。もし、各センサー毎に情報が違った場合、どの情報を以て「正」と見なすのか。それが、センサー情報の統合における最大の課題です。

もし、この処理に誤りがあれば、「実在しない物体を誤って実在するものと判断し、不要なプリクラッシュブレーキが作動し、後続車の追突を誘発する」誤作動が発生します。これを回避するには、安全を鑑みて「鈍感」にするしかありませんが、折角のシステムの有効性は低下します。

スバルは、可視光線のみをソースとするステレオカメラ方式を採用。情報処理過程をシンプルにすることで、ADASを世界に先駆けて実用化しました。新世代アイサイトに於いても、この路線は踏襲されます。センサー数を最小限に留め、情報処理を限りなくシンプルにすることで、システムの信頼性と冗長性を確保。より実効性の高い360度センシングを実現します。

このレーダは、現在スバルリヤビークルディテクションとして採用済みのものであり、ユニット単体では既に高い信頼性を誇っています。第4世代アイサイトでは、レーダの探知情報をアイサイトで統合処理することで、自車に接近する危険を抽出。自車の生存性を向上させます。

 

渋滞時ハンズオフ、車線変更支援、カーブ予測自動減速。3つの新機能を実現する第4世代アイサイト。

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第4世代アイサイトでは、処理情報が加速度的に増加するため、ユニットそのものが更新されて、処理能力が大幅拡張されます。これにより、交差点での危険対処能力を向上させると共に、自動車専用道路に於ける運転支援機能が拡充されます。第4世代アイサイトで実現するのは、車線変更支援、カーブ予測自動減速。そして、渋滞時ハンズオフの3つです。

先行する日産・プロパイロット2.0では、アダプティブクルーズの設定速度が課題となっています。認可を受けるために、設定速度を法定速度に制限しているのです。スバルのアイサイトは、法定速度120km/h区間対応を根拠に、最高設定速度を135km/h(実測速度120km/h)に設定していますから、スバルはハンズオフを渋滞時のみに留めることで、任意の速度設定を可能にすることと思われます。

このハンズオフ機能を、日産が24個のセンサー(光学式カメラ7個+ミリ波レーダー5個+超音波ソナー12個)と3Dマップで実現するのに対し、スバルは光学式カメラ2個とミリ波レーダ4個、そして高精度マップ情報のみで実現します。これは、アフォータビリティの面で、アイサイトを大きく有利にするでしょう。

車線変更支援の実用化には、360度センシング+高精度マップに加え、アイサイトのステレオカメラ情報が用いられるでしょう。これら情報を元に、隣接車線の有無、走行車両の接近を検知。安全が確認されたタイミングでの車線変更の自動化を実現するものと思われます。

カーブ予測自動減速は、高精度マップ情報の正確性がカギとなります。通過速度を事前に自動演算し、カーブ手前で自動減速。カーブ通過後は、設定速度まで再加速させます。ただ、車間が急に広がっても、コーナリング中の不用意な再加速や急減速はご法度。一連のコーナリングワークを自動化するには、慎重かつ高度な制御技術が不可欠です。

高精度マップの随時更新は、ユーザのスマートフォンを介して行います。ただ、高精度マップはデータ量が膨大なため、周辺地域のみが選択的に更新されるようなシステムとなるでしょう。コーナー先の情報は、すべてマップ情報に依存するしかありませんから、古いマップ情報では自動制御しないよう制限が掛かるものと思われます。

 

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