フォレスター・SPORT、試乗車が和泉店到着。早速、インプレッション。CB18の実力や如何に。 [2020年11月22日更新]

フォレスター
 
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和泉店にフォレスター・SPORT登場。
 
2020年11月22日 新世代エンジンCB18の実力を徹底レポート。

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文責:スバルショップ三河安城 和泉店

お問い合わせ:0566-92-6115

担当:余語

 

CB18エンジンを味わい尽くせ!フォレスター・SPORT試乗車登場。

登場から、たった2年。誰しもが驚くマイナーチェンジを実施した、フォレスター。今回、和泉店に試乗車:C型SPORTが到着しました。早速、その結果をご報告したいと思います。

まず、そのボンネットに収まるのが、スバル渾身の力作CB18。「リーンバーンターボ」という画期的な新技術を投じ、充分なリニアリティと逞しいトルクを両立する、次世代ライトサイジングターボエンジンです。その技術詳細は下記別項に譲るとして、CB18の実力を早速味わってみたいと思います。

 

聞こえてくるのは、リーンバーンの証?驚愕!?暖気中のアイドリング回転の低さ。

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ドアノブを引き、ドライバーズシートに座る。ここまでは、何の変哲もないフォレスターです。ただ、ドライバーモニタリングシステムがグレードに関わらず選択できるようになったことだけは、新しい事実でしょう。もちろん、新世代エンジンに比すれば、大した変化ではありませんが。。。

ブレーキペダルを踏み込み、キーをプッシュする。すると、「これまで通り」のクランキング音に続いて、遂にCB18が目を覚まします。ここで気が付くのは、カツカツカツ・・・という微細な音。恐らく、リーンバーンと関係するであろう音が、薄っすらと聞こえます。ただ、休日夜の和泉店と言えば、人よりも確実に虫の方が多い場所。「それなり」の場所で聞き分けるのは難しいでしょう。

ここで、驚かされたのは、アイドリング回転数。気温13度と、通常ならばセッセと暖気に勤しむ気温ですが、回転数はビッと1100rpmを維持したまま動きません。近年、暖気時間の短縮に様々な技術が投じられていますが、ここまで徹底したエンジンは、恥ずかしながら初見でした。

シフトをDレンジに引き込み、電動パーキングブレーキをリリース。続いて、フットブレーキをリリースする。スルスルッと動き出す、C型フォレスター。店舗出口で再び、停止。ここまでの段階で、すでにスムーズさは群を抜いています。とにかく、冬期の暖気・夏季のエアコン全開時のギクシャク感は、閉口モノ。しかし、CB18はアイドリング回転数を低く抑えているため、そうした不自然感が一切ないのです。

 

実に穏やか。何不自由ないトルク。気になる、フラットライドコンセプト。

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いよいよ、一般公道に出て、CB18は持てるトルクを開放していきます。やはり、ここでも低いアイドリング回転数がモノをいいます。暖気中の高めの回転数だと、トルクが予測し難いのが難点。それ故、ギクシャク感が生じるのです。ところが、CB18はアクセルオフの度に、しっかり1100rpmに戻してくれるので、次のトルクを予測しやすいのです。

もちろん、この1100rpm暖気がどのくらいの気温まで有効なのか、10度?5度?0度?そこは実証していく必要があるでしょう。

ここまで、[I]モードでの走行のため、そのフィーリングは常に穏やか。ターボラグは殆ど感じられず、かと言って押し出すようなモーレツ感もありません。2.5LNAの置き換えとしては、至極充分・至極真っ当なフィーリングです。

一方、「スポーティなフラットライド感」を目指した足回りには、若干迷いが感じられます。確かに、タイヤの路面に対する追従性は良好でありつつ、ボディは常に柔らかな安定に包まれています。しかし、先代SJ型フォレスターでは、前期型の「フラットライド感」を否定して、後期型ではわざわざ接地感を強化し、ダイレクト感を確保。動的質感を改善していました。にも関わらず、ここで再び「フラットライド」に回帰するのは、少々疑問を禁じ得ません。

そもそも、フラットライドは、路面のアンジュレーションに関わらず、車体を常に「空中に静止させる」仕立てのこと。究極の存在として、シトロエンのハイドロニューマチックや、ロールスロイスの超重量級ボディが知られています。ただ、何れもドライビングプレジャーとは対極の存在。つまり、「SPORT」というグレード名に決して相応しいコンセプトではないのです。

出来れば、もっとダイレクト感のある足回りとして、攻め込んでいった時の予測性の高い仕立てのほうが、「SPORT」には相応しいでしょう。この仕立ては、寧ろAdvanceの方が相応しいように思えます。

 

[I]モード:目立つスムーズネス。穏やかなトルクデリバリー。そして、リーンバーンでの驚異的な燃費。

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ここから、高速巡航に移行。ランプの上り勾配では、少々踏み込んでいった方が良好な塩梅。勾配抵抗と過給によるトルクが上手くバランスします。本線に合流。このタイミングで、ターボラグが少ないことが改めて実感させられます。ターボラグがある場合、直近のトルクを求めてアクセルを過剰に踏み込んでしまい、トルクがオーバーシュートして、速度維持が困難になります。CB18では、それが感じられず、必要なトルクを必要なだけ得ることがかのうです。

[I]モードで走行する限り、その印象は2.0L+αといったイメージ。2.5Lには及ばないものの、2.3L程度の実力は感じられます。ただ、燃費計を見ると、その実力が只者ではないことに気が付かされるのです。

流れに乗って巡航に移行。アクセルを戻していくと、瞬間燃費計はあっという間に20km/Lまで伸びていきます。恐らく、これがリーンバーンモードなのでしょう。このままアクセルを踏まずに巡航を続けていると、10分ほどでトリップメータの燃費は19km/L台に到達しました。1.6tの車体に、たった1.8L。しかも、ターボ。これでいて、ここまで燃費が伸びるとは、驚きを禁じえません。

この間、エンジン回転は1500rpm以下を常にキープ。リニアトロニックの改善によって、レシオカバレッジが拡大された効果が存分に発揮されています。

すると、再び感じられたのが、前述のカツカツ音。この音は、踏み込んでいくとパタリと消え、回転数が落ちると再び聞こえてきます。どちらかと言えば、コモンレールディーゼルに近い、この音。リーンバーンモードと符合しているようですので、燃費走行を志すのであれば、この音を聞きながら走ると良いでしょう。

但し、このCB18に忘れてはならない「取扱上の掟」があります。一定限度を超えて軽負荷運転を継続すると、排気温度が低すぎてNOx吸蔵還元触媒をダメにしてしまうのです。そのため、時には「S」モードを使って、高負荷運転をしてやらねばなりません。でも、その瞬間こそが、CB18を味わう垂涎の瞬間でもあるのです。。。

 

[S]モード:豹変するキャラクター。リーンバーン領域を脱し、溢れるトルク感と心地良いレスポンス。

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先行車が居なくなったことを確認して、[S]モードを投入。すると、CB18は一気にキャラを変貌させます。その変貌ぶりと言えば、「豹変」と言ってもいいほど。

まず、エンジン回転数が1100rpmから、スルスルっと上がっていき、2500rpmほど上昇。この時点で、前述のカツカツ音とはサヨナラ。マフラーエンドからは、グーッと力強い唸り声が聞こえてきます。ここで、リニアトロニックならではの、不思議な現象が発生します。エンジン回転数が上昇していくのに、スピードは全く変わらず、フィーリングにも不自然さが生じないのです。回転上昇と完全呼応して、ギア比を無段階変速で落とすことができる、CVTの面目躍如といった処でしょう。意地悪をするように、モード移行中にアクセルを踏み込んでも、全く不自然さは皆無。この制御は、きっと容易ではなかったことでしょう。こんな事にも、一生懸命こだわるのが、スバル。

[S]モードに移行すれば、CB18はその本来の実力をムキダシにします。レスポンスは、[I]モードとは見違えるほど鋭敏になり、踏み込むほどにトルクが溢れてきます。とにかく優れているのが、ターボラグの少なさ。右足の踏み込みに完全に呼応して、トルクが発揮されます。それ故、微妙な速度維持がしやすいのです。

ただ、全開をカチ込んでも、それ程驚きはありません。それ相応に加速Gは来るものの、何処までも吸い込まれるような加速感ではありません。それは、エンジンのトルクカーブから理解できます。15000rpm以上はフラットで、4000rpmから下降線。よって、旧世代エンジンのように、回転を引っ張っても得られるものは何もないのです。ただ、これが現代ガソリンエンジンのセオリー、最適解。実用領域に絞って仕立てることで、より高い熱効率を実現しているのですから。

旧型レヴォーグ用のFB16DITと比すれば、瞬発力には若干劣るものの、レスポンスでは2〜3枚は確実に上手。旧型フォレスターXTのFA20DITと比すれば、湧き立つようなパワー感こそ無いものの、トルクのオーバーシュートの少なさで1枚上手。前期型フォレスターのFB25と比すれば、レスポンスとトルク感は同等、ただこの間の実燃費では2〜3枚上手。ここでも、2.5Lエンジンの置き換えを意識した仕立てを実感することができます。ピークパワーよりも、日常使用でのリニアリティを。そんなコンセプトを伺うことができます。

 

路面から隔絶された、強いフラットライド感。但し、助手席・後席には◎。ドライバーには◯。

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高速巡航でも、やはり足回りの仕立ては及第点。もちろん、同乗者にとっては何よりも快適性は十二分に高いと言えます。通常ならば、底付き感の伴う高速のアンジュレーションにドカンと突っ込んでも、底付き感は皆無で不安感も一切ありません。素晴らしいスタビリティとバウンシングキャパシティ。どんなに不快な路面状況でも、きっと心地よくいなしてくれるはずです。

ステアリングの初期応答性も充分で、手応えもしっかりあり、直進安定性も言うことはありません。万全です。但し、そこに「SPORT」さを感じることが無いのです。つまりそれは、接地のダイレクト感と路面からのインフォメーション。ドライバーは、これを足掛かりにクルマと一体感を得て、次の挙動・振る舞いを予測します。ところが、余りにフラットライド感が強いばかりに、その人馬一体感に乏しいのです。

もちろん、[I]モードでこそ、そのピッチング周波数とエンジンレスポンスは「相関」を感じさせます。しかし、[S]モードでは足回りがワンテンポ遅れを取ってしまうのです。特に、ピッチングでそれを強く感じます。だったら、グレード名を「XT」にすれば良かったものを。。。

ハイパフォーマンスSUVの場合、常にドライバーが意識せざるを得ないのが、高い重心高によるネガ。重心が高いとモーメントが大きくなるため、当然ながらロールやピッチングは大きくなるのです。これを打ち消すために重要なのが、モーションの収束感。初期のロール速度を抑えつつ、早めにロール速度を減速させ収束感を創る。そうすることで、ドライバーはこの辺の限界期だと、モーションはこれくらい来そうだな、と予測が立つのです。この「意思の疎通」ができないと、ロールが際限なく進み、「覆る(かやる)」のでは。。。という不安感につながります。

ドライバーにとっては、覆るのは致命傷。だったら、アンダーが出るほうがマシ。つまり、ハイパフォーマンスSUVでは、タイヤ限界をいち早くドライバーに現示するのが、肝要です。ここから先は、イカンよ。私じゃ、曲がれんよ。。。と。タイヤが先に負けるけれども、パーシャルスロットルでジワリとグリップを戻ってくる仕立て。

今回、タイヤにオールシーズンを選択しています。それ故、コンパウンドは少々柔らかめ。これが悪癖を披露した可能性は、大いにあるでしょう。逆に、オールシーズンを前提としたため、このような仕立てとせざるを得なかったのかも知れません。何れにせよSPORTの価格帯は、既にセミ・プレミアムの領域。ここで、スタッドレスタイヤ代が浮くことをメリットに感じるユーザは多くないでしょう。それならば。。。

 

果たして、SPORTはフォレスターのベストバイたり得るのか?競合他車と比べれば、アリ。

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フォレスター・SPORTは、CB18エンジンを中心に非常に完成度が高いモデルです。e-BOXERよりも、明らかに高いリニアリティとドライビングプレジャーを備えています。加えて、e-BOXERの1.6tを超える車重は、2.0L直噴NAのトルクだけでは、あらゆる場所でネガとなるでしょう。惜しむらくは足回りの仕立てですが、スポーツドライビングを重視しない方であれば、寧ろ快適性に於いてはより優れていると言えるはずです。

価格は、Advance+12万円の299万円(税抜)から。これに消費税を加え、ベースキット、ナビパック、税金、諸経費等、そして値引きを勘案すると、大凡総予算は380万円ほど。これに、パワーリヤゲート、アイサイトセイフティプラス[視界拡張]、ルーフレールを加えると、+18万円。だいたい、400万円弱です。一方、Advanceは税金上有利なので、同じ仕様では約20万円リーズナブル。

高いといえば、高い。しかし、周囲を見渡せば、決して高くはありません。最大のライバルとなるのが、トヨタ勢の2.5Lハイブリッドでしょう。もちろん、トヨタ・RAV4やハリアーの2.5L+THSの方が良いという方もいるでしょう。ただ、リニアリティという面では、比較にならないほどフォレスター・SPORTは優れています。次なるトルクの発生がアクセルを踏むまでわからない、ペダル操作をスイッチと見なし、ドライバーの操作をトリガーとしてのみ扱う、THSの悪癖が依然解消されていないからです。

逆に言えば、スバルというメーカーはそこにこそ「こだわり」を持っていて、そこにこそ存在意義があるのです。ですから、「運転する愉しさ」「人馬一体感」そこに喜びを感じていただけたら。幸いです。

果てさて、フォレスターのベストバイはどれでしょう。少なくとも、2.5L直噴NAが放棄され、e-BOXERに統一された今、ドライビングプレジャーを味わうのであれば、SPORT一択でしょう。但し、20万円の価格差は痛い!もし、SPORTをご希望ならば、フォレスターの他のグレードと比較しない事をオススメします。。。

 

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