フォレスターがマイナーチェンジし、後期型に進化。D型は何が進化したのか。 [2021年07月02日更新]

フォレスター
 
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フォレスターが、後期型に進化。
 
2021年6月17日 D型フォレスターの進化とその実力とは。

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文責:スバルショップ三河安城 和泉店

お問い合わせ:0566-92-6115

担当:余語

 

フォレスターがマイナーチェンジ。後期型に進化を遂げた。

今や、花盛りのDセグメントSUV市場。ハリアー、RAV4を筆頭に、フォレスター、CX-5、CR-V、アウトランダーなど、各社渾身のエースモデルが激しく鎬を削っています。ただ、戦況はトヨタの一人勝ち。2021年5月の自販連販売データでは、兄弟車(つまり、中身は同じ)であるハリアーとRAV4を合算すると、その数はCX-5、フォレスターの10倍近くに達するのです。この圧倒的なトヨタの強さには、恐ろしさすら感じます。

2018年6月、スバルは5代目フォレスターを激戦のDセグメントSUV市場に投入。主戦場の米国市場を鑑み、徹底的に洗い出した弱点を克服すると共に、サイズアップと質感向上を実現しています。ただ、市場環境は予想以上に厳しく、2年半を経過した昨年秋には早くもパワートレインの刷新を敢行。2.5LNA廃止に伴ってe-BOXERを主力化すると共に、1.8Lターボを新投入。ビッグマイナーチェンジに等しい大改良を実施しています。

そして、2021年6月14日。スバルはフォレスターのマイナーチェンジを実施。これを以て、SK型フォレスターのモデルライフは、早くも後半戦に突入します。

マイナーチェンジの最大のトピックは、新世代アイサイトへの換装。視野角拡大により、予防安全性能の大幅向上を実現しています。また、フロントフェイスを全面刷新。アセントにも似た大型ヘキサゴングリルを採用し、SUVらしい力感を実現しています。

 

後期型フォレスターのアイサイトのバージョンは、新世代アイサイト??

今や、スバルの主力コンテンツにまで成長した、ADAS(先進運転支援システム)・アイサイト。後期型では、レヴォーグと同世代の「新世代アイサイト」に換装。前期型に比して、予防安全性能を大幅に向上させています。

ただ、フルスペックのレヴォーグ版とは、機能上大きな違いがある点に注意が必要です。まずは、前期型に搭載されていたアイサイトver3.5と、新世代アイサイトの違いについて整理しましょう。

ver3.5は、アステモ(旧日立オートモティブ)製ハードウェアに、スバル自力開発のソフトウェアの組み合わせ。予防安全に関する機能群をアイサイト、運転支援に関する機能群はツーリングアシストと呼ぶことで、両者を区別していました。

これに対し、新世代アイサイトはスウェーデンのヴィオニア製ハードウェアに、自力開発のソフトウェアの組み合わせ。ステレオカメラの死角を、ミリ波レーダーで補完することで、360°全周囲の予防安全を実現しています。ただ、その呼称が混乱の元で、ver3.5のアイサイトとツーリングアシストの両機能群をまとめて「新世代アイサイト」と呼ぶのに対し、GNSSアンテナと3D高精度マップによって実現するハンズオフに類する追加機能群を「アイサイトX」と呼んでいるのです。なお、レヴォーグで選択可能なアイサイトX非装着で車は、Ver3.5相当の運転支援機能が搭載されています。

後期型フォレスターに搭載される新世代アイサイトは、アイサイトX非対応。つまり、GNSSアンテナと3D高精度マップは、メーカーオプションでも選択できません。また、レヴォーグでは各コーナー4箇所に搭載されるミリ波レーダーは、後方2箇所のみ。そのため、予防安全・運転支援機能に一部制限が生じています。

今回、後期型フォレスターがアイサイトX非対応となったのは、コスト面よりもハードウェアの問題です。実は、アイサイトXを搭載するのは、アイサイトそのものを換装するよりも、よっぽど大掛かりな改修が必要なのです。

 

D型のアイサイトは、新世代アイサイトであって、アイサイトXではない。

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機能が多岐に渡るアイサイトXでは、多種多様な情報表示を目的としたインフォテイメントシステムの搭載が不可欠です。そのため、全面液晶メーターとセンターインフォメーションディスプレイがセットで標準装備されます。また、3D高精度マップユニットやテレマティクスユニットを追加搭載せねばならず、これに対応するにはインパネを全面的に刷新せねばなりません。また、エアコンやオーディオ等の制御もすべてインフォテイメントシステム経由となるため、あらゆる制御系も見直さねばなりません。とても、マイナーチェンジレベルでは成し遂げられるものでは無いのです。

では、何を目的に、アイサイト換装に踏み切ったのでしょうか?それはスバルが公約する、「2030年死亡交通事故ゼロ」に少しでも前進するため。現時点でも、世界最高峰の性能を誇るver3.5の予防安全性能ですが、依然として弱点が存在しています。それが、右左折時の状況認識です。ver3.5では視野角が限られるため、右左折時に接近するターゲットに対応できないのです。

ヴィオニア製ステレオカメラでは、視野角が従来比約2倍と大幅拡大(具体的数値は非公開)。これに伴い、横断自転車や対向歩行者、右直事故などに新たに対応しています。

ただ、フォレスターは前方の死角を補完するミリ波レーダーが非搭載のため、レヴォーグに比して対応領域は縮小されています。また、電動ブレーキブースターも未採用のため、作動速度も若干スペックダウンしています。その一方、後方に搭載されたミリ波レーダーのアイサイト統合により、車線変更時の危険を抑止する機能などが新たに実現しており、ver3.5に比して確実な機能・性能向上を果たしています。

新型レヴォーグがフルモデルチェンジに伴って50万円近い価格アップとなったのに対し、後期型フォレスターはたった2万円。何から何までてんこ盛りにして価格に反映するよりは、的を絞った進化の方が良心的だと言えるでしょう。

 

スバルSUVのデザイン手法が変化。ボディ色部分だけで、骨太感とタフさを演出。

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大きく印象を変え、SUVらしい力強さを増したフロントエンド。実は、そのデザイン手法が変化していることにお気付きでしょうか。

これまで、スバルのSUVは無塗装部分を強調することで、「ラギッド(意:無骨な、頑丈な)感」を演出していました。これに対し、後期型フォレスターでは無塗装部分を必要最小限とする一方、ボディ色部分を強く主張するデザイン手法に変更されているのです。

力強さの源となっているのは、サイズが大型化されると共に、全面ブラックアウトされたヘキサゴングリル。この周囲に、シンプルかつエッジの効いたボディ色部を、直線的な面構成で太く走らせることで、タフな骨太感を演出しています。

また、ウィンカーがポジションランプ兼用とされたことで、ヘッドランプユニットの小型化が実現。コの字型のアイラインが鋭くグリルに突き刺さる、新たな形状が採用されています。

フォグランプカバーも縦長のシンプルな形状に変更。ヘッドランプユニットと同幅とすることで、縦のラインを強調しています。

フォグランプも変更されています。SPORTのみ、先代XTを意識した角型3灯式を採用。これに対し、Touring、X-BREAK、Advanceは丸型ランプに、横3本のメッキバーの構成。但し、ディーラーオプションのLEDデイライトを装備した場合は、メッキバーはレスとなります。

次に登場が見込まれるスバルのSUVは、クロストレック。XVの進化版SUVです。このモデルでも、後期型フォレスター同様のデザインコンセプトが適用され、骨太なイメージで登場することでしょう。

エクステリアでは、ボディーカラーも進化してます。2色が廃止され、3色が追加。これにより、全10色という充実のラインナップとなっています。廃止されたのは、ベージュ系のセピアブロンズメタリック、淡いグリーングレーのジャスパーグリーンメタリックの2色。ここに新たに加わるのが、ブリティッシュグリーン系のカスケードグリーンシリカ、ベージュ系のオータムグリーンメタリックとブリリアントブロンズメタリックの計3色です。

今回、大幅に刷新されたのはフロントエンドのみで、サイド、リヤはそのまま存置されています。ただ、SPORTに限っては、Bピラーカバーが光沢化されるなど、細かな変更がなされています。

 

ステレオカメラユニットを変更。そして、撥水加工シートがTouringとAdvanceに。

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インテリアでは、アイサイトユニットの換装に伴って、フロントガラス周りが変更がされています。ステレオカメラがガラス面に直付けとなったため、ユニット全体がコンパクト化。カメラを手で触れてしまう心配がなくなったため、ガラスの拭き上げ作業もラクになることでしょう。

メーカーオプション設定のスマートリヤビューミラーも、その機能を進化させています。表示画角を拡大した他、ディスプレイサイズも拡大。解像度も向上させることで、よりクリアな後方視界を確保しています。

ただ、インテリアの変更はこれだけ。デザイン、配置はそのまま維持されています。その一方で、グレード毎の装備は大幅に見直しが行われています。

先代後期型のベストセラーは、撥水加工インテリアを装備したX-BREAKでした。オレンジ加飾がオプションだったため、老若男女を問わず人気があったのです。ところが、SK型で様相は一変。派手派手しいオレンジ加飾が、何と標準装備に。。。B型ではX-Editionなる撥水加工仕様の特別仕様車が追加されるも、敢え無く1年で廃止。そこで、今回TouringとAdvanceのファブリック仕様を撥水加工シート化。撥水加工仕様に、一気に選択肢が増えることとなりました。

撥水加工シートは、もちろんアウトドア派には嬉しい装備。ウィンタースポーツやサーフィンなどで、特に重宝されています。ただ、メリットはそれだけではありません。小さなお子さんが飲み物をこぼしたりした場合でも、シート表皮に染み込むことなく、すぐに拭き取ることができるのです。ファミリーユースの方は、撥水加工シート仕様を筆頭に検討するのがオススメです。

Advanceでは、本革シートに新たにナッパレザーを採用しています。ナッパレザーとは、本来牛革よりも柔らかく、手触りの良い羊や山羊の革を指すものでした。ただ、現在では通常の牛革よりも柔らかく仕立てることで、上質な手触りとしなやかさを備えたものを指すようになっています。カラーは、ブラウン/ブラックとブラックの2色からお好みの仕立てを選ぶことができます。

 

SUVで、走りと走破性を両立させるのは不可能??その実現を目指す後期型フォレスター。

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e-BOXER搭載車に限って、足回りの仕立てが見直されています。その仕立ては、前期型よりも乗り心地重視。余分なフリクションを低減することで、よりしなやかに動く仕立てへと進化しています。

重心高が高く、走破性を求められるSUVでは、ハンドリングと乗り心地の両立は非常に困難です。オンロードではグッとコシを効かせてピッチングとロールを抑制し、高速域でも安心感のある走りを実現したい。しかし、オフロードではしっかり路面にタイヤを追従させるため、サスペンションはたっぷり柔らかく仕立てたい。結局のところ、両者は全く相反するものなのです。

砂漠の王者ランクルに乗れば、その動きが乗用車のそれと全く異なることが分かります。グッとブレーキを踏めば、フロントはフーーッと沈み込み、コーナーではゆったりロールします。その一方で、高速域では2.5t級ボディの「慣性」おかげで、ジタバタするようなこともありません。最高の走破性と快適な高速性能を両立するには、これがベストなのです。ただ、これを1.5t級ボディを持つDセグメントSUVで実現するのは不可能です。

2018年登場の前期型で重視されたのは、スバルらしいハンドリング。シャシー剛性が飛躍的に向上したSGPのポテンシャルを発揮すべく、グッとコシの効いた仕立てとして、走りの愉しさを実現したのです。だからと言って、足が突っ張っているようなこともなく、路面に素直に追従し、バンプをしなやかにいなしていきます。

これに対し、後期型ではコイルスプリングの特性を見直すことでフリクションを低減すると共に、ダンパーのチューニングを最適化。当たりをしなやかにすることで、より快適な乗り心地を実現するとしてます。その一方、ステアリングを切り込む際のヨーの立ち上がりを改善。乗り心地とハンドリング精度の向上を図ったとしています。

 

本当の評価は、乗ってみてから。そのヒントとなるのは、C型SPORT。

ただ、実車に乗っていない段階では、すべて机上の話。このヒントとなるのが、1.8Lターボを搭載したSPORTです。C型で投入されたSPORTは、既にD型相当の足回りに進化済みとして、改良の対象にはなっていません。つまり、このSPORTの仕立てにこそ、後期型フォレスターのヒントが隠されているはずなのです。

C型SPORTは、Advance等とは全く仕立てが異なります。Advanceをホックホクのジャガイモだとすれば、SPORTはねっとりとしたサトイモ。Advanceを讃岐うどんだとすれば、SPORTは伊勢うどん。Advenceがアルデンテなら、SPORTはあんかけパスタ。

かっちりした前期型とは違い、後期型は何処かもっちりとしたフィーリング。足はしなやか、且つ滑らかに動き、しっとりとしたモーションでコーナーを駆け抜けます。クックッ!という感じではなく、ス~ス~・・というフィーリング。この路線変更には、どんな目的があるのでしょうか。

その最大の目的は、ライバルへの対応でしょう。これまで、スバル車販売は「車好き」の存在があってこそ、成立してきました。そのため、どちらかと言えば、運転席至上主義。乗り心地よりも、ハンドリング重視。ところが、ハリアーやRAV4、CX-5をターゲットとするとなると、乗り心地で不利となるため、どうしても家族の支持を得られにくいのです。もちろん、柔らかいだけが乗り心地ではありません。実際には、しっかりコシがある方がクルマ酔いしにくいのですが。。。

何れにせよ、足回りの仕立ては個人のお好み次第。決して、SPORTの仕立てが悪いわけではありません。ただ、スバルらしさが薄れていく、一抹の不安があるのは事実です。

まぁ、兎にも角にも乗ってみなければ、話になりません。後期型フォレスターの発表は、8月。そして、発売は9月。試乗車がやってきた折には、また詳細をレポートすることを約束します。

 

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