新型インプレッサ米国仕様登場。国内仕様はどうなる??? [2022年11月28日更新]
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6代目となる新型インプレッサ、LAショーでワールドプレミア。
2022年11月17日。スバルの代表車種の一つ、6代目インプレッサがワールドプレミアとなりました。
「インプ」そう呼ばれて親しまれたのは、昔話。インプレッサは今や、スバルラインナップのボトルレンジを担う基幹車種として、クロストレックのベースモデルとして、スバルブランドのエントリーモデルとして、世界で幅広く親しまれるモデルへと進化しています。初代の登場から、早30年。インプレッサは、遂に6代を数えることになります。
6代目インプレッサは、基本的にキープコンセプト。クロストレックを見る限り、シャシー系のマイナーチェンジ(構造用接着剤の積極導入)とデザインチェンジがメインだと考えられます。これにより、クルマの基本性能を高め、より高いアジリティを実現するとともに、静粛性を改善。衝突安全性も、相応の改善を果たしています。
現時点で公開されているエンジンライナップは、エンジンが2.0LNAに加えて、新搭載される2.5LNAの2種。この2.5Lエンジンは、米国ではフォレスターやレガシィ系に搭載されるユニットで、米国市場で久しぶりの復活となる「RS」グレードに専用搭載されます。このRSには、赤のアクセントカラーが入った専用インテリアを用意。スポーツマインドを高める演出が成されています。
インフォテイメントシステムは、現行モデル同様のSTARLINKを搭載。ただ、ディスプレイは11.6インチに大幅に拡大されています。アイサイトは、新型クロストレックと同様の3カメラタイプ。弱点だった夜間の歩行者認識を改善するとともに、大幅な視野拡大を実現しています。
注意したいのは、今回発表されたのが米国仕様車のみであること。米国仕様車は、SIAでの現地生産となるため、日本向けと大きく仕様が異なる可能性がある点に留意する必要があります。例えば、レガシィ系は米国向けと全くデザインが違っており、インプレッサとクロストレック(米国仕様未発表)も同様な扱いとなるのか、注目されます。
1992年に始まるインプレッサの歴史。当初は、直4・FFモデルだった。
初代インプレッサの登場は、1992年のこと。1989年に行われた、レオーネ→レガシィへの上級移行に際し、ジャスティとのラインナップの隙間を埋める新型モデルとして誕生したモデルでした。詳細はクラブ・スバリズムの別項に譲りますが、本来は直列4気筒のFFという平凡なモデルとして開発中の処、折からの経営不振によって路線変更が決断され、紆余曲折の末にレガシィのスケールダウンモデルとして誕生したものでした。ラインナップはベーシックなセダンに加え、スポーツワゴン、リトナのサブネーム付きのクーペモデルの3種で、すべてにWRX及びWRX STiモデルが用意されました。この他、クラッシク顔のカサブランカ、スポーツワゴンをリフトアップしてRV風味に仕立てたグラベルEXが、限定でラインナップされていました。
初代インプレッサの記憶に残るのは、デビュー前の変節ではなく、栄光のWRCの記憶。初代WRXは1993年1000湖ラリーで、レガシィRSに代わってWRCに初投入されます。コンパクトなボディと優れた重量バランスは最強ウェポンとの呼び声高く、マニュファクチャラーズタイトルを3年連続、ドライバーズタイトル1回を獲得。野太いボクサーサウンドを響かせる、鮮やかなブルーのインプレッサは、天才コリン・マクレーとともにWRCの伝説となります。
2000年登場の2代目インプレッサは、ベーシックなセダンとスポーツワゴンの構成。引き続き、双方にWRXモデルがラインナップされました。記憶に強く残るのが、7年に及ぶモデルライフで3回も挿げ替えられたフロントフェイス。市場評価を受けて、丸目、涙目、鷹目へと進化しています。
2代目WRXは、STiモデルとベースモデルの2種構成。STiモデルには、トレッド拡大を目的にブリスターフェンダーが与えられ、インプレッサ初の3ナンバーボディとなっています。主戦場たるWRCでは、2回ドライバーズタイトルを獲得したものの、大柄なボディが災いして次第に苦戦が目立つようになります。原因は、ライバルの急激な進化。FFベースのモデルでも、エンジンの後斜マウントによって重心高をインプレッサより低くすることが可能になったのです。
アイサイトを武器に躍進した4代目。COTY獲得も苦戦した5代目。
2007年登場の3代目インプレッサは、3ナンバーへ拡幅したハッチバックがメイン。セダンは1年後になって、アネシスの名称で追加投入されます。モデル末期の2010年には、クロスオーバーモデルのXVを追加。ただ、ステラより安いとさえ言われた、お買い得仕様のワゴンモデルを失ったことで、販売は低調に推移。当時標準的なモデルライフの4年に満たず、早々と次期モデルへバトンタッチすることとなります。
ターボモデルは低出力仕様のS-GTと、2.0L300ps+6MTのWRX STI、2.5LのWRXの3種類。WRXとWRX STIは、後にセダンモデルも追加されています。残念なことに、スバルのWRC活動は極端な成績低迷を理由に、2008年限りでのWRC撤退を発表。これを機会に、インプレッサとWRXは袂を分かつことが決定。インプレッサは、大きく役割を変えることとなります。
2011年、4代目インプレッサが現代的なデザインをまとって新登場。2.0L・AWDには、話題のアイサイトを搭載。当時、ADAS装備車はスバルのみとあって、販売は絶好調。兄弟モデルのXVも、専用サスペンションを得て魅力アップ。TVCFが話題となって、新たに女性ユーザの獲得にも成功します。後期型からは、1.6L・AWD仕様にもアイサイトが搭載。スバルにとって、久方ぶりヒットモデルとなります。WRXの方は暫く旧型を継続販売の後、2014年にレヴォーグの兄弟車としてデビュー。新たな進化を遂げることになります。
2016年、インプレッサは新世代シャシーのSGPを採用して、5代目に進化を遂げます。強靭・高剛性を謳うSGPの効果はめざましく、走行性能・静粛性は劇的に改善。ver.3へ進化したアイサイトを搭載した他、歩行者エアバッグを標準搭載。安全面の先進的な取り組みと素晴らしい走りが評価され、この年のカー・オブ・ザ・イヤーを獲得します。ところが、5代目は望外の苦戦を強いられます。ライバルはディーゼルやハイブリッドを標準として、燃費を劇的に改善していたのに対し、インプレッサは依然としてNAエンジンのみ。後期型でe-BOXERを投入したものの、改善は小幅とあって効果はなし。いいクルマなのに販売は不調と、スバルには悔しい結果となりました。
新型インプレッサ、さて日本仕様はどうなる?
6代目新型インプレッサで、公開されたのは米国仕様のみ。国内仕様の発表は、暫く先のこととなります。さて、未公開の国内仕様は、どんなものになるのでしょうか。
デビュー済みのクロストレックを鑑みるに、インプレッサもシンプルなラインナップでの登場が予想されます。国内向けのパワーユニットも、2.0Lのe-BOXERのみと考えるのが自然でしょう。期待の「RS」は、2.5LNAではCAFE規制で足を引っ張るため、登場の見込みは薄いと思われます。代わりに、e-BOXERのSTI Sportが後に追加されると考えるのが自然です。噂されていた1.5L直噴ターボですが、随分前に開発がキャンセルされており、こちらは登場する可能性はありません。代わって登場が期待されるのが、トヨタ製HVシステムであるTHSをベースとした新開発HVユニットです。
スバルは、10月6日に「統合レポート2022」「サステナビリティWeb 2022」を公開。この中で、次世代HVユニットが、2024〜25年にかけて登場することを予告しています。そのため、国内向け新型インプレッサ/クロストレックにこれが搭載されることは、当面ありません。
THSベースのHVユニットと聞けば、米国専売のクロストレック・ハイブリッドが思い浮かびます。このモデル最大のネガが、荷室の狭さ。HVユニットが床下に収まらず、リヤフレーム上に搭載されているため、荷室床面が嵩上げされているのです。これを床下に収納するとすると、燃料タンク配置を含め、プラットフォームの改良が必要よなります。となると、SGPをそのままキャリーオーバーした新型インプレッサは、このままでは搭載が厳しいことが推察されます。
何れにせよ、国内発表はまだまだ先の話。現行GT系の販売は、しばらく継続します。クロストレックを見る限り、1割強の値上げが予想されますから、現行最終型を購入するのも悪くない選択だと言えます。また、どーしてもセダンが良い、という方。セダンは次期型では登場しません。お早めの購入をお願いいたします。