レヴォーグ/レイバック、WRX S4が年次改良。E型に進化。 [2024年12月21日更新]
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2024年末、レヴォーグ、レイバック、WRX S4がE型に進化。
2024年12月12日、スバルはVN系の年次改良を実施。レヴォーグ、WRX S4、レイバックの3モデルともに、E型へ進化を遂げています。現行モデルは、2019年秋の東京モーターショーが初お披露目。レヴォーグ・プロトタイプが公開され、続く2021年9月にはセダン版となるWRXが米国で初公開。最後の登場となったのはレイバックで、こちらは2023年9月の登場。つまり、今回は3兄弟になって初めての年次改良、ということになります。
現行のVN系は、価格設定がグッと引き上がったこともあって、出だしこそ良かったものの、その後は失速傾向。多くのVM系ユーザーが予算範囲外となって、「買い控え」せざるを得なかったのが理由です。ところが、価格上昇が日本市場全体的な傾向との認識が広がると、寧ろ値ごろ感が広がって、徐々にお客さまの興味が戻ってきます。しかし、ツーリングワゴン/スポーツセダンの市場自体が縮小していたのと、2.4Lターボのスペックが「期待外れ」との声が強く、VM系の分厚い壁を越えられず、、、というのがモデルライフ前半。
モデルライフの折り返し地点となるD型、スバルは巻き返しを図るべく、隠し玉を投入します。レヴォーグを昔のランカスターよろしく車高を上げ、SUV風味に仕立てたレイバックを投入したのです。猫も杓子もSUVという背景もあり、市場インパクトも十分で、多くの方々がVN系に興味を持つキッカケとなって、モノの見事にVN系の総販売台数はデビュー当初まで回復。新車効果のあるデビュー当初の水準を取り戻すことに成功します。
ただ、やっぱり隠し玉は隠し玉。本命ではないので、ここ最近は失速感。そこで、この年次改良のタイミングでインパクトを与え、モデルライフ終盤まで駆け抜けてしまおう、というのがスバルの狙いです。
さてさて、今回登場のE型と言えば、次期型への期待がそろそろ高まる頃。しかし、2030年BEV8車種という巨大計画に着手してしまった影響か、次期型の話は未だ聞こえず。加えて、スバルの方針転換に伴って、VN系のエクステリアはずっとデビューからそのまま。なので、後期型感やモデル末期感は全くありません。それでも、アイサイトの制御見直しなど着実な改善が図られており、今回の年次改良もスバルらしい生真面目さを感じるものとなっています。
では、まずは3モデル共通の改良ポイントであるアイサイトについて見ていきましょう。
細かな機能改善で、使いやすさと安全性を高めたアイサイトVer.4。
アイサイトの機能改善は、以下4点です。
・ドライバー異常時対応システムの改善
・車線中央維持制御/先行車追従操舵制御の改善
・車線逸脱警報の表示方法変更
・アクティブレーンチェンジアシストの作動条件変更
アイサイトは登場以来進化を続け、最新版であるVer.4(BRZのみVer.3系)を採用しています。2022年9月には、クロストレックとともに、超広角単眼カメラを追加したVer4.5(?)が登場。歩行者・自転車など、作動範囲を大幅に拡大しています。レヴォーグ系でもD型以降はVer4.5が搭載され、安全性をより高めています。今回は仕様変更こそあったものの、細かな内容のみであり、Ver4.5.1と言うべきでしょうか。こうした小改良を通じて、安全性と使いやすさを高めていくのがアイサイトの特徴なのかも知れません。
・ドライバー異常時対応システムの改善
アイサイトVer.4には、「ドライバー異常時対応システム」と呼ばれる機能が搭載されています。これは、渋滞時ハンズオフアシスト機能を使用中に作動条件を外れてハンズオフが停止した際、車両の安全を確保するための機能です。
例えば、車速が50km/hを越えると、その時点でハンズオフは停止し、ステアリング操作はドライバーへ移行します。その際、ドライバーへ警告が行われますが、警告後もステアリング操作が行われない場合、アイサイトはドライバーに運転継続が困難になったと判断し、ドライバー異常時対応システムが作動します。アイサイトは、同一車線内をハザードを点灯させつつ、徐々に減速。続いて、アクセル操作を無効化しつつ、ホーンの吹鳴を開始し、車両を停止。自動的にコールセンターへの通報を行います。
今回、減速前に「コーストダウン(惰性走行)」と「パルスブレーキ」を追加。惰性走行を行った後に、断続的にブレーキを掛けていくプロセスが追加されています。これにより、ステアリング操作への復帰をドライバーにより強く促します。また、ハザードの点灯タイミングを減速開始時に変更。より早い段階で周囲の車両へ回避を促します。
・車線中央維持制御/先行車追従操舵制御の改善
アイサイトX採用車では、ライントレース作動時の操舵力をかなり重めの設定にしています。そのため、アイサイトの「意向」に逆らって操舵するには、相当な力が必要でした。今回、直線の車線中央付近では、操舵感を軽めの設定に変更しています。逆に、急カーブ走行中や白線に寄っている場合には、システム制御の安定性を考慮した重めの操舵感設定を維持しています。
加えて、ドライバーモニタリングシステムとの連携が強化され、ドライバーが運転に十分に集中できていないと判断された場合に、新たに注意喚起が行われるようになりました。
・車線逸脱警報の表示方法変更
ディスプレイ上の車線逸脱警報のON/OFF表示が変更されています。従来は、警告灯扱いだった車線逸脱警報OFF灯を廃止。新たに、ディスプレイ上の表示と統合することで、より簡易に視覚的に識別できるようになっています。
・アクティブレーンチェンジアシストの作動条件変更
ドライバーモニタリングシステムによる注意・警告中、アクティブレーンチェンジアシストを使用した場合、作動しないよう作動条件が変更されています。また、アクティブレーンチェンジアシスト作動中でも、ドライバーモニタリングシステムが新たに警告を行った場合、レーンチェンジが中断される設定に変更されています。
2代目レヴォーグがE型に。注目の改良点は何処?
VN系3兄弟の長男、レヴォーグ。その始祖となる初代VM型レヴォーグは、2014年生まれ。全米前振り路線のBR系レガシィが失ったツーリングワゴンの魅力とファンを取り戻すべく、BP系の正当な後継者として誕生しました。車高をグッと下げ、ボディはコンパクトに。スバルファン待望のVM型は、下降気味のツーリングワゴン市場にあって孤軍奮闘。新入社員でもギリギリ買える絶妙な価格設定もあって、消えゆくライバルの姿を尻目に堅調な販売実績で推移します。
一方、2019年に登場したVN型は、打って変わってプレミアム路線。初めてアイサイトXを搭載した注目車種として、市場に大きなインパクトを与えます。路線変更は当初成功で、新たなユーザー層を開拓することに成功します。ところが、ツーリングワゴン市場は昔日の面影。加えて、電子制御の高度化によってチューニングもほぼ不可能な上に、20代では購入が難しい価格設定もあって、販売は下降基調。ハイパフォーマンスグレードとして、2.4Lターボを投入したものの、VMG型より出力で劣るとあって、市場の反応は極薄。。。
VN型レヴォーグは、決して悪いクルマではありません。よく走りよく曲がりよく止まる。アイサイトは正確無比で、長距離もラクラク。しかも、あれだけの上質感と仕上がり。それに、あれだけのユーティリティと安全性。ノア/ヴォクが450万を越える今となっては、価格も割安感があります。ただ、市場がツーリングワゴンを求めていないだけのこと。ただ、SDGsだ、脱炭素だという時代に、鉄板も重量も嵩むSUVが人気とは、人間とは実に不思議な生き物ですね。。。。。。
今回の年次改良に伴って、STI Sport/STI Sport Rのボルドー内装が変更されています。これまでショルダー部までボルドーであったものが、サイドをグルっと取り囲むデザインへ変更。これにより、ボルドーカラーの面積が一気に減少。沸き立つようなイメージから、グッと落ち着いたイメージへと変更されているのです。これまでが、ちょっと派手過ぎたのかも知れませんね。
また、お買い得モデルとしてD型から登場の「Smart Edition」の仕様も変更されています。ステッチを追加するなど、見た目の品質感を向上。GT-Hに決して劣らないインテリアとして、その魅力に磨きを掛けています。
レヴォーグの特別仕様車「STI Sport R-Black Limited」登場。
さてさて、VN型レヴォーグには、新たに特別仕様車が登場します。今回登場するのは、2.4Lの最高峰グレード「STI Sport R EX」をベースとする「STI Sport R-Black Limited」。特別装備は、以下の通りです。
【ベース車「STI Sport R EX」に対する「STI Sport R-Black Limited」の特別装備】
・ドアミラー(ブラック塗装)
・LEVORG/シンメトリカルAWDリヤオーナメント(ラスターブラック塗装)
・RECARO®フロントシート(STIロゴ入り)[ウルトラスエード、ブラック(レッドステッチ)]
・運転席8ウェイパワーシート
・インパネミッドトリム/ドアトリム スエード調(レッドステッチ)
・センタートレイ加飾/フロアコンソールリッド/ドアアームレスト ブラック表皮巻(レッドステッチ)
・ブラックルーフ&ピラートリム
・ルーフアンテナ(ブラック塗装)
価格は、ベースとなったSTI Sport Rより+25万円の設定。レシピは、スバルお得意の「Black」系と共通の内容に、ブラックスエードのRECAROフロントシートをプラスしたもの。既存のBlack Interior Selectionと異なるのは、外装品もブラック化の対象とされたこと。フォレスターのX-EDITION/XT-EDTION同様に、ドラミラー&ルーフアンテナ、オーナメントがブラック化されます。但し、ホイールはノーマルのままです。
注目は、ルーフ&ピラーのトリムがブラックとなり、インパネトリムの一部がスエード化されたことでしょう。オールブラックのシックなインテリアに、ワンポイントのチェリーレッドが散りばめられ、最高峰グレードに相応しい雰囲気が演出されることでしょう。
WRX S4にも特別仕様車「STI Sport R-Black Limited」が登場。
VN系3兄弟の中で一番苦しい立場にあるのが、2代目WRX S4です。2021年に米国先行でデビューした2代目は、国内ではリニアトロニックのみの設定。ファンが願ったAT向けアイサイトも搭載されず、MT仕様はバッサリと切られてしまったのです。それもあって、デビュー当初からずっと苦戦中。販売店内でも「今日、○○色見たよ!」の会話が弾む次第で。。。
その理由は、幾つかあります。中でも最大のネガは、エンジンスペックでしょう。VN系へのフルモデルチェンジに際し、燃費/排ガス基準等の理由から、歴戦のFA20DITはリストラ対象。そこで目を付けたのが、北米専用のアセント向けに開発されたFA24DIT。ところが、幾ら頑張ってみても、排気量は1.2倍になったのにスペックダウン。。。と寂しい結果となってしまったのです。しかも、スクープ記事で350ps?400ps?なんてデタラメ情報が事前に飛び交ったこともあって、期待はずれ感は否めず。船出は厳しいものなったのです。
追い打ちを掛けたのは、トリッキーかつ冒険的なデザイン。良くまとまっているとは思いますが、SNSで「XVやん」との手厳しい評価が下され、さらに道のりは厳しいものに。。。月販は、デビュー当初から300台レベルからさらに低下し、今では200台そこそこ。これでは、現行モデル限りとの判断が下されるやも知れません。
さてさて、今回の年次改良は兄貴分のレヴォーグとほぼ共通。STI Sportのボルドー内装が変更され、新たに最高峰グレード「STI Sport R-Black Limited」が追加されています。価格もレヴォーグ同様の+25万円。なお、Black Limitedの追加に伴い、STI Sport Rにオプション設定だったRECAROシートのボルドー仕様が廃止された他、大型リヤスポイラーはBlack Limited専用のメーカーオプションへと変更されています。
レヴォーグと唯一異なるのは、ボディカラーです。デビュー当初、カタログカラーとして注目されていたソーラーオレンジ・パールを廃止。これに代わって、ギャラクシーパープル・パールが追加されています。このパープルは、BRZにも限定車として発売予定のもの。北米でも限定者として販売されており、スバルが今イチオシ!のカラーなのかも知れません。
【ベース車「STI Sport R EX」に対する「STI Sport R-Black Limited」の特別装備】
・ドアミラー(ブラック塗装)
・RECARO®フロントシート(STIロゴ入り)[ウルトラスエード®*2、ブラック(レッドステッチ)]
・運転席8ウェイパワーシート
・インパネミッドトリム/ドアトリム スエード調(レッドステッチ)
・センタートレイ加飾/フロアコンソールリッド/ドアアームレスト ブラック表皮巻(レッドステッチ)
・ルーフアンテナ(ブラック塗装)
レイバックの特別仕様車は、全身真っ黒な「Black Selection」。
最後は3兄弟の末っ子、レイバックです。
既存モデルをSUV風味に仕立てる手法は、スバルの伝統芸。古くは、2代目レガシィにまで遡ります。それまで、カムリやトーラスなどツーリングワゴン全盛だった米国市場が、突然にして変化。販売台数の急減に直面したスバルは、おっとり刀でレガシィの車高を上げてアウトバックを作り出します。この不可思議かつ中途半端なモデルは、ジワジワと人気を獲得。いつの間にか、スバルの最量販車種にまで成長します。BH時代にはセダン版やピックアップ、インプレッサ版まで用意されるなど、何事もゆる〜い時代だったことが推察されます。
果てさて、この伝統芸で誕生したレイバックは、レヴォーグの車高マシマシモデル。インプレッサとクロストレックの関係と同じ、です。ただ、クロストレックと違うのは、本来VN系には設定の予定が無かったこと。レイバックは、SUV花盛りの時代とあって、スバルが急遽用意した隠し玉なのです。じゃぁ、全くの新規アイデアなのか、と言えばそうでは無い様子。というのも、VM系には幻の初代レイバック構想があったのです。ただ、当時は未だ猫も杓子も、という市場環境ではなく、投入は見送られた由。
そんなこんなで登場したため、デザインにはちょっと無理やり感があります。それでも、エッジを効かせたレヴォーグと対象的に、ラウンドデザインで包み込んだレイバックには、レヴォーグと全く異なる印象を与えます。温かみというか、優しさを感じるのです。
急造故に粗製乱造かと言えば、そうではありません。群馬はキチッと努力して、しっかり走る、スバルらしいモデルに仕上げてきました。重心高が上がったため、多少限界性能は下がっているものの、ピークを越えた後の挙動は分かりやすく、コントロールしやすいものとなっています。スッと手に馴染む、垣根の小ささがレイバックの魅力かも知れません。
今回、初めての年次改良を迎え、レイバックに初めての特別仕様車が加わります。その名は、「Black Selection」。ベースとなったLimited EXに、以下の装備を加えた仕様となっています。
【ベース車「Limited EX」に対する「Black Selection」の特別装備】
・18インチアルミホイール(ブラック塗装)
・LAYBACK/シンメトリカルAWDリヤオーナメント(ラスターブラック塗装)
・フルLEDハイ&ロービームランプ(ブラックベゼル)
・ドアミラー(ブラック塗装)
・ルーフアンテナ(ブラック塗装)
・本革シート[ブラック(シルバーステッチ)]
・インパネミッドトリム/ドアトリム(シルバーステッチ)
・センタートレイ加飾/フロアコンソールリッド/ドアアームレスト ブラック表皮巻(シルバーステッチ)
・ブラックルーフ&ピラートリム
・スマートリヤビューミラー
価格は、ベースモデル+5万円の設定。ちょっと嬉しいのは、ブラック塗装のホイール。というのも、ノーマルのホイールはスタッドレス用?と思うほどの、アルミ無塗装仕上げ。これがブラックになることで、グッと全体の印象が変わってくるはずです。
レヴォーグ3兄弟の将来は、どうなるのか?
さぁ、E型まで進化が進んだVN系3兄弟。この先は、どうなるのでしょうか?その命運を決めるのは、存外に末っ子のレイバックなのかも知れません。
今の処、SUVが人気が暫くは続きそうにみえる一方で、WRXは厳しい状態が続いています。また、北米で躍進を続けるアウトバックは、より一層の大型化を求められています。となると、次期VP(?)系は、レイバックに力点を置いて開発せざるを得ないでしょう。インプレッサと同様に、レイバックを織り込んだボディ開発が成され、ユーティリティを積極的に確保していくものと思われます。左ハンドル仕様が開発され、ミニ・アウトバックとして世界販売される可能性もあるでしょう。
しかし、事はそう単純ではありません。なぜなら、スバルは2030年までにBEVを8車種投入する予定であり、そのうち4車種を完全自社開発モデルとする壮大な計画を進めているからです。
国内向け次世代モデルが存在すると思われるのは、G系2モデル、S系、V系3モデルの計6モデル。ここに単純にBEVを加えたら、合計14車種まで増えてしまいます。国内シェア5%のスバルに、こんなラインナップ不釣り合いです。もちろん、全8車種との計画は縮小されるでしょうが、内燃機関モデルもリストラの対象とせざるを得ません。その最右翼となるのは、苦戦続きのWRXでしょう。となると、あれがラストWRX、、、なんてことも。。。
日産とホンダが経営統合?なんて天地がひっくり返る話が、驚きもなく進められる2020年代。一寸先は闇ですので、まぁ暖かく見守りましょう。それと、レヴォーグが高い!!とお感じの方。他社でミニバンの見積もりを取ることを、オススメします。きっと、レヴォーグが安い!!と感じることでしょう。