スバリズムレポート第2弾「航空機はなぜ飛ぶのか?〜飛行機が飛ぶ原理とは〜」 [2018年12月29日更新]

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文責:スバルショップ三河安城 和泉店

お問い合わせ:0566-92-6115

担当:余語

 

史上初めて、音速突破を果たした男。チャック・イェーガー。

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伝説を作ったX-1とともに。イェーガーは、愛妻グレニスの名を愛機にペイントした。

1945年2月26日、イェーガーはグレニス・ディックハウスと結婚。さらに、戦後独立した空軍に移り、NACA(現NASA)の超音速実験機計画XS-1のテストパイロットに選ばれます。当時のテストパイロットは命懸け、毎日のようにミューロック空軍基地では事故が起き、次々に命を落としていきました。それを知っていた空軍は、イェーガーがXS-1のノーズに「Glamorous Glennis」のアートを描くワガママを黙認していました。

4機のロケットモーターを持つXS-1は、寸胴な砲弾形状の胴体に短い直線翼を持っていました。1947年10月14日、XS-1は高度6,100mで母機のB-29から発進。XS-1通算50回目の飛行で、マッハ1.06を記録。世界初の水平飛行による音速突破を達成します。

 

骨折しても、決して諦めない。それが、チャック・イェーガーの勇気。

イェーガーの世紀の記録飛行は、もう少しで失敗に終わるところでした。予圧が必要な高空を飛行するXS-1は、B-29から乗り移った後、ハッチを内側から厳重にロックせねばなりません。前々日に落馬で肋骨を折っていたイェーガーには、それが不可能だったのです。イェーガーは、僚友のジャック・リドレイに相談。そのリドレイが持ってきたのは、短く切ったモップの柄でした。イェーガーは、この棒を隠し持って搭乗。ハッチのロックに成功したイェーガーは、見事記録達成に成功したのです。

その後、最速の座を奪われていたイェーガーは、1954年12月12日にはX-1Aで当時最速のマッハ2.44を記録。しかし、直後に機体は操縦不能に陥ります。錐揉み状態から辛くも機体を立て直すことに成功したイェーガーは、再び「最速の男」の称号を奪還します。1963年には、NF-104で危険な高度記録達成飛行に臨むも、再び墜落。辛くも生還を果たしています。

 

あっという間に、超音速戦闘機の時代へ突入。

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世界初の超音速戦闘機F-100スーパーセイバー。後退翼の威力により、初飛行から音速突破を果たした。

XS-1はリスクを恐れ、18Gもの衝撃に耐える頑強な構造と、シンプルな直線翼を採用していました。遷音速域でのふるまいが解明されていなかったからです。そのXS-1は運用も容易ではなく、飛行にも多大なリスクが伴い、地上からの離陸も不可能。事故も繰り返し起きていました。つまり、音速突破は日常のものではなかったのです。

ところが、試作戦闘機YF-100は、1953年の初飛行であっさり音速を突破してします。何処でも運用が可能なジェットエンジンを搭載し、45度の主翼後退角を持つこの機体は、F-100として空軍に正式採用されます。強力なエンジンと後退翼を得た航空機は、一気に超音速時代へと移り変わっていくのです。

 

戦闘機は、後退翼からデルタ翼の時代へ。

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ソビエトが1955年に初飛行させた、MiG-21。後退翼の後縁を繋いだデルタ翼の構造がよく分かる。
ワルシャワ条約機構側では初の超音速戦闘機であったMiG-21は、10,000機以上が生産された。

後退翼を導入したF-100は容易く音速を突破し、一気に航空機は超音速の時代に突入します。さらに速度を上げるには、マッハコーンに収まるよう後退角を増やす必要があります。が、後退翼は構造上きわめて不利で形状であり、後退角を増やすのには限界がありました。

そこで考えられたのが、後縁を胴体と直角につなぐ三角形の主翼でした。デルタ翼は、大きな後退角と狭い翼幅、高い構造強度を同時に実現する理想的な主翼形状でした。以後、ほぼ全ての超音速機がデルタ翼を採用することになります。デルタ翼機には、水平尾翼つきのタイプと、これを省略した無尾翼タイプが存在します。

 

超音速の魔法のルール。それが、エリアルール。

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[左]寸胴な胴体を持つYF-102。音速を突破できず、プロジェクト中止の危機に陥った。[右]YF-102A。エリアルールにより胴体を絞り込んでいる。

YF-102は、ソ連爆撃機編隊を迎撃する目的のためだけに開発された、単発デルタ翼の超音速ジェット戦闘機でした。ところが、YF-102は大きな問題を抱えていました。遷音速域で急増する抗力のため、水平飛行で音速を突破できなかったのです。これでは、会敵する前に核爆撃されてしまいます。一時は、計画中止も危ぶまれる事態となります。

そこで、試作11号機ではある理論に基づき機体デザインが変更されます。それは、NACAで発見されたばかりの「エリアルール」という不思議な理論でした。改良が施されたYF-102Aは、いとも容易く音速を突破。マッハ2へ到達します。

エリアルールとは、機体の断面積変化を滑らかにするという単純なものです。YF-102Aでは、翼前縁取付部後方の胴体をコークボトル状に絞ることで、断面積変化を抑制。また、この他にもキャノピー形状の変更や前部胴体延長等が行われた他、尾部には張り出しが追加されています。この改良によって、断面積変化はなめらかになり、マッハ1付近での抗力が半分近くも減少したと言われています。

エリアルールは、抗力低減の有効策として高速機のほぼすべてに適用されています。旅客機のエンジンナセルが主翼前方に吊下されているのも、エリアルールが考慮されたものです。また、ボーイング747の特徴的な2階席も、エリアルール導入のために設けられたものでした。

 

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著名なスペースシャトル・オービターが採用していたのが、ダブルデルタ翼。

一気に主役に躍り出たデルタ翼でしたが、欠点がありました。低アスペクト比のため、低速域で揚抗比が悪いのです。そのため、デルタ翼機は離着陸性能に劣っているのです。これは、戦闘機における空戦機動にも悪影響を与えます。そこで、その改善を図ったのが、ダブルデルタ翼です。主翼の中央付近を境に後退翼を変えることで、ここから大迎角時に渦を生成。これを翼上面に流して、失速を抑制します。

その後、ダブルデルタ翼は、よりスムーズな形状のクランクト・アロー・デルタ翼/オージー翼へと進化を遂げています。

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[左]F-16をベースにクランクト・アロー・デルタに改造されたF-16XL。F-15Eとの競作に破れ、後にNASAの試験機となった。[右]滑らかに繋がるオージー翼を持つ、コンコルド。

 

戦闘機のスタンダードとなった、クリップドデルタ翼。

翼弦長が極めて短いデルタ翼の翼端は、実際には意味がありません。そのムダな部分をカットしたのが、クリップドデルタ翼です。デルタ翼よりも後退角を減らしつつ、翼弦長を維持するため、より大きな翼面積を持ちます。第4世代以降のジェット戦闘機では広く用いられています。

デルタ翼よりも翼の前後長が短いため、水平尾翼を組み合わせて、より高い機動性能を実現するのがスタンダードとなっています。

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[左]F-15Eストライクイーグル。最大10t以上の兵装搭載量を誇る、現代最強の戦闘爆撃機。頑強な構造により、2030年代まで現役で任務に就く予定。
[右]史上最強、空前絶後の戦闘機と呼ばれる、F-22A。世界初のステルス戦闘機であり、圧倒的な打撃力とステルス性を持つ。自らが空にある限り、その空域すべてを支配する。

 
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[左]2001年に実戦配備が開始された、F/A-18Fスーパーホーネット。世界屈指のコストパフォーマンスを誇る艦上戦闘機。数年ぶりに、2019年予算で追加生産される。
[右]短距離離陸・垂直着陸を実現するステルス戦闘機F-35B。コックピット後方のリフトファンで、強大な揚力を発生させてホバリングする。日本でも、いずも型護衛艦への搭載が検討中。

 
 

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