スバルB4国内生産終了!遂に、その命脈は途絶えるのか? [2019年04月23日更新]
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スバルB4国内生産終了!遂に、その命脈は途絶えるのか?
2019年に発表されたばかりの、次期レガシィ。突然のバッドニュースは衝撃的なものでした。日刊工業新聞は4月10日、次期レガシィ・セダンは国内製造を終了し、その生産をすべてSIAに集約。現時点では、米国からの輸入・販売は未定とするニュースを発信しました。
レガシィは、紛うことなきスバルのフラッグシップモデル。常にスバルラインナップの頂点にあって、スポーツセダンの元祖として長く親しまれてきたモデルです。その命脈が途絶えるのだとしたら、ファンとして非常に悲しいことです。
確かに、現行レガシィB4は、エンジンラインナップも2.5LNAのみで、かつての若々しさと猛々しさは影も形も無く、これと言った華やかさもありません。今や、スポーツセダンと言えば、クラウン・アスリートが定番。命脈が遂に途絶えるのを、ファンはさもありなんと受け入れるしか無いのでしょうか。
スポーツカーをカモれる。スポーツセダンの元祖。レガシィ・セダン。
レガシィという存在は、1989年のデビュー当時から画期的でした。トヨタや日産のセダンとは一線を画する、軽快感とスポーツイメージ。セダンのいわゆる「ジジ臭さ」は皆無で、大人の雰囲気が漂うスポーツセダン。若者でも欲しい!と思わせるモデルでした。
最大のウリは、そのエンジン。独特のボクサーサウンドを奏でる水平対向4気筒ターボは、220psを発揮。そのターボモデルのみが装備するボンネットのエアスクープは、ビッシビシのスポーツイメージを醸し出していました。
STIはこの大柄なセダンでWRCに挑戦し、1993年には遂に初優勝。ホンモノだけが纏うオーラは、ライバルの敵うものではなく、孤高のスポーツセダンとして存在を際立たせていたのです。
1996年、2代目レガシィが後期型に進化すると、ターボモデルは自主規制枠上限の280psに到達。2.0Lエンジン初の快挙とあって、ツーリングワゴンと共に人気が殺到。遂に、レガシィはブレイクを果たします。
そこいらのスポーツカーよりパワーがあり、低重心パッケージング故にハンドリングもイイ。レガシィ・セダンは、「スポーツカーをもカモれる(←死語)大人のセダン」として、当時は世界に唯一つの存在だったのです。
牙を抜かれていく、レガシィB4。遂には、総入れ歯に?
硬派なスポーツセダンの座を確立した、レガシィB4。ところが、レガシィは代を重ねる毎に牙を1本ずつ抜かれていきます。4代目BL型では排気系等長化でボクサーサウンドを失い、5代目BM型ではボディサイスのアメリカ化で軽快感を失い、遂に6代目BN型では看板であるはずのターボとMTさえ失ってしまったのです。
今や、総入れ歯。レガシィであってレガシィでない。老兵は死なず、ただ去るのみ。そんな声が聞こえてきそうです。
これは、グロリア/セドリックがいつか辿った道。モデルチェンジする度に個性が薄れ、残るは筋金入りのファンのみ。寄る年波には勝てず、主要購買層が70代に達するとモデル廃止。。。
この流れに抗ったのが、クラウン。モデルチェンジの度に購買層は上昇、遂にモデル廃止の危機が訪れます。そこで心機一転誕生したのが、ゼロクラウン。スポーツグレードのアスリートを新設し、一気にユーザー層の若返りに成功したのです。
ファンの求めるレガシィB4とは、何ぞや。
レガシィの方程式、それは「レガシィ=ボクサーサウンド+ターボ+AWD」でしょう。
ドロロロローーと腹に響く、低くこもったエンジンノイズ。アクセルを踏み込めば、スポーツカーを顔負けの力強さ。そして、ビタッと安定して安心感をもたらすAWDシステム。ワインディングでは、滑らかなオンザレール感覚。ボンネットはクーペのように低く、スタイリングは知的かつ軽快感に溢れ、値段はソコソコお買い得。そして、こだわり派ならば、MT一択。これが、ファンの期待するレガシィB4像でしょう。
つまり、レガシィB4が殆ど捨ててしまったもの。そこにこそ、レガシィB4の理想があったはずなのです。それが、どうしてズレていったのでしょう。よっぽどライバルたちの方が、レガシィらしい路線を歩んでいるのに、、、です。
一筋の光明が、新型レガシィの搭載する2.4L直噴ターボ。アセントに搭載されるこのターボユニットならば、かつてのレガシィB4を彷彿とさせる走りが期待できるかも知れません。でも、スタイリングを見る限りは。。。
中規模メーカーは、際立つ個性が何よりも大事になる。
別項にも記したように、中規模自動車メーカーはこの先、次々に時代の波に飲まれていくことでしょう。
この荒波の中で生き残っていくには、より刺激的でより尖った存在へと、心を揺さぶる個性をとことん磨き上げていくしかありません。
それは、全方位性能と真逆なのでしょう。居住性や積載性を多少犠牲にしても刺激的なデザインを実現したり、乗り心地に多少目を瞑ってハードなハンドリングを実現したり、燃費をソコソコにしてパワーを絞り出したり、といった事です。今後は、万遍ない性能の没個性のクルマは敗れ去り、個性を全面に押し出したまるで80年代以前のような、尖ったクルマが生き残っていくことになるでしょう。
そう、レガシィB4はそれが出来なかったからこそ、退場を余儀なくされつつあるのです。もし、レガシィB4がかつての如くあったのなら、希少な存在として未来に受け継がれたはずなのです。そして、それはモデルチェンジを控えるレヴォーグもWRXも、次に控えるインプレッサとて同じことでしょう。