伝統のタフネスさと抜群の走破性。都会的なイメージと機敏な走り。XVの魅力に迫る。 [2020年02月01日更新]
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クロスオーバーなのに、カッコだけではない。不思議すぎるこだわり派のホンモノ。
SUVであって、SUVではない。ハッチバックであって、ハッチバックではない。カッコだけに見えて、カッコだけではない。考えれば考えるほど、XVというクルマは不思議に溢れています。XVとは、一体どんな魅力を持ったクルマなのでしょうか。
XVはジャンルで言えば、クロスオーバー。SUVとワゴン/ハッチバックの中間に位置し、世界の各メーカーから新モデルが発売される、今人気のカテゴリーです。実は、そのクロスオーバーの元祖は、レガシィ・アウトバック。そう、クロスオーバーは、そもそもスバルが編み出したジャンルなのです。
ただ、多くのクロスオーバーは「カッコだけSUV」です。もちろん、泥濘路など走れませんし、渡河も不可能。そもそも、四輪駆動でないモデルが殆どなのです。ジュースで言えば、無果汁・100%香料使用。単なる、SUV「風味」でしか無いのです。
しかし、XVは違います。全グレードが、スバル自慢のAWD仕様。つまり、完全なる果汁100%。最低地上高もしっかり200mm確保されており、多少の悪路も平気の平左で走り抜ける、本格派SUV顔負けの実力の持ち主なのです。
でも、それも不思議な話です。「カッコだけSUV」でも充分なカテゴリーなのに、スバルはなぜXVを「ホンモノ」に仕立て上げるのでしょうか。
伝統のタフネスさと抜群の走破性。都会的なイメージと機敏な走り。それが、スバルのクロスオーバー。
初代アウトバックは、2代目レガシィの最低地上高を引き上げ、SUV風に仕立てたモデルでした。米国で発売された1994年。その時全米で放映されたTVCFは、米国謹製の本格SUVを悪路でブチ抜いていくというもの。ツーリングワゴンの機敏な走りと、本格派SUVの抜群の走破性。その二面性をコミカルに表現したものでした。
それより、20年前。安価でありながら、タフで使いやすく、抜群の走破製を持つワゴン。スバルは、レオーネ・4WDワゴンで中部農業地帯を中心に、確固たる地位を築き上げていました。しかし、急激な円高が、北米頼りのスバルに大ダメージを与えます。当時、スバルの運命は風前の灯だったのです。
そこで、起死回生を図るべく、威信をかけて開発したのが初代レガシィでした。しかし、米国ではSUVが花盛り。日本で人気を博したレガシィは、スマートで洗練された都会派。タフさを求める米国では、全くサッパリでした。そこで、スバルが求めたのは、投資ミニマムで米国市場に投入できる「即席SUV」でした。
スバル伝統のタフネスさと、抜群の走破性。そして、都会的なイメージと、機敏な走り。こうした開発されたのが、初代アウトバックです。奇妙奇天烈なこのクルマは次第に市場に受け入れられ、クロスオーバーという新ジャンルを確立。今や、スバルの基幹車種に成長しています。
インプレッサ・アウトバック・スポーツに始まる、XV(米国名:クロストレック)の歴史。
3代目インプレッサ・アウトバック・スポーツ IFCAR [Public domain]
初代クロストレック Mr.choppers [CC BY-SA]
XVの源流を辿ると、「インプレッサ・アウトバック・スポーツ」という奇天烈なクルマに行き当たります。初代インプレッサをベースに最低地上高を引き上げ、同じ1994年に発売されたモデルで、より若いユーザを狙った安価モデルでした。日本で、「グラベルEX」として発売されたモデルです。2代目こそ、その伝統を受け継いだものの、3代目は経営不振の為せる技か「カッコだけ」モデルに。。。
しかし、2012年に発売された4代目は、オリジナルのルックスを持つ現代的なクロスオーバーに成長します。クロストレック(C日本名:XV)なる新たなモデル名を得て、アウトバックの弟分に相応しい本格派タフネス路線に回帰したのです。
フォレスターが本格SUVへと進化し、アウトバックとクロストレックが本格派クロスオーバーへと成長を遂げると、スバルは全米屈指のSUVメーカーとして、一気に躍進を始めます。販売台数は、10年で見事に倍増。現在に至る、100万台体制を作り上げたのです。
洗練された都会感覚と、スバルらしい機敏な走り。そして、中部農業地帯で鍛え上げられた、本格派譲りの走破性とタフネスさ。今も、クロストレック=XVは初代アウトバック以来の伝統となる、「二面性」をしっかりと引き継ぎいでいます。スバルが、XVを「ホンモノ」に仕上げるのは、その伝統を何より大切にしているからなのです。
では、スバルは何を武器に、定評ある走破性を実現しているのでしょうか?
スバルが誇る、シンメトリカルAWDシステム。その高い走破性のヒミツとは。
スバルの誇る高い走破性は、スバル独自の四輪駆動メカニズムにヒミツがあります。
そもそも、スバルが「シンメトリカルAWD」と呼ぶ四輪駆動システムは、他メーカーとは素性からして根本的に違うものなのです。実は、多くの4WDシステムは「常時」四輪駆動ではありません。スリップを感知・予測した時だけ、全輪に駆動力を伝達するシステム。滑って初めて4WDになるので、結局一旦は滑ってしまいます。つまり、常には「2WD」なのです。そのため、晴天の高速走行やコーナリング時には、4WDのメリットはありません。
え?カタログにはフルタイム4WDと書いてある。。。と思うでしょう。しかし、それは意味が違います。フルタイム4WDとは自動切換式(2WD↔4WD)の4WDシステムのことであり、常時四輪駆動という意味ではありません。これは、かつて存在した手動切替式のパートタイム4WDと区別するための呼び名なのです。
スバルのAWDシステムは、常に四輪全輪に駆動力が伝達される、真のフルタイムAWD。しかも、エンジン、トランスミッション、デフ、ドライブシャフトと、駆動系は完全に左右対称配置。だから、重量配分も左右均等。駆動力も左右均等。加えて、低重心。エンジン出力は一度も向きを変えることなく、リヤデフまで伝達されます。実は、これこそがXVの高い走破性のヒミツなのです。
常に、全輪を駆動するスバルのAWDシステムのメリット。
極端にグリップが少ない状況では、駆動トルクが少しでも過剰になると、堰を切ったように空転を始めます。一旦始まった空転は、簡単には回復しません。動摩擦係数<<静止摩擦係数だからです。
グリップを回復させるには、対地速度とタイヤ回転数を正確に一致させねばなりませんし、各輪のトルクを摩擦限界値以下に下げねばなりません。一旦滑り出してしまえば、そう容易くグリップは回復しないのです。非常時駆動式の4WDシステムのデメリットは明らかです。
また、低グリップ下での各輪の摩擦力はタイヤ接地圧の積分値に比例し、接地圧は輪重/接地面積で表されます。大型車が圧雪路を涼しい顔で走れるのは、乗用車よりも圧倒的に接地圧が大きいからです。また、レーシングマシンがダウンフォースを活用するのは、タイヤ接地圧を稼ぐためです。
一方、駆動力は各輪の摩擦力限界値×駆動輪数で決まります。常時全輪駆動であれば、常に倍の駆動余力を確保することができるのです。常に全輪を駆動し続けるスバルのAWDシステムのメリットは、ここに存在します。全輪で駆動力を分散して負担するため、より大きな駆動力限界を維持して走行できるのです。
基本メカニズムにこそ宿る、シンメトリカルAWDの高い走行安定性と優れた走破性のヒミツ。
一方、低グリップ時の走行安定性について考えてみましょう。各輪の摩擦力限界は当然、輪重に比例します。もし、左右輪で垂直荷重が異なれば、摩擦力限界にも左右差が生じます。
エンジン横置きFF車ベースの4WDの場合、レイアウトの都合上、重量配分はどうしても左右均等にはなりません。よって、低グリップ時の左右の駆動力はどうしてもアンバランスとなり、車両は常に安定性を欠くことになります。左右の重量配分が極めて均等なスバルのシンメトリカルAWDシステムのメリットは、ここにも現れます。
また、垂直荷重及びトルクの急激な変化は、当然空転を誘発します。重心が低いスバル車では、前後左右の荷重変動がより小さくなります。加えて、トルク伝達経路がシンプルなうえ、左右のドライブシャフトが等長のため、前後左右のトルク変動と左右差も極めて小さくなります。
スバルの誇るシンメトリカルAWDシステムは、そのレイアウトからして、より良い素性を有しているのです。高い走行安定性と優れた走破性。スバルにしか実現できない優れたAWDシステムが、XVを「ホンモノ」にしているのです。
インプレッサSPORTの最低地上高を200mmに引き上げ、スバルに相応しい走破性を付与。
XVはインプレッサの弟分であり、自販連ではインプレッサSPORT/G4と合算で集計しています。厳密には、現在でも「インプレッサ・XV」のままなのです。両者は型式も共通で、1.6Lモデルであれば、インプレッサ・SPORTの1.6L4WDモデルと同じ「GT3」を採用。逆に、インプレッサにSPORT/G4/XVの3仕様が存在する、と考える方が自然かも知れません。
兄弟車のため、インプレッサと鉄板部分は共用です。扁平率を10%引き上げてタイヤを大径化し、サスペンションはセットアップを変更。これにより、最低地上高を130mmから200mmに引き上げて、充分なロードクリアランスを確保。スバルのクロスオーバーに相応しい、走破性を付与しています。
シャシーは、インプレッサと共通のSubaru Global Platform(SGP)を採用。強靭なシャシー剛性/強度を土台に、サスペンション剛性及びタイヤの位置決め剛性を確保し、精度の高いハンドリングと抜群の高速安定性を実現。キッチリとした清々しい走りと、スムーズに路面をいなすしなやかさを、同時に実現しています。
アイサイトやその他装備品も、その多くは共用です。ただ、インプレッサが後期型がフロントエンドのデザインを一新したのに対し、XVは今回のタイミングでのデザイン変更は行っていません。そのためなのか、オプションのフロントビューモニターは、XVでは選択不可能です。