スバル初の本格BEV登場。その名は、ソルテラ。トヨタとの協業の未来とは? [2021年05月20日更新]

ソルテラ
 
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スバル初の本格BEVが登場。その名は、ソルテラ。
 
2021年5月11日 2022年年央の登場を宣言したトヨタとの共同開発BEV。その実力とは?

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文責:スバルショップ三河安城 和泉店

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担当:余語

 

太陽を意味する「SOL」と、大地を意味する「TERRA」の造語、ソルテラ。

 
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SUV兄弟5番目の末弟は、スバル初の本格BEV。その名は、SOLTERRA(ソルテラ)。

ラテン語で太陽を意味する「SOL」と、大地を意味する「TERRA」の造語、ソルテラ。その名は、大自然との繋がりを強く感じさせるもの。このモデルこそ、先ごろ発表されたトヨタ初の本格BEV「bZ4X」の兄弟車であり、激動の時代に対するスバルの答えでもあります。

一寸先は闇。CASE、MaaS、IoT、DXと、あらゆる進化が非線形の時代に突入した、自動車産業。100年に1度と言われる、大変革期。そこに示したスバルの答え。それは、資本的にも技術的にもトヨタと強く深く結び付くことでした。

スバルの最大の弱点が電動化にあるのは、もはや公然の秘密。現用のe-BOXERは、競合と比すれば完全に力不足。THSベースのPHVは、依然世界市場に投入できぬまま。。。しかし、電動化技術をイチから開発するには、莫大な投資が必要であり、中規模OEMのスバルには不可能。かと言って、欧州サプライヤーに頼れば、「フィットHVのリコール問題」の再来となりかねません。リスク最小限で、最大の利益を得る。それが、トヨタとの提携の深度化(グループ会社化)だったのです。

ソルテラは、スバル2030年問題に対する、唯一にして最高の切り札。新たに登場する、このCセグメントSUVについて、詳しく見ていきましょう。

 

開発初期段階からスバルが参画した、スバル名:e-SUBARU GLOBAL PLATFORM。トヨタ名:e-TNGA。

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トヨタはe-TNGAと呼び、スバルはe-SUBARU GLOBAL PLATFORMと呼ぶ、世界最新のBEV専用プラットフォーム。特筆すべきは、そのプラットフォーム開発及び商品企画の段階から、スバルが積極的に関与していること。つまり、このソルテラは、ステラやジャスティのような所謂OEM供給モデルではなく、BRZ/86のような共同開発プロジェクトなのです。

この事実を意外に思う方も多いかも知れません。トヨタにとって、e-TNGAは次世代戦略の重要な柱の一つであり、bZ4Xはトヨタのマイルストーンとなるモデルです。そうした重要戦略車種の開発に、他メーカーを関与させるというのは、未だかつて無いことだからです。

トヨタが求めたのは、スバルが有する優れたAWD技術。トヨタは、自身初の本格BEVを開発するに際し、電動四輪駆動技術はスバルに一任することにしたのです。逆に言えば、電動四輪駆動技術の自社開発を諦めた訳で、スバルとの関係が協業という領域を越えて、最早一体化しつつあるようにも思えます。

ただ、こうした動きはスバルだけに留まりません。bZシリーズの「コンパクト」は、スズキとダイハツをパートナーとしており、3社は共同で軽自動車のBEV化を実現することになるでしょう。トヨタは、自らは旗振り役として技術を先導し、商品化はパートナーの強力を仰ぐ、そういう開発のスタイルを新たに導入しつつあるのです。

餅は餅屋。そうした考え方は、自動車産業の中でも確実に浸透していくはずです。ギブ・アンド・テイクで、互いの得意分野を融合させれば、弱点を克服しつつ長所を強化することができます。ティア1への丸投げが多い欧州のOEMと違い、日本のOEMは自力開発を基本にしてきました。こうした開発姿勢も今後は徐々に変化していくのかも知れません。

そこには、トヨタのモビリティカンパニー化が大きな影響を与えているのは、間違いありません。優秀な人財は、ウーヴン・プラネットを中心とした、次世代モビリティ開発に集中的に投入していくことになるでしょう。

 

トヨタが欲した、スバル伝統のAWD制御技術。一体、何に秀でているのか?

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スバルが有する、高度な4WD制御技術。ところが、それはデフやトランスファーといった要素技術ではありません。勿論、それらは当然優れていはいますが、それら単体の良否が性能の源泉となっている訳ではないのです。

スバルのAWDシステムが、他社のそれと全く異なっているのは、そのパッケージングです。かの百瀬晋六は、車両開発の基本は「バランス」にあるとしました。

百瀬の思想の背景にあったのは、自動車工学ではなく、航空工学です。バランスの悪い航空機は、そもそも飛ぶことが出来ない。だから、自動車であっても、すべてのコンポーネントは効率的に左右対称に配置され、なおかつ最も理想的な3次元の重量バランスを実現すべきであり、動力の伝達系は最も無理の少ないもので無ければならない、としたのです。

そうして誕生したのが、百瀬の理想を具現化したスバル・1000です。そして、それは偶然のキッカケにより4WD化され、未だかつて誰もが見たことないポテンシャルを、そのパッケージングから引き出しました。

縦置き水平対向エンジンと、直結されたトランスミッション。そして、その前端に内蔵されたトランスファー。そこから引き出された動力は、一度も向きを変えることなく、リヤデフまで辿り着くのです。最もシンプルで、無理がなく、そしてバランスに優れたパッケージング。スバルのAWDが低μ路で優れた能力を発揮する理由は、正にここにあります。

低μ路に於ける駆動力は、各輪の接地面の摩擦係数と垂直荷重、そして伝達トルクとの「絶妙な均衡」で決まります。左右の重量配分が不均等なら。。。伝達トルクが不均等なら。。。重量配分とトルク配分が全く不整合ならば。。。駆動系のフリクションでトルク伝達が滑らかでなかったら。。。

だからこそ、スバルのAWDは世界に類を見ないほどに優れた性能を有しているのです。そして、半世紀以上に渡ってこれまで連綿と受け継がれてきた「百瀬の遺産」は、電動化という新たな時代へ向けて昇華し、これからも進化を続けていくことになります。

 

パワーユニットはBluE Nexus製。バッテリはプライムプラネット製。ボディはトヨタ製。。。

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プラットフォームは、BEVでのセオリーである、二重底式。ホイールベース間の床下に駆動用バッテリを収納し、これをフロアでサンドイッチ。500kgという巨大質量をセンターに低く集中させることで、低重心化とヨー慣性モーメントの低減を図っています。開発段階からスバルが関与していることから、スバルらしい高度の運動性能とハンドリング。そして、世界最高水準の衝突安全性能を実現しているのは、間違いないでしょう。

フロア幅は固定ながら、電池搭載量が許す限りホイールベースの変更が可能で、サスペンションの変更により全幅も変更可能な設計。これにより、ミディアムSUVからセダン、ミニバンなど、多様な車種に対応します。この辺りは、従来の設計思想とまったく共通です。

四輪駆動とは言えど、プロペラシャフトは存在しません。つまり、前後の駆動は互いに「連動」はするものの、「連結」はされない設計です。パワーユニットは前後に分散配置され、各々がコントロールユニットとモータを内蔵。それぞれが前後軸を単独で駆動します。恐らく、フロント側のコントロールユニットが、前後のトルク配分を統合制御するものと思われます。

このパワーユニットは、BluE Nexus製。聞き慣れないこの会社は、アイシンとデンソー、トヨタの共同出資会社。アイシン製モータとデンソー製コントロールユニットをアッセンブリし、その名も「eAxle」としてOEMに供給します。そして、駆動用バッテリはトヨタとパナソニックが出資するプライムプラネット製リチウムイオンバッテリ。

つまり、主要コンポーネントは、トヨタ製でも、スバル製でもないのです。エンジンが存在しないBEVでは、コンポーネントの内製率は低下するのは当然。ですが、何とも違和感は拭い去れません。ただ、これも時代の流れというもの。航空機同様に、コンポーネントは世界各国からかき集められ、OEMは最終アッセンブリのみを担うようになるでしょう。

 

ソルテラがスバルにもたらす、5つの革命とは。

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ソルテラという存在は、スバルに何をもたらすのでしょうか?

第一は、CAFE規制対応です。現在、目標値達成に絶望的な状況に追い込まれているスバルにとって、ソルテラは救世主のような存在です。しっかりと台数を売っていくことで、企業別燃費平均値は大いに改善され、BRZやWRXのようなスペシャリティなモデルの存続・発展に多大なる貢献を果たすことになるでしょう。

第二は、電動化に対する経験です。トヨタとの協業により、スバルはBEVのハードウェア開発という課題からは、めでたく開放されました。ただ、その分制御分野にリソースを集中することができます。もし、BEVに於いても、従来と同等もしくはそれを上回る性能を達成できるのなら、素晴らしい成果となるでしょう。

第三は、ラインナップの拡充です。スバルは現在、Cセグメントにはハッチバックとクロスオーバーがあるだけで、SUVはありません。ソルテラはBEVという特殊なモデルながら、ラインナップの弱点を補完します。また、e-TNGAで開発される別のモデルを「スバル化」できるのなら、更なるラインナップの拡充が可能になります。

第四は、ブランドイメージの向上です。環境対策という分野で、どうしても遅れが目立っていたスバル。ソルテラの登場は、そうした負のイメージを巻き返し、先進的なクリーンイメージを与えることでしょう。ソルテラは、スバルの新たな時代を指し示す、灯台の役割を果たすことになるはずです。

最後は、経営持続性の確保です。2010年代にアイサイトで確立した日本市場での存在感は、電動化の遅れにより再び後退を始めています。こうした状況は、スバルの経営持続性に疑問を投げかけることになります。ソルテラという切り札は、スバルが次世代市場に適合可能であることを顕示することになるでしょう。

何れにせよ、スバルにとってソルテラが2020年代を生き抜く切り札となることは、間違いありません。そして、新たなる可能性をスバルブランドに授けることになるでしょう。その登場は、2022年の年央。つまり、あとちょうど1年です。今後、bZ4Xと合わせ徐々にスペックも開示されていくはずです。是非、楽しみにお待ち下さい。

 

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photo by SUBARU

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