スバルショップ三河安城の最新情報。新型レヴォーグ[VN型]特集:その2 CB18型エンジンの技術詳細を徹底解説。| 2020年10月25日更新

 
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文責:スバルショップ三河安城 和泉店

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担当:余語

 

数々投入される最新技術。ピストン樹脂コーティング、水平割りコンロッド。

CB18 ピストン・クランク CB18 ピストン樹脂コーティング
 

CB18には、この他にも幾つか新技術が導入されています。これらを順番に見ていきましょう。

ピストンスカートの樹脂コーティングは、低粘度オイルの積極活用によって、より重要性を増しています。一般的には、水玉模様のようなパターンが多い中、CB18では、特徴的なパターンを採用しています。コーティングパターンを最適化することで、油膜厚さをコントロール。フリクションロス低減を図っているのです。そのミソとなるのが、斜めに入れられたミゾ。このミゾは、スラスト力が掛かる側と掛からない側で異なっています。

スラスト側は、上端から下に向かって斜め。ピストン上昇時は中心に向かってオイルをかき集め、下降時はかき集めたオイルが厚い油膜を形成。フリクションを低減します。一方、反スラスト側は下端から上に向かって斜め。ピストン下降時にオイルをかき集め、上昇時に厚い油膜を活用します。

コンロッドは、FA/FB型で採用されてきた斜め割りをやめ、EJ型で採用されていた標準的な水平割りに戻しています。斜め割りは、エンジンの組付け・分解整備時を考慮して採用されたものでしたが、サービスホールの設置等によりこれを廃止しています。斜め割りコンロッドは高回転チューニングの妨げになると言われてきましたが、CB18は高回転域を敢えて捨てた仕立て。そのため、主にフリクションロス低減や耐久性確保を念頭に置いたものと思われます。

FB16DITでは1本掛けだった補機ベルトが、2本掛けに変更されています。1本が、オルタネータとエアコンコンプレッサ。もう1本は、ウォータポンプを駆動します。また、タイミングチェーンのカバーが樹脂化。軽量化を図っています。これと同様に、タペットカバーも樹脂化。加えて、内容容積を削減することで、エンジンオイル量も削減しています。

 

なぜ、レギュラーガソリン仕様で仕立てられたのか。

新型レヴォーグ
 

最後に、最大の疑問がひとつ。CB18は、なぜレギュラーガソリン仕様で仕立てられたのでしょうか?

スバルは、CB18には決してハイオクガソリンを供給することの無いよう、ユーザーに呼び掛けています。もし、CB18にハイオクを使用した場合、本来の性能を発揮できないだけでなく、始動性・燃費に悪い影響を与える可能性があるとしています。

これまでも、ノッキングの可能性があるため、ハイオク指定車両へのレギュラー使用を禁じる事例は数多くあります。ところが、CB18はそれが逆。レギュラー指定車両へのハイオク使用を禁じているのです。通常、レギュラー指定車両へのハイオク給油は、メリットこそなくとも問題は無いはずですから、これは大変めずらしい事例でしょうし、それ相当の理由もあるのでしょう。

CB18は、大変緻密かつ繊細な燃焼制御を行っています。そもそも不安定なリーンバーンを安定させて継続するには、相当にセッティングを追い込んでいかねばなりません。もし、ハイオクを給油されたことを想定すれば、それ専用のマッピングを用意しておかねばなりません。ただ、それには多大な労力を要します。だからこそ、ハイオク仕様を「禁止」とする選択をしたのものと思われます。

そもそも、CB18をレギュラー仕様にした理由は、先代レヴォーグ以来の伝統でしょう。FB16DITも経済性を考慮してレギュラー仕様でしたから、CB18もこれに倣ったものと思われます。燃費改善だけでなく、ガソリン代そのものも低減する。これも、ライフサイクルコスト低減の一環です。

 

スバルの近未来エンジンラインナップはどうなる!?

技術ミーティング
 

完全に新規開発されたCB18は、今後スバルの主力エンジンとして搭載車種を増やしていくことでしょう。10月22日には、フォレスターに新グレード「SPORT」が登場。CB18を搭載することが発表されています。CB18はFB25を置き換えて、今後も勢力を伸ばしていくはずです。その技術的安定性が充分担保されれば、遠く北米へと勢力を拡大していくことになるでしょう。

一方、2.0LNAのFB20は、国内で急速に勢力を減退。代わって一気に数を増やしたのが、マイルドハイブリッドのe-BOXERです。今や、2.0Lはe-BOXERが標準となるに至っています。ただ、e-BOXERには2.0L・AWD仕様しかないため、1.6LやFF仕様は従前のエンジンを継続搭載しています。

本来であれば、CB18の弟分である「CB15」が、FB20に代わる計画でした。CB18と同じライトサイジング・リーンバーンのコンセプトを採用し、このクラスの熱効率を一気に改善する手筈だったのです。ところが、CB15に関する情報は近年途絶えたままです。前中期経営計画にあったその記載は、現中期経営計画にはありません。

これに代わって記載されたのが、HEV専用エンジンです。このエンジンは2020年代中盤に登場し、THSと組み合わされる見込みです。

以上を整理すれば、ここ数年のエンジンラインナップは次の通りとなります。最上級は2.4LのFA24。こちらは直噴ターボ仕様に加えて、NA仕様が登場する見込みです。続いて、FB25。そして、これを置き換えるCB18。この下に位置するのがFB20で、NA仕様とe-BOXER仕様が存在します。そして、ボトムを担うのが、唯一ポート噴射で存置されているFB16。以上、5型式8種類が現役です。

この中で早期退役が見込まれるのが、FB25です。現在、北米ではレガシィ系とフォレスターに搭載される主力エンジンですが、国内では既に廃版。今後は、海外仕様を含め、これをCB18ですべて置き換えるのかが注目されます。

一方、e-BOXERもエンジン自体はFB20ですから、世代としては置き換え対象です。可能であれば、「CB15」の直噴ターボ仕様でFB20を、NA仕様でFB16を置き換えるのが理想ですが、コスト上中々許されることではないのかも知れません。

何れにせよ、今後数年間はスバル史上かつて無いほど、エンジンラインナップは賑やかになりそうです。皆さんのお好みは、果てさてどのエンジンでしょうか。

 

新型レヴォーグ 2020年10月

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photo by SUBARU
 

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