スバルショップ三河安城の最新情報。マン島TTアタック、オフィシャルムービー遂に公開。| 2016年6月26日更新
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プロドライブ、再びスバルと仕事をする。
バリアもなく、立木と石塀、そして観客に囲まれた、狭い公道上を駆け抜ける最も危険なモータースポーツイベント、「マン島TTレース」。昨年、このマン島TTレースで、マーク・ヒギンスが19分26秒という四輪レコードを記録したことをお伝えしたことを覚えていらっしゃるでしょうか?
スバルUKではなく、なぜかスバルUSAの主導で進められたこのプロジェクト。今年は、完全なるニューマシンを投入するようです。しかも、ほぼノーマルを維持した昨年のアタックカーと異なり、2016年バージョンは完全なるレーシングマシンとして開発されているようなのです。
そんな危険なマシンを開発したのはあの伝説のファクトリー、プロドライブです。WRCで、スバルとともに数々の伝説を打ち立ててきたプロドライブが、6年の歳月を超えてスバルと共に新たなマシンを制作したのです。これは、大変な出来事!!
不思議なほど高い完成度。浮かび上がる疑問。
純白にペイントされたVAB型「WRX STI」は、200mmほどワイドに仕立て直されており、車高はギリギリまで落とされ、ウィンドウ越しには頑丈なロールゲージが見て取れます。フェンダーは後付ではなく、パネルごと新たに製作し直されており、フロントバンパーはもちろん、リヤドア、リヤクォーター、リヤバンパーまでが新規製作品です。そんな緻密な造形とは対照的に、トランクリッドにはシンプルなリヤウイングが無骨な姿を見せています。
ロールゲージは安全用の単なる補強ではなく、太さの異なるパイプで構成する現代的で複雑なものですし、フェンダーも後下方がカットされた流行の形状になっています。さすが、プロドライブと言える美しい仕上がりです。それに、昨年はヒギンスひとりでのアタックだったにも関わらず、コ・ドライバー用の助手席が設置されています。
この車両がいったいどのレギュレーションに準拠しているかは明らかではありませんが、ワンオフで終わるようなプロジェクトには見えません。もし、ワンオフだとしたら、とてつもない請求書がスバルUSAに届くはずです。ビジネスに長けたプロドライブが、先の無いプロジェクトにわざわざ関与するとは思えませんし、スバルUSAがそんな無駄金を投じるとも思えません。
プロドライブは、そんなに暇なのか。
かつて、SWRT(Subaru World Rally Team)としてスバルとWRCを共に戦ったプロドライブは、すべてのスバルのワークスカーの製作とメンテナンス、オペレーションを担った世界有数のレーシングカーコンストラクターです。今では、モータースポーツに留まらずメーカーからの受託開発も行う総合エンジニアリング企業に成長しています。
そのプロドライブを率いるのが、デイビッド・リチャーズ。2007年には、クウェートの投資家らと共に伝統的スポーツカーメーカー、アストンマーチンをフォードより買収、一時期は自ら会長として経営に当たりました。そうした経緯から、プロドライブのモータースポーツ活動の中心にはアストンマーチンレーシングが据えられています。プロドライブの製作するワークスGTカーは、コレクターにとって価値あるコレクションとなるので、高額での再販が可能なこともあって、現在も順調に活動を継続しています。
一方、BMW傘下のminiと2011年に開始したWRC活動は、失敗に終わりました。資金不足の中で2012年に中断。以後は、プライベータのサポートのみを継続しています。
2000年代前半、プロドライブはSWRTと同時平行して、F1のB・A・RのマネージメントとフェラーリのGTEプログラムを進めていました。この頃を彼らの黄金期とするならば、今は低迷期と見なすこともできるでしょう。そういう意味においては、今現在プロドライブは「暇」なのかも知れません。
誰が、必要としているのか。
では、このプロドライブの製作したVAB型「WRX」。いったい誰が必要とするのでしょうか。
日本のスバル本社がモータースポーツ活動の中心に据えている、NBR24H用のVABは日本国内で製作されたものです。車両の開発・製作を社内で実施し、メカニックをディーラー選抜とするなど、人材育成の場としての側面が見られることから、NBRにスバル本社がプロドライブ製VABを持ち込むことは考えにくいでしょう。
現在、ERCにはVAB型WRXがマーク・ヒギンスのドライブで参戦しています。このラリーカーは、余り著名ではないJRMというファクトリーが製作したものです。また、BTCCで今年から参戦を開始した「レヴォーグ」は、昨年までVWを走らせていたTeamBMRが製作からオペレーションまですべてを担当しています。この2つのプロジェクトは、スバルUKが独自に関与するものです。
これとは別にヨーロッパでは、トミ・マキネンレーシングがGRB型WRXのR4カーを昨年まで製作していました。このR4マシンには日本のスバルもしくはSTIが関与していたと思われますが、マキネンがトヨタのWRC活動に関する契約したのに伴い、プログラムは終了しています。
一方、スバルUSAはマークの弟であるデビット・ヒギンスを擁して、VAB型でラリー・アメリカに参戦しています。このほか、ラリークロス用のVABとGRBが存在しています。
この情報を唯一、公式に扱ったのはスバルUSAのみ。
昨年、マン島TTのプログラムを主導していたのは、スバルUKではなくスバルUSAでした。つまり、このプログラムには当然スバルUSAが関与しています。このマシンに関するプロドライブの発表を、公式SNSで唯一紹介したのもスバルUSAでした。スバルUSAは積極的にモータースポーツへの関与を継続しており、ラリークロスやラリー・アメリカにもいち早くVAB型を投入しています。
ここ10年で販売台数を倍増させているスバルUSAは、ある程度潤沢な資金を有していると思われます。スバルUSAが力を入れるラリー・アメリカは、現在のところ注目すべきモータースポーツプログラムではないかも知れません。しかし、根強い人気を誇るスバルの最新モデルであれば、一定数のラリーカーの販売を見込めるはずです。ここにプロドライブが目をつけたのではないでしょうか。
本家のWRCは低迷期にあり、人気低迷に喘いでいます。参戦車両のベースモデルは、どれもコンパクトカー。勝利を独占するのはVWのコンパクトカー「ポロ」であり、トヨタの次期参戦車両はVITZです。小さなドリフトアングルで弱アンダーのまま駆け抜ける姿は、かつてインプレッサがフルカウンターを当てながら鮮やかにドリフトしていた姿とは比べ物になりません。
古き好き時代の面影を残すラリー・アメリカが、今後注目を集める可能性は大いにあるでしょう。プロドライブは、プログラムの詳細を明らかにはしていません。この先、このマシンがどういう姿に進化を遂げていくのでしょうか。ただ、たった1回のイベントで幻に終わってほしくはありません。
2016年マン島TTのタイムアタックカーの詳細が明らかに。
スバルUSAが4月15日、プロドライブとのジョイントによってマン島TTでのレコードタイム更新にチャレンジすることを公式に発表しました。プレスリリースには、プロドライブとスバルに関する歴史について触れています。詳しくは、リンク先を御覧ください。
今後、実車のテスト風景を含め、様々な情報が公開されていくものと思われますので、当サイトにて逐次ご紹介してまいります。
>>Subaru of America News Alert
2016年5月25日追記:
プロドライブが公開したPVをアップロードします。映像を詳しく見た結果、いくつかスペックが明らかになりました。
・タイヤはDUNLOP製のレーシングスリック。
・サスペンションは完全オリジナル。ハブは削り出し。
・リヤウイングは角度調整可能。
・エンジンは旧WRC仕様のワークススペックの流用。>>参考
・コ・ドライバー席あり。
・ドアインナーパネルはCFRP製。
・ミッションはパドルシフト式のセミ・オートマ。
このマシン、とてつもないコストが掛かっているようです。この開発資金は、いったい何処が負担したんでしょうか。しかし、公開されたカラーリングにはDUNLOP以外のスポンサーステッカーは見られません。謎は深まるばかりです。
「2016 RedBull Global Rallycross」にオフィシャル参戦。
スバルラリーチームUSAは、STIとVermont SportsCarと共同でオフィシャルチームを組織し、「2016 RedBull Global Rallycross(GRC)」の8戦に参戦することを発表しました。長年ラリー・アメリカに参戦を続けてきたデビッド・ヒギンズがテストドライバーを努め、レギュラードライバーをサポートします。
Vermont SportsCarは2006年以来、オフィシャルチーム「SUBARU RALLY TEAM USA」として活動。マシンの開発・製作を担ってきました。近年はラリーマシンだけでなく、ラリークロス向けのマシンの製作も行なっているようです。なお、コリン・マクレー生涯最後のラリーとなった、2007年のX Gamesでマシンを提供したのも彼らです。GRC、ラリー・アメリカ、マン島TTなど積極的なサポートを続けるスバルUSAは、今後もモータースポーツへの関与をより強めていくものと思われます。