スバルショップ三河安城の最新情報。VWのディーゼルゲート事件は、電気自動車化を一気に加速させる。| 2016年11月3日更新
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モータスポーツ界に激震。時代は一気に加速の予感。
VWグループが巻き起こした排ガス測定不正事件、いわゆるディーゼルゲート事件の余波は想像以上に大きな波となるかも知れません。
VWグループはこの秋、2つの世界選手権からの今季限りの撤退を突如宣言しました。Audiは10月26日、18年に及ぶルマンを含むWEC(世界耐久選手権)の活動終了を発表。立て続けに、11月1日にはVWは4年続いたWRCプログラムの終了を発表しました。表向きには新時代(電動化)を見据えての決断としていますが、巨額の保証費用が影響を与えていることは言うまでもないでしょう。
もちろん、すべてのモータスポーツから撤退する訳ではありません。AudiはDTM(ドイツツーリングカー選手権)を継続しますし、両メーカーともにカスタマー向けの車両製作・販売を継続していきます。ただ、その規模は現在と比べるべくもないほど縮小されるでしょう。
電気自動車でレースをする、Formula-E。
今回の撤退発表でもっとも重要な点は、AudiがFormula-Eにワークスとして参戦する、という発表です。
Formula-Eは世界で初めての電気自動車による世界選手権です。F1のようなマシンにバッテリとモータを搭載したマシンで競う、新しいカテゴリーです。排ガスも騒音もないFormula-Eですから、都市中心部でも開催OK。ということで、パリやベルリン、北京など世界の特設市街地サーキットで年間10戦程度が開催されています。シリーズは秋から翌年春に掛けて開催され、現在の2016/17年シリーズは3年目のシーズン3に当たります。
このFormula-E、何とも不格好なことに50分間のレースを完走できません。充電量が足りないからです。現在のルールでは、途中でマシンを乗り換えて2台目のマシンでゴールを目指すことになっています。出力は予選で200kW、決勝ではたった170kWと、ちょっとしたスポーツカーにさえ敵わないパワーしかありません。ただ、技術開発の制限はシーズンの進展とともに徐々に解除されていく予定で、主催者はシーズン5になれば1台でゴールを目指せるはずだと、しています。
これまで、メーカーとして関与していたのはルノーのみでした。というのも、当初は混乱を避けるために技術開発の一切を制限していたからでした。それもあって、メーカーは直接的な関与を避けて、様子見を決め込んでいたのです。
ただ、すでに時代は動き始めています。ジャガーはパナソニックと提携して今シーズンから参戦を開始。Audiは当初より間接的な関与を継続しており、BMWは既存チームとの提携を発表。メルセデスも将来的な参戦を予告しています。また、日本メーカーもいくつか興味を示しているといいます。Audiの発表を受けて、メーカーは堰を切ったようにFormula-Eに参戦を開始するはずです。
5年後のFormula-Eの進化とは。
メーカーが全力で技術開発競争を始めると、とてつもない上昇カーブを描くことは既に知られたことです。5年前に影も形も無かったレーシングハイブリッドは、今やF1やルマンでは当たり前になっています。となれば、2020年のFormula-Eがどんな姿になっているか、想像もつきません。
日産「リーフ」に改良が施されたのは、この6年間でたった2回。これに対し、モータースポーツではレース毎に改良が施されていきます。数年に一度改良がなされる市販車と違い、モータースポーツでは1週間単位で改良が施されていくのです。その効果たるや、ケタ違い。しかも、技術の優劣は容赦なくリザルトに現れます。
そうした技術の蓄積が、電気自動車の未来に決定的な影響を及ぼすのは間違いありません。バッテリやモータで技術革新が急速に進み、より省電力で、より航続距離が長く、ハイパワーな電気自動車が実現するはずです。
「遅いけど、クリーン。でも、遠くへは行けない。」そんな電気自動車のマイナスイメージは木端微塵に粉砕されて、「ビビッドでクリーンで、しかも何処でも行ける。」新しい電気自動車の時代が創出されるでしょう。つまり、それは電気自動車を遠ざけていた理由が無くなるということであり、一気に電気自動車時代が訪れる要因となるはずです。
電動化の波に乗り遅れてはならない。
この波に乗らないというのは、メーカーにとって非常に危険な選択となるでしょう。
現在の自動車メーカーにとって、エンジンと車体に関する技術力は生命線です。その技術的優位性と独自性こそが、そのブランドの存在意義でもあります。
しかし、モータとバッテリを生産する企業は世界に数多とあります。自動車メーカーが、この分野で技術的主導権を握れるとは限らないのです。主導権を奪われたメーカーは、サプライヤーのお仕着せのモータとバッテリを使わざるを得ない状況に追い込まれます。そうしたメーカーが、独自技術を持ったメーカーとの販売競争に生き残れるとは思えません。
2030年以降には、ドイツやEU内で内燃機関搭載車の販売が禁止される可能性があります。残り、13年と少し。つまり、次々期インプレッサはEVでなくてはならないのです。
自動車業界は、明らかに大変革期を眼前にしています。カーシェアリングは都市の部分的サービスに限定されるとしても、電動化の波は止めどなく押し寄せることでしょう。
移動体に、ブランド価値はいらない。
果たして、自動車産業は電動化の波を超えて発展を遂げられるのでしょうか。Uberやカーシェアリング、レベル3以上の自動運転、そして電気自動車化。人々が単なる移動体へと認識を変え、自動車に個性を求めなくなった時、ブランドの価値はすべて失われます。何処のメーカーのクルマでも、同じ。そういう時代が来るのです。
そうなった時、人々は価値よりも価格を求めるでしょう。携帯電話同様に、苛烈な価格競争で業界全体が疲弊していくのは、火を見るより明らかです。しかし、それでは自動車産業は成立しないのです。