スバルショップ三河安城の最新情報。デビューから2年半。漸く新型アウトバックが国内発表。| 2021年9月4日更新
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北米発表から早2年半。漸く実現した、新型アウトバックの国内デビュー。
2021年9月2日。後期型アウトバック(BT型)が漸く日本で発表されました。北米デビューから、早2年半。やっと本格デビューの時を迎えることになります。まずは、紆余曲折のあった7代目レガシィの歴史を振り返ってみましょう。
スバルのフラッグシップモデルである、レガシィ。7代目となる現行モデルが初めて登場したのは、2019年2月7日のシカゴオートショー。この時ワールドプレミアとなったのは、4ドアセダンモデル。そして、本命のアウトバックはこれに遅れること2ヶ月。2019年4月17日に、ニューヨークショーでベールを脱ぐことになります。
ところが、待てど暮らせど日本では動きがありません。年次改良を繰り返しつつ、旧型モデルの販売が続いたのです。それもそのはず、スバルの国内戦略では、レガシィに代わって新型レヴォーグを新たなフラッグシップに据える計画だったのです。
先代BN/BS型レガシィはツーリングワゴンを廃止したこともあって、販売台数ではずっと苦戦が続いていました。中でも、大苦戦となったのがレガシィB4です。これまでのスポーツセダン路線を一蹴したため、スポーツセダン化する世の流れと完全に逆行。一気に人気を失っていました。加えて、アウトバックも後期型は特に芳しからず。。。7代目開発に際しては、国内廃止の検討さえ強いられます。結果、B4は右ハンドル仕様を開発せず、国内廃止。アウトバックは右ハンドルを計画するも、北米仕様のデビュー後に着手とされます。
こうして、2019年に7代目レガシィ兄弟は相次いで北米デビューを飾るも、国内はそのまま存置、となったのです。計画通り、2020年7月末にレガシィB4は国内受注を終了。これを以て、スバル1000以来のフラッグシップセダンの命脈は途絶えることとなります。
スバル初のプレミアムクロスオーバー。アイサイトXを標準搭載。
新型アウトバックの登場にこれだけ時間を要したのは、新世代アイサイト+アイサイトXに理由があります。2019年2月登場の7代目レガシィは、センターコンソールに11.6インチインフォテイメントシステムを据えることを前提としたインパネ設計としています。ただ、この時点ではスバルが全力を投じて開発中であった新世代アイサイトは未完成。そこで、北米仕様はインフォテイメントシステムにアイサイトver.3を組み合わせる折衷仕様としてデビューすることとなります。
2019年秋、ハンズフリーを実現するアイサイトXを搭載して、新型レヴォーグは東京モーターショーに華々しく登壇します。ところが、先行予約が開始されたのは10ヶ月後の2020年8月20日。完全新基軸となるアイサイトXの技術実証に多大な時間を要したのです。それでも、国内市場でのフラッグシップモデルを交代させるには、販売戦略上どうしてもアウトバックが先んじてデビューする訳にはいきません。
こうして、BT型右ハンドル仕様は着手されぬまま、月日だけが過ぎていきます。ただ、新型レヴォーグ(つまり、新世代アイサイト+アイサイトX)の発売が間近に迫る中、わざわざ折衷仕様で国内発売を急ぐ必要もありませんでした。そこで、新型レガシィを北米で先行発売しつつ、国内モデルは新世代アイサイト+アイサイトXの完成を待つこととなったのです。
ところが、今度は仕様を巡って問題が生じます。発売時期を新型レヴォーグ発売約1年後の2021年秋とすると、北米基準ではBT型は間もなくC型のタイミング。マイナーチェンジは、あと1年と迫っています。そこで、右ハンドル仕様は後期型のみとして、先行デビューさせることとなったのです。
右ハンドル仕様は、アイサイトXレスのオーストラリア仕様が先行デビュー。
2021年1月20日。後期型アウトバックは、史上最も不思議なデビューを飾ります。このマイナーチェンジモデルが発表されたのは、圧倒的な販売台数を誇る米国ではなく、スバルのお膝元であるここ日本でもなく、強豪ひしめく欧州でもありません。太平洋を遥か越えた南半球、オーストラリアだったのです。
北米市場の陰に隠れつつ、最近好調なのがオセアニア市場。特に、日本のスバル中古車は現地で大変な人気を博しています。そこで、オーストラリアで後期型アウトバックを先行発売することとなったのです。大英帝国に連なるオーストラリアは、日本と同じ左側通行。故に、この後期型アウトバックは、そのまま後期型右ハンドル仕様の初お目見えでもあります。
オーストラリア仕様が先行したのは、アイサイトXが未搭載なのと無関係ではないでしょう。後期型アウトバックが搭載する新世代アイサイトは視野角を大幅拡大し、ミリ波レーダを組み合わせた最新パッケージ。ユニットに内蔵されるECUの情報処理能力を大幅に向上させることで、「ハンズフリー」を実現する能力が付与されています。ただ、海外仕様では依然としてアイサイトXは「封印」されたままです。
これには、理由があります。アイサイトXは、カメラ+ミリ波レーダのセンサー情報だけでなく、事前収録された高精度3Dマップ情報を併用することで、高速道路での限定的なハンズフリーを実現しています。もし、海外でアイサイトXを実現するならば、彼の地の高速道路を走破して、道路情報をすべて事前収録せねばならないのです。狭隘な日本列島ならまだしも、広大な北米大陸のハイウェイを走破するのは並大抵のことではありません。これは、オーストラリアでも同様でしょう。
アイサイトX非搭載ならば、膨大なデータ収録作業をカットできるため、大幅にデビュー時期を早めることができたのです。
苦戦中のスバルの国内販売。新型アウトバックは新たな需要を開拓できるか??
斯くして、新型アウトバックの国内仕様が決していきます。エンジンは、北米仕様の2.4L直噴ターボ+2.5L直噴NAではなく、新型レヴォーグと共通の1.8Lリーンバーンターボ。アイサイトは、これまた新型レヴォーグと共通の新世代アイサイト+アイサイトXを全グレード標準装備。つまり、今回発表された国内仕様の新型アウトバックは、オーストラリア向けの後期型右ハンドル仕様のアウトバックに、国内仕様の新型レヴォーグをミックスした、これまた折衷仕様となっている、と言えます。
対して、北米仕様は依然前期型を継続販売中。3月に登場した北米の特別仕様車「ウィルダネス」も、前期型のまま。よって、北米ではD型のタイミングまで、前期型を維持する計画だと想像されます。一方、2021年1月登場のオーストラリア仕様は、後期型仕様のボディに2.5L直噴NAと新世代アイサイト(アイサイトXはなし)の組み合わせ。どうしたことか、たった1車種のために3仕様を作り分けることになります。
勿論、米国向けがずっとver.3系のみという訳ではありません。つい先日発表された「ウィルダネス」のフォレスター版は、ボディは後期型仕様で、アイサイトも新世代アイサイト。つまり、フォレスターを皮切りに、WRX以降順次新世代アイサイトに切り替わっていくものと思われます。
開発時、4870mmというビッグサイズ故に、国内投入を見送るべきとの意見もあったというBT型アウトバック。確かに、このサイズまで達すると、取り回しには明らかに困難を伴うでしょう。でも、所謂高級車で言えば、当然のサイズでもあります。逆に、この余裕あるサイズだからこそ、今までにない需要を惹起する可能性を秘めているとも言えます。
一方で、このセグメントを求める消費者は、性能、品質、サービスに対する要求も厳しいのは事実。新型アウトバックが、果たしてそれに見合う性能を有しているのか。その実力のほどに、期待に胸高鳴ります。
さてさて、新型WRXの登場も間近に控え、新車ラッシュのスバル。ただ、国内では肝心の量販車種が苦戦気味。インプレッサ/XV系のテコ入れを含めて、今後の躍進が期待されます。