スバルショップ三河安城の最新情報。2023年初夏、注目の世界三大レースとニュル24時間。| 2023年5月26日更新
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世界三大レース、その開催は間もなく!!
萌芽が深く青に染まり、陽光が白く大地を染め渡す初夏。F1モナコGP、インディ500、ルマン24時間。優に100年の時を数える、世界三大レースが開催の時を迎えます。初夏はモータースポーツ興奮の季節。1年で最も日が長く、夜はまだ涼しさが残るこの時期は、モータースポーツに最も適したコンディション。そのため、夏至を挟んだこの時期に古くからビッグレースが開催されてきました。
ちなみに、モータースポーツ史上、世界三大レース全てを制したドライバーは世界にただ一人。60年代に活躍した、グレアム・ヒルです。この永遠不滅の記録への挑戦権を持つのは、フェルナンド・アロンソ、ファン・パブロ・モントーヤ、A・J・フォイト3人。但し、実質的に可能性を残しているのは、現在はF1に復帰し、今話題のアストンマーティンを駆るフェルナンド・アロンソのみ。なお、フェルナンド・アロンソは2度のF1タイトルは当然として、参加したルマン全てに勝利かつ初参戦から2連勝という記録も有しています。
先陣を切るのは、F1モナコGP。
さて、2023年のトリプルクラウン。最初に決勝を迎えるのは、5月28日に決勝が行われるF1第7戦モナコGP。神々しくエメラルドに染まる絶景の地中海、その絶壁に築かれた小国モナコ。世界のセレブが集うこの街は、初夏の1週間だけコロッセオに生まれ変わります。
今シーズン、圧倒的強さを誇るのはレッドブル。マックス・フェルスタッペンは、ビタビタの一番人気。ただ、市街地コースに滅法強いセルジオ・ペレスも注目です。出遅れ気味のメルセデス、フェラーリを尻目に、一気に躍進したのがアストンマーティン。2026年からホンダエンジンを搭載するこのチームは、レッドブルから空力エンジニアを獲得して上り調子。下剋上とばかりに、今シーズン既に6戦中4度の表彰台を獲得。その全てを獲得したのが、老練のフェルナンド・アロンソ。果たして、ここモナコで復帰後初優勝を飾るのか要注目です。
神に選ばれし、20人の猛者たち。その白熱のバトルを期待したい処ですが、如何せん近年のモナコGPは酷いもの。戦前からそのままの市街地コースは、信じられないほど幅員が狭く、並びかけるのはほぼ不可能。それもそのはず、狭隘なコースを走るのは全長5m・全幅2mの巨体。それ故、ファンが期待する白熱のバトルは望み薄。数珠繋ぎの悲しいパレードラップが、丸々2時間続くことになります。
生配信で愉しむ方にとって、決勝は重たい瞼とのバトルとなるでしょうが、それでもモナコは特別。特に、予選は格別。決勝で前に出れないとなれば、予選で前に出る他ないのは自明。そのため、予選では限界ギリギリを狙って、渾身のアタック合戦が繰り広げられるのです。ガードレールにミリ単位で肉薄し、リスクを犯して0.01秒を削る様は、ここモナコでしか見られないもの。
僅かなミスがクラッシュへ直結する、モンテカルロ市街地コース。2023年、栄光の美酒に酔いしれるのは誰になるのか。マシンの大幅変更を強いられたメルセデスの巻き返しはあるのか。その行く末に目が離せません。
世界最古・世界最速のインディ500。
モナコGPのスタートから3時間45分後、今度はインディ500は決戦の火蓋が切って落とされます。1911年に始まるインディ500は、世界最古・世界最速のレースイベント。フィールドとなるインディアナポリス・モーター・スピードウェイは、4つのコーナーとストレートで構成される全長4.0kmのオーバルコース。その最大の特徴は、浅いバンク角(9°12′)。そのため、コーナーを全開で駆け抜けることは出来ず、繊細なスピードコントロールとパワーコントロールが必須。それでも、最高速度は優に400km/hを超え、コースレコードは平均速度382.182km/h(!!)に達します。しかも、レースは500マイル(800km)の長丁場。技術だけでなく、経験も要求されるのが、世界最古の自動車レース・インディ500なのです。
インディ500では、幾つもの不思議な伝統があります。その筆頭は、優勝セレモニー。何と、シャンパンではなく牛乳を飲む(!!)のが鉄則。しかも、美味そうに飲まないと、賞金がパーになる罰則付きです。また、ラップタイムはタイムではなく、スピードで計算するのが伝統。フィニッシュライン付近のレンガ敷きは、全面レンガ敷きだった建設当時の名残り。ブリックヤードという別名は、これに因むものです。レースも長けりゃ、開催期間も長い。プラクティスを含れば、何と1ヶ月(!!)に渡って続きます。コーナーがすべて左なので、ストレートでは逆に右にハンドルを切って直進するセッティングが常識。400km/hで逆に切るのは勇気が要りそうです。
優勝者に手渡されるのは、歴代優勝者の顔が刻まれた特徴的なトロフィー。そのトロフィーに顔を刻む唯一のアジア人が、佐藤琢磨です。2017年、2020年と2度の優勝を誇る佐藤琢磨は、2023年最大の注目。今年、インディ500に焦点を絞っている佐藤琢磨は、優勝最有力の一人。新たに強豪チップ・ガナッシに移籍し、3年ぶりの優勝を狙います。
米国開催ゆえに、スタートは月曜未明の午前2時、ゴールは早朝6時頃と、サラリーマンには嘆きの時間帯。ただ、レースは眠気も吹き飛ぶ、手に汗握る興奮の連続。400km/h超のバトルは、絶対必見です。
100周年記念大会となる、ルマン24時間。
少し飛んで、6月10日はルマン24時間。今年は、何と100周年記念大会です。最大の注目は、一気に台数を増やした最高峰クラス・ハイパーカー。絶対王者トヨタに加え、フェラーリ、ポルシェ、キャデラック、プジョーを新たに迎え、久方ぶりにワークスバトルが復活します。
盤石の優勝候補はやはりトヨタ。絶対的な信頼性に加え、圧倒的なスピードも誇るGR010は、まさに最強。WEC2023年シーズンは、3戦3勝と圧倒的な強さを見せ付けています。第2戦ではドライブシャフト交換を10分で完了するなど、信頼性だけに留まらず、整備性まで考え抜かれたその設計は、別格の存在です。また、2台のペースが異なる場合、臨機応変に順位を入れ替えるなど、チーム戦略の面でも耐久王たる風格を誇っています。
これに対抗するのは、フェラーリ。新車499Pは、70年代以来となるワークススポーツカー。シーズン序盤から唯一トヨタに追従するスピードを発揮。信頼性も十分とあって、二強の一角を占めています。ただ、チームオーダーをドライバーが拒否するなど、チーム戦略が不安要素です。
一方、ポルシェ、キャデラックはやや苦戦気味。この2台は、格下のLMP2をベースに市販エンジンと標準ハイブリッドシステムを搭載するLMDhという規定のマシン。ところが、肝心のハイブリッドにトラブルが多発しているのです。それでも、ポルシェ・963とキャデラック・VシリーズRを敢えて比較すれば、軍配はキャデラック。963の激しいバウンシングは、公道区間の多いルマンでは不安要素。信頼性を含め、ポルシェは厳しい戦いを強いられるでしょう。
日本時間土曜午後11時にスタートする、100周年のルマン24時間。ここにトヨタが優勝すれば、アウディが2度樹立した6連勝に並ぶ、歴代2位タイの偉業達成となります。なお、歴代最多の連勝記録はポルシェの7連勝。ここまで手が届くのか、トヨタの戦いに是非ご注目ください。
新型WRX大苦戦。今年のニュル24時間。
さて、初夏と言えば、ニュルブルクリンク24時間の季節。5月20〜21日にかけて、今年も決勝が行われています。総合優勝争いは、多勢に無勢のドイツ勢に、フェラーリ・296GT3が一人挑む展開。序盤トップに立ったフリカデッリ・レーシングの30号車296GT3が、追いすがる98号車BMW・M4 GT3を振り切って、1999年以来となる非ドイツ車の優勝を飾ります。クラッシュが少ないこともあって、連続周回記録を2周更新する記録ずくめの優勝となりました。
このレースに、スバルは新型WRX S4を投入。意気軒昂気合十分で、世界屈指の難コースに挑んでいました。結果は、、、散々。2度のオルタネータ交換に加えて、エンジン交換を強いられる厳しいレースとなり、目標も果たせずクラス2位。近年稀に見る散々な結果となりました。
新型マシン故の原因不明の冷却トラブルが云々と発表していますが、それは言い訳にはなりません。なぜなら、これがワークス活動だからです。敗北は、メーカーとしての信用失墜を意味するのです。
今回のレースには、幾つも疑問が浮かんできます。新型WRXでは、4月の段階で冷却に問題があることが判明していました。にも関わらず、5月の予選レースでもトラブルが再発。原因究明が出来ないまま、決勝に臨みました。では、エンジンに問題があると分かっていて、どうしてエンジン交換に4時間半も要したのでしょう?また、1月のシェイクダウンテストは富士で行われています。ところが、走行したのは他車と混走のスポーツ走行。プライベーターじゃないんですから、丸1日コース専有くらい出来ないのでしょうか?しかも、30分を計4回と1時間を1回だけ。これだけで、24時間レースに備えが充分と考えたのでしょうか?だいたい、ニュルと全く似ても似つかぬ富士、コース選定は適切だったのでしょうか?拙稿で何度も指摘するように、プライベータだけのクラスにエントリーしておいて、目標がクラス優勝。そこに何の意味があるのでしょう?何も知らない素人を「クラス優勝」の一言で騙そうというのでしょうか?
スバルが本気でレースに取り組む覚悟があるようには、どうにも思えません。覚悟がないのなら、先人の偉業に泥を塗らぬよう、すぐさま撤退すべきです。