スバルショップ三河安城の最新情報。クロストレックS:HEV、和泉店に試乗車登場!| 2025年3月23日更新




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2025年春、和泉店に試乗車がやってきた!ストロングハイブリッド最高!

2025年3月1日、和泉店に新たな試乗車+営業車がやってきました。クルマは、クロストレックのPremium S:HEV EX。つまりは、スバル初のストロングハイブリッドのアイサイトX付き。インプレッサ系では、初のアイサイトX搭載車です。32歳で弊社に転職してきた小生にとって、このS:HEVが5台目のスバル車。人生トータルでは8台目の愛車です。
人生で最初に所有したのは、パジェロの3ドア。エンジンは、ディーゼルターボでした。当時勤めていた「会社」がビンボー一直線で給料激安だった当時、燃費激悪のこのクルマは恐怖でしかなく、燃料満タンにすることは遂に一度もありませんでした。その後、買い替えたのが、中古の初代10系プリウスの前期型。当時は、ハイブリッドブーム前夜。激安で購入できたのです。燃費は12〜14km/Lほどと、隔世の感がありますが、何より可愛かった。中央道の登りでは、敢え無く登坂車線行き。しかも、「亀さんマーク」が点灯すると、高速バスに追い越される始末。ところが、必死に頑張ってる感が、こっちにありありと伝わってくるので、すごく愛らしいのです。その後、海外試験装置メーカーに転職。その客先で見かけたのが、30系プリウス。まぁ、これも縁とばかりに購入。これよりちょっと前に、父が20系を購入していたため、家には3代・3台のプリウスが並ぶこととなります。
30系プリウスは、良いクルマでした。ただ、愛らしくはなかった。一方の10系は、どうしても手放すことができず、実家に置いておいたのですが、ディーラーから10万円買い取りのハナシがあり、これも縁とばかりに私の居ぬ間に引き取ってもらうことにします。ドナドナされていく姿を見ずに済んだのは、幸いと言えば幸いでした。
2013年登場のXV HYBRID、燃費はイマイチだった。。。。

30系プリウスで思い出すのは、忘れもせぬ3月14日。リーマンショックでフーテンの身だった私に、一本の電話。それは、前職の先輩女性からのものでした。曰く、福島第一原発近くに両親がいるので迎えに行きたいが、免許がないので一緒に行って欲しい、とのこと。役立たずの身の私に断る理由もなく、福島行きを受けることにしたのです。
当時住んでいた名古屋インター近くで、燃料満タンに。東名を一路東上後、一般道で待ち合わせ場所に。そこから、未明の東京を北上。封鎖されている首都高・東北道・常磐道・6号は使えず、国道4号で北に進路を取ります。郡山で東に向きを変え、国道6号へ。山中を抜ける感に、再び爆発があったことを伝えるニュースを聞きつつ、現地に到着。帰路、郡山でスクリーニング検査を受診。ここで見たのが、あのガソリンスタンドの大渋滞でした。東京都内で3人を降ろすと、燃料はさすがに心細く、静岡県内の高速内で給油。ところが、ここで告げられたのが「5L」のみの通告。それで、名古屋市内まで無事帰ることができました。
今計算すると、往復1,350km。燃料使用量を50Lとしても、平均27km/Lで走ったことになります。ただ、後にも先にもそんな燃費で頑張ったのは、この時だけ。一世一代の仕事とばかりに、30系くんにも何か期するものがあったのかも知れません。
弊社に転職後、最初に購入したのがスバル初のハイブリッド。GP型XVのハイブリッドモデルでした。現在のe-BOXERの原型になるモデルでしたが、モータは丸っきりパワー不足で、お世辞にも燃費効果があるとは思えませんでした。燃費も15km/Lを超えることは稀で、ちょっとガッカリしたのは正直な処。
18.0km/L目前!!まだまだ伸び続ける燃費。コレがスバル?

そして、今回のS:HEV号。小生にとって、通算4台目のハイブリッド。そのデキは期待を大きく上回り、「素晴らしい1台」になりそうな予感。ただ、記事執筆時点では高速道路には乗れておらず、アイサイトXの体感はできていないことを先にお断りさせて頂きます。高速道路走行については、また別項をまとめたいと思いますので、今暫くお待ち下さい。
では、早速本題。ハイブリッド車ですから、気になるのはヤッパリ「燃費」でしょう。現時点での燃費表示は、17.9km/L。朝は一桁台まで気温が下がるこの時期ですから、決して悪くありません。ちなみに、入れ替わりで現役を終えた我が営業車「XV 1.6i-L EyeSight」は、走行距離:48,457.5km・燃料使用量:3,161.7Lで、生涯燃費:15.34km/L。気温の高い時期は表示上18.5km/Lに達しましたが、気温の低い直近の燃費表示は14.0km/L。それと比べると、S:HEVは随分頑張っているように思われます。
じゃぁ、何処で燃費が伸びているかと言うと、それは下道区間。通勤経路は、下道:1/3+バイパス:2/3の構成。この下道区間を、S:HEVはほぼモータのみで走り切ってしまうのです。また、バイパス上でもごく低負荷時はエンジンカット。こうして、グングンと燃費を伸ばしていきます。
混雑する平日朝の通勤渋滞でも、燃費は大崩れしません。その理由の一つは、補機電源が駆動用バッテリから供給されることにあります。通常、シートヒータ等を使用すれば、補機電源確保のためエンジンはアイドリングで維持されます。これは、MHEV車でも同様です。この場合、駆動用バッテリが満充電であっても、エンジンはムダに回り続けることとなり、燃費は相当に悪化します。しかし、S:HEVでは心配ご無用。補機電源は駆動用バッテリからDC/DCコンバータを介して供給されるのです。
存外に伸びないのは、高速巡航。2.5Lエンジンの太いトルクで高速巡航でも高燃費、と思いきや、そうでもありません。その原因は、軽負荷時のEVモード。頻繁にエンジンカットして、モータ駆動とするため、バッテリ使用率が高く、残量は常に30%ほど。そこから加速すると、エンジンぶん回し状態になって、燃費が悪化しまうのです。もう少し、エンジン低負荷での巡航+充電モードの領域を増やしてもいいように感じます。
1.6tのボディを60km/hを越えてグングン引っ張る、頼もしいモータトルク。

モータトルクは、素晴らしいの一言。結構な負荷でも、力強くこれに応じます。信号発進でも、セッカチ運転でなければ、モータのみでこなしてしまいます。中でも見事なのは、そのフィーリング。加速感だけでは、モータのみか、エンジンが掛かっているのか、判断が付かないほど加速感が自然なのです。これは、実に素晴らしい。
トヨタのハイブリッド車の場合、その加速感はバッテリ残量次第。バッテリが無ければ、スカスカのエンジンでブワーッとダルい加速。バッテリが満タンなら、キーンッとジャークお構いなしの急激加速。スピードが出すぎて戻したり、戻すと回生ブレーキでスピードが落ちすぎたり。。。右足を踏み込む度に加速感が違うので、高速巡航は特に疲れます。
それに比して、S:HEVの加速感はすべて右足次第。右足の踏み込みに応じて、リニアかつ自然に加速がシンクロします。トルクを直接操作している実感があるので、走りのリズムも作りやすいのです。アクセルOFFでも、回生ブレーキの立ち上がりはごく弱め。真に効かせる場合は、ブレーキを踏まねばなりません。でも、これで良いのです。これが良いのです。
モータの最大のネックは、一にも二にもジャーク。つまり、加速度の時間変化。これが大きいと、内臓が揺すられるような感覚となって加速酔いします。その点、エコカーとしては致命的に重いS:HEVの車両重量は、この点では加点要素となるでしょう。慣性マスが大きいため、モータトルクがジャークへ反映されにくいのです。少なくとも、加速フィーリングについてはトヨタ本家以上の仕上がりと言って良いでしょう。
静音性が高いがために、エンジン始動も気になりません。低負荷時は、エンジンは遠くで鳴っている印象。このカテゴリーから考えれば、素晴らしくジェントルな仕立てです。これが高負荷時には、一転して力強いサウンドに変わります。ただ、2.5Lの分厚いトルク感、という感じではありません。熱効率重視で極度にアトキンソンサイクル化されているため、実質排気量はもっと少ないからでしょう。もちろん、ハイブリッド車ですから、エンジンをぶん回してご満悦、というクルマではないのは間違いありません。
新時代のスバルの走りは、如何にあるべきか。S:HEVは、素晴らしい模範解答を示しました。時に力強く、時に燃費良く。それでいて、常にリニアで、常に快適。右足の動きと、シームレスかつ滑らかに連動するトルク。ブレーキについては別項に譲るものの、回生時のフィーリングも申し分ありません。トヨタからTHSを拝借するという、どう考えても難しいプロジェクト。にも関わらず、そのデキに危なげな初物感はなく、素晴らしく完成度の高いものとなっています。限られた時間と予算と、制限された権限と自由度。その中で、三鷹のエンジニアは素晴らしい仕事をやり遂げたと断言できます。
違和感ゼロ!素晴らしい仕事を成し遂げた、スバルのエンジニア。

ハイブリッド車で難しいのは、減速の仕立て。回生ブレーキと油圧式機械ブレーキを併用するが故に、制動力及び減速Gの制御(つまり、回生と油圧のブレンド)が非常に難しいのです。
エネルギー効率を考えれば、全制動力を回生ブレーキで賄いたいところ。鉄道車両では、純電気ブレーキと呼ばれる、停止まですべて回生ブレーキで減速する技術が確立されています。しかし、電力を架線に野放図に返せる鉄道車両と異なり、チョロチョロとバッテリに充電する自動車では、そういう訳にいきません。ある一定の制動力までを回生ブレーキ負担としつつ、それ以上の制動力はすべて機械ブレーキで賄うことになります。但し、フルブレーキング時のような強力な制動力を、即座に立ち上げる必要がある場合は、回生ブレーキは失効とし、機械ブレーキだけで制動力を確保します。
つまり、ハイブリッド車の制動力は、回生ブレーキと機械ブレーキのブレンドによって作られているのです。そこで問題となるのが、そのブレンドマップ。両者の配分とその制御です。ハイブリッド車のブレーキのフィーリングが、兎角不自然なのはこの制御が理由です。10系プリウスはこの辺りが未熟だったのか、減速中に突然ブレーキがすっぽ抜ける感覚になることがありました。30系プリウスでは随分マシになりましたが、依然として機械ブレーキの立ち上がりに伴う制動力変化は明確に感じられました。
その点、S:HEVのブレーキのフィーリングは合格点。右足の踏み込み量に応じて、ごく自然に制動力が立ち上がります。制動中の踏み込み量変化にも自然に対応しますし、回生ブレーキの作動音も心地よく聞こえるので、回生量を意識してブレーキをすることが可能です。
ただ一点、車両重量:1.6tオーバーというネガに関しては、その影響は大きいと言わざるを得ません。やはり、ブレーキ時には重さを感じますし、ストッピングパワーに若干の不足を感じます。MHEV車よりキャリパーが大型化されているものの、軽さに勝るものはないのは間違いありません。安全対策は必要でしょうが、車両重量が野放図に増えては、運動エネルギーが増加して元の木阿弥。コンパティビリティの面からも、重量削減は必須です。
1.6tの車重が、乗り心地にもたらすメリットとネガ。

乗り心地の面では、1.6tを超える車両重量はプラスに作用します。車両重量が嵩むほど慣性マスが大きくなるがために、バネ下に対するバネ上の重量はが増加。結果的にフラットライド感が増すからです。
実際、路面の凹凸のいなし具合は、格段に向上しています。MHEVではダダン!と派手に拾っていた段差でも、タタタンと軽やかに駆け抜けます。ただ、タイヤは若干辛そうな印象。ショルダー面を潰していなしていく感覚です。それでも、乗り心地の点で評価するならば、S:HEVは高い評価を与えてよいでしょう。
乗り心地に大いに貢献しているのが、高い静粛性です。システムを起動し、セレクトレバーを投入。サイドブレーキを解除。この間、車内は静寂に包まれたまま。エンジンが始動しても、先述の通り遠くで鳴っているだけ。とてもクロストレックとは思えないほどの高い静粛性に、ただただ驚かされます。その印象は、動き出しても変わりません。ゴロゴロと僅かにタイヤノイズが鳴る中、ぽーーんぽーーんとバックアラームが車内にこだまするだけ。住宅街にありがちな路面の凹凸を踏んでも、ドタンバッタンなんて無粋な音は一切ありません。音もなく、S:HEVは静かに歩みを進めていきます。
暖気時間は4〜5分。朝が冷え込むこの時期、信号待ちでエンジンはよく回ります。それでも、低音域がバッサリカットしてあるので、音は気になりません。カラカラ、ワンワンと遠くで鳴っているだけ。走り出しの際には、車両重量はさほど意識せずに済みます。モータが強力なトルクで蹴り出してくれるからです。
暖気が済むと、エンジンは知らずのうちにスリープ状態。暖気中に充電されているので、音もなくモータだけで走っていきます。60km/hを超えても、モータで足りる限りはモータのみで走行可能。今の処、モータのみの走行に於いて、速度限界は把握できていません。80km/hでも負荷が無くなれば、エンジンはカットされます。そのため、高速巡航でも室内は驚くほど静か。オーディオの音が良く聞こえます。
路面のアンジュレーションに際しては、重さが気になります。タイヤに若干底付き感を覚えるのです。やっぱり、あと50kgは軽くして欲しかった。。。
リヤを中心にグイグイ旋回する、S:HEVのハンドリング。

NVHでは、優れたレベルに達しているS:HEV。昨年秋の試乗会では、素晴らしいパフォーマンスを発揮していました。さて、街乗りに於ける走行性能、いわゆる「走る・曲がる・止まる」はどうでしょうか。
走行性能面でまず感じるのは、コーナリング中心がずっと後方に移動したこと。リヤに走行用バッテリとDC/DCコンバータを搭載しているため、重心が後方に移動しているように感じます。ところが、車検証データを見る限り、MHEVでは前輪:970kg+後輪:630kgで、S:HEVが前輪:1000kg+後輪:660kg。計算してみると、MHEVで41:39、S:HEVは60:40。データ上では変化はありません。
しかし、コーナリング中の挙動は明らかに違います。MHEVの場合、オーバースピード気味にコーナーに進入、アクセルをONすると、フロントのトラクションで前に引っ張ろうとします。これに対し、S:HEVの場合、コーナリング中にアクセルをONにすると、後輪のトラクションで前に押し出そうとします。そのため、コーナリング中のライン取りは両者で大きく異なります。MHEVでは弱アンダーでスピードを乗せたまま旋回していくのがベターなのに対し、重量が嵩むS:HEVはしっかり減速してコンパクトに向きを変え、立ち上がりでスピードに乗せていくのが善。そう、S:HEVはFRに近いコーナリング特性を有しているのです。
ただ、1660kgと超重量級のクルマ。フロントばかりに負担を掛ければ、タイヤの摩耗は相当なものとなるでしょう。コーナリングの際は、リヤのトラクションをしっかり使っていくことで、フロントの負担を増やさないようにするのが良いでしょう。
S:HEVがこれだけ優れたコーナリングパフォーマンスを発揮できるのは、イチにもニにもパワートレインの完成度が高いから。モータのトルクの立ち上がりの早さは、リヤのトラクション確保に素晴らしく貢献しており、トルクデリバリーのスムーズさはコーナリングを実に滑らかなものにしてくれます。
もし、モータのジャークコントロールが酷ければ、アクセルONの度に挙動が乱れ、コーナリングがギクシャクしてしまうはず。S:HEVは、そんな素振りも見せず、ドライバーの意思に常に忠実に、いつでもトルクを滑らかにデリバリーしてくれます。この信頼感は、本家トヨタのHEVでは到底あり得ないもの。スバルのエンジニアは、実に素晴らしい仕事を成し遂げたと言えるでしょう。