スバルショップ三河安城の最新情報。スバリズムレポート第2弾「航空機はなぜ飛ぶのか?〜飛行機が飛ぶ原理とは〜」| 2018年12月29日更新

 
航空機はなぜ飛ぶのか。

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飛ぶ重航空機と、浮かぶ軽航空機。

Hindenburg burning

1937年5月6日19時25分、爆発炎上するヒンデンブルク号。
Gus Pasquerella [Public domain], via Wikimedia Commons

航空機は、浮力によって飛行を維持する軽航空機と、揚力および推力によって飛行を維持する重航空機に分類されます。

軽航空機には気球や飛行船等があり、構造がシンプルなこれらは非常に長い歴史があります。特に、20世紀初めは飛行船が急発展を遂げていきます。しかし、ペイロード(搭載重量)と飛行速度が限られるため、それ以上の発展は不可能でした。さらに、ヒンデンブルク号の悲劇的な結末は、一つの時代の終焉を告げることになります。

人類は、より大重量を高速度で運搬できる航空機を求めていました。それが、重航空機に分類される航空機です。しかし、その実現には効率の高い翼と、軽くて強力な原動機が不可欠でした。

 

重航空機の分類、それは翼の対気速度の作り方。

MV-22BとCH-53E

駐機する回転翼機CH-53Eを背景に、離艦するティルトローター機のMV-22B。photo US NAVY

重航空機は揚力と推力の合計と、重力と抗力の合計を釣り合わせることで飛行を維持します。そのうち、揚力に大部分を依存する航空機は、その発生形態に応じて固定翼機と回転翼機の2種類に大別されます。

固定翼機とは一般的な航空機のことで、自ら飛行することで翼に揚力を発生させ、飛行を維持します。よって、固定翼機は空中で停止することはできません。

回転翼機はヘリコプターのことで、翼の回転によって相対速度を与えて、揚力を発生させて浮揚を維持します。よって、固定翼機はホバリングが可能です。

ティルトローター機はこの中間です。垂直離着陸時は回転翼機として、巡航時は固定翼機として飛行します。

 

偶然ではない、偉大なる大きな一歩。

Wrightflyer

人類初の動力飛行、その瞬間。
John T. Daniels [Public domain], via Wikimedia Commons

固定翼機の歴史は、1903年12月17日にライト兄弟が初飛行に成功した瞬間に始まります。これ以前から、気球やグライダー等は存在していましたから、現在ではこの初飛行は「最初の継続的に操縦を行った、空気より重い機体での動力飛行」と定義しています。

ライト兄弟は、オットー・リリエンタールの挑戦を大いに参考にしていたと伝わっています。リリエンタールは、鳥の飛行をよく研究し、平板翼よりキャンバ翼が優れていることを発見していました。ライト兄弟は、38種類の翼型を、迎角を変化させながら43の条件で風洞実験を実施。これが、プロペラと主翼の設計によく役立ったと言われています。

 

ニセ理論の方が有名という、翼理論。

Verstellpropeller eines Hurtigrutenschiffes

船舶の推進力を生み出すスクリュー。
Foto von Stahlkocher
[GFDL or CC-BY-SA-3.0],
via Wikimedia Commons

まずは、航空機の基礎中の基礎である翼について見ていきましょう。

翼は、主翼や尾翼のみならず、プロペラやタービンなど、航空機のありとあらゆる場所で使われています。その特性は、形状と大きさ、気流との相対関係によって大きく変化するため、慎重に設計する必要があります。

では、翼はどのような原理で揚力を生み出しているのでしょうか。ほとんどの説明は、大方間違っているので注意が必要です。

等時間通過説

最も多い間違いが、等時間通過説です。翼の上面と下面を通過する空気が、同時に後端に到着する。そうすると、上面の流速が自然的に早くなるから、ベルヌーイの定理に基づけば、上面の圧力が相対的に低下する、というものです。これは、まったくの嘘。同着ではなく、上面の空気が早着します。

飛び石説

もう1つニセ理論があり、これを飛び石説と呼びます。翼は、気流に対して迎角を持つとき、翼下面にぶつかった空気は下向きに流れを変えられる。その反作用として、揚力を得る。ただ、この理論は完全なる嘘ではなく、極めて空気密度が低い高空では、この理論でも説明が可能です。ただ、迎角が0でも、揚力の発生は可能ですから、不完全であるのは間違いありません。

 

風洞実験を行うには、条件がある。

Engineers Check Body Revolution Model - GPN-2000-001473

流れの相似則があるからこそ、縮尺模型で風洞実験を行える。
NASA/GRC [Public domain], via Wikimedia Commons

航空機はそれ自体が巨大なため、風洞実験を行うのに実機を用いる訳にはいきません。かと言って、いきなり飛ばすのは余りにも危険ですし、莫大なコストを要します。そこで重要なのが、流れの相似則です。

相似則とは、ある条件を満たせば、供試体の縮尺を問わず、同じ流れのパターンと空力係数を得られる、というものです。その条件とは、レイノルズ数とマッハ数が一致していること、です。

レイノルズ数とは、流体の慣性力と粘性力の比で定義される無次元量で、流れにおける粘性の影響を表す尺度です。流速と流体の密度が大きいとレイノルズ数は大きくなり、粘性が小さいとレイノルズ数は小さくなります。

マッハ数は、流速と音速の比で決まる無次元量です。マッハ1は、その条件下での音速を示します。音速は気体の密度と圧力で変化するため、条件が異なれば音速も変化することに注意が必要です。高度が上がると圧力と密度が低下するため、音速は低下します。マッハ0.3を超えると、圧縮性の影響を考慮する必要があります。

 

翼の各部名称。

翼型と各部名称

まず、翼の断面から見ていきます。翼は丸い前縁に始まり、鋭く尖った後縁で終わります。そして、上側の方がより膨らんだ断面形状を持つのが基本形です。この断面形状を翼型と言います。

前縁と後縁を結んだ直線を翼弦線、翼の上下面の中央点を結んがのが中心線です。この中心線と翼弦線の差をキャンバーと言い、中心線の反り具合を示します。迎角とは、翼弦線と気流の相対角を指します。一般に、キャンバーが0より大きい場合、迎角が0でも揚力を発生します。

翼厚は翼の最大厚を指しますが、翼の特性を把握するため、翼弦長で割った百分率で示します。これを最大翼厚比と言います。最大翼厚の位置は、前縁から20%前後が多いものの、超音速機では40%程度とされます。

 

変化球の原理、マグヌス効果。翼周りに循環があれば、揚力が生まれる。

マグヌス効果 変化球
循環がある場合の翼周りの流れ

一様な流体中に、円柱を置いてみた場合を考えます。この円柱を回転させると、流体の粘性によって、時計回りに引きずられて、点線で示した循環が発生します。双方の流れをベクトル的に足し合わせると、次のように流れは変化します。円柱上方は圧力が高く、下方は低い。そのため、上向きの力が発生します。

これをマグヌス効果と呼び、野球の変化球の原理としてよく使われます。

これを翼に置き換えてみましょう。翼の周りに循環が発生すると仮定すると、上面の流速は速くなり、下面は遅くなります。上面圧力が相対的に低くなるため、揚力が発生します。

ここで、大きな疑問が生じます。本当に翼の周りを、ぐるぐると空気が回っているのでしょうか。風洞実験で示されている通り、そんなことはありません。

 

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