スバルショップ三河安城の最新情報。自動車デザインの進化は、なぜ止まったままなのか?| 2020年3月4日更新

 
技術ミーティング スバル初のBEV
自動車デザインは、なぜ進化しない?
 
2020年3月4日 自動車デザインに魅力がない。その根本的理由とは?

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シルエットは、20年間ずっと一緒。なぜ、自動車デザインは進化しない?

BMW 3series

21世紀に入って、早20年。しかし、自動車デザインはこの間ほとんど進化できていません。LEDや液晶パネル、空力など幾つかの要件を取り入れることで、多少なりの変化を見出すことはできます。しかし、プロポーション全体で見れば、殆ど進化がありません。

やっと登場し始めたBEVでさえ、革新的存在であるテスラでさえ、プロポーションは全く代わり映えしないのですから、事態は深刻です。

20世紀に遂げてきた進化に比べれば、「完全なる停滞」と表現されるべきでしょう。その根本的原因は、一体何処にあるのでしょうか?

その要因として、自動車デザイナーの役割が変化しつつあることが挙げられるでしょう。

全自動車技術者の「父」であるフェルディナント・ポルシェは、技術者であると共に、デザイナーでもありました。VW・TypeIは、彼が生涯温め続けてきた「理想の自動車」であり、その実現に彼は生涯を賭けていました。彼は、TypeIのすべてをデザインしています。その存在意義から、価格に至るまで。すべてです。だからこそが、ポルシェ博士は、思い描いた通りの自動車を具現化し、自動車工業会に革命的変化をもたらすことができたのです。

他方、現代的な自動車デザイナーはどうでしょうか?そもそも、デザイン自体の内製化が進んでおり、彼らの仕事の範囲は今や薄皮1枚に限定されています。そのモデルの存在意義や、内包する技術等は、全く彼らの支配下にありません。

彼らは、存在意義も中身もすべて定まったクルマに、薄皮を被せてやるしかできないのです。

 

自動車デザイナーは、コンポーザーではなく、リミキサー!?共通モチーフという、束縛。

2019 Mazda CX-30 Sport LUX MHEV Automatic 2.0 Front

マツダは、共通モチーフを導入。モデルよりも、ブランドを訴求する戦略。Vauxford / CC BY-SA

2019 Lexus ES 350, front 11.9.19

レクサスは、強く目を引くスピンドルグリルを共通モチーフとしている。Kevauto / CC BY-SA

例えば、ライズ/ロッキーを考えてみましょう。トヨタ/ダイハツでは、構想段階で既にコンパクトサイズでコストミニマムのSUVを市場投入する、という基本構想は定まっていたはずです。ベースとするプラットフォームは、今後ダイハツ製小型車で標準となるDNGA-Aを採用せねばなりません。

すると、どうでしょう。もう、この段階でデザイナーのやれる事には限界ができてしまっています。大凡のホイールベースや、車両重量、基本的なパッケージングは、あらかた決まってしまっているのです。

ホンダのエディックスやZのように、奇妙奇っ怪奇天烈なクルマは造りようが無いのです。そもそも、現在の自動車デザイナーに劇的変革を期待するのは、土台無理難題なのです。しかも、エディックスとZは、共に商業的には大失敗に終わっています。デザインの良し悪しは、販売に直結します。カッコ悪いより、カッコ良いに越したことはないのです。彼らもサラリーマンです。リスクを犯す自動車デザイナーが少ないのは、当然と言えるでしょう。

新興国市場では、メルセデスやBMWといった老舗ブランドに他を圧する強さがあります。誰が見ても「それだ!」と見分けられる共通モチーフがあるからです。バブル期の日本が、まさしくそれでした。

成長が目覚ましい新興国市場での戦闘力を得るため、各ブランドでもブランドイメージ訴求を考慮して、内外装デザインの共通モチーフへの統一が進められています。こうした共通モチーフの導入は、現代的自動車デザインの戒律とさえなりつつあります。ただ、戒律が強過ぎる余り、マツダやアウディのように車種ごとに見分けるのが困難なブランドも現れてきています。こうなると、自動車デザイナーには、共通モチーフをどう「リミックス」するか、それしか仕事が残されていません。

自動車デザインは変革どころか、ますます束縛が強くなっているのです。

 

低いノーズデザインは、もうご法度!?歩行者保護により、デザインは制限されている。

スバル技術ミーティング 歩行者保護エアバッグ

自動車デザイン停滞の要因として、技術的成約も考慮せねばなりません。

真っ先に挙げられるのが、歩行者保護です。歩行者との衝突時、傷害の程度を抑制するため、デザインに制限が設けられています。

80年代のBMWや、90年代の三菱のような、逆スラントのノーズを考えてみましょう。あんなに不躾に尖っていたら、「轢かれたら、痛そう!」なのは、理解しやすいと思います。今は可倒式となっているボンネットマスコットも同様でしょう。ボンネットの境界線がグリル直上から、若干後退した位置に移動しているのも同じ理由です。この付近を構造的に「弱く」することで、脚部及び腰部への傷害を軽減しようとしているのです。

かつては、ホンダ・インスパイアやBP/BL型レガシィのような、低いノーズデザインに人気がありました。ところが、こうしたクーペライクな流麗なデザインは、今では見られません。低いノーズで歩行者を掬い上げられてしまうため、フロントガラス及びAピラーに激しく頭部を打ち付け、重度の傷害を負う可能性が高いからです。

歩行者との衝突時、ボンネットに頭部が衝突するのが理想的です。現代の自動車には、エンジンとボンネットの間には空間が設けられており、ここが「潰れシロ」となって、頭部に重度の傷害が発生するのを回避します。スバルではこれに加えて、歩行者保護エアバッグを導入。可能な限り受傷を最小限に留めようとしています。

ノーズ高さが決まってしまえば、ベルトラインの高さもそのまま決まってしまいます。となると、プロポーションは変えようがありません。デザイナーたちは、横線を増やしたり、ブラックアウトしたりと、フロントエンドに様々な工夫をこらして、ノーズを薄く見せようと努力しています。しかし、実態としてノーズはどんどん厚くなっているのです。

 

ゼロベースでデザインをするからこそ、革新的なクルマが生まれる。

Audi e-tron 55 quattro at IAA 2019 IMG 0551

果たして、BEVにボンネットは必要なのか?Alexander Migl / CC BY-SA

Mercedes-Benz GLC F-Cell at IAA 2019 IMG 0399

21世紀にあるべきクルマとは、こうしたエコカーなのだろうか?Alexander Migl / CC BY-SA

商業的な要求である、共通モチーフの採用。そして、工業的な要求である、デザインの成約。この狭間にあって、デザイナーたちは自らの作業領域を奪われていきます。さらに、デザインの内注化によって、デザイナーの聖地たるカロッツェリアは衰退を余儀なくされています。

ピニンファリーナ、イタルデザイン、I.DE.A、ベルトーネ。。。かつて、イタリアには世界各国から新進気鋭のデザイナーたちが集まり、カロッツェリアの中で厳しい修行と精進を重ね、彼らは1本1本線を積み重ねて、腕を磨いてきました。彼らの生み出す実験的デザインは、実に挑戦的であり、革新的でした。なぜなら、彼らには「ゼロベースでクルマを考える自由」があったからです。しかも、カロッツェリアにはちゃんと自動車1台を設計・試作できる能力があり、市販に至ったモデルも数知れません。フィアット・パンダなぞはその典型例でしょう。

しかし、今の自動車デザイナーは、とてもゼロベースでデザインをしているようには見えません。BEVなのに、なぜボンネットが必要なのでしょうか?次世代エコカーに、広大な室内空間は必要でしょうか?ワイパーを不要にする発明は、いつ現れるのでしょうか?環境保護が叫ばれる時代、自動車は本当に空を飛ぶべきでしょうか?

自動車デザイナーの仕事とは、自動車に新たな価値を授け、未来を切り拓くことです。過去の偉人たちが、それを成し遂げてきたからこそ、今の自動車があるのです。

しかし、昔は良かったと懐古主義に浸っていても意味がありません。それでは、自動車は「旬」でなくなって、この業界全体が廃れていくことでしょう。やはり、自動車に革新は不可欠です。

自動車にまったく新たな価値を与え、そのクルマを境に自動車史が一変するような1台。全く実現不可能に思えるような芸当に思えますが、それらは本当に実在したのです。

T型フォード、アウトウニオン・Pワーゲン、VW・TypeI、クーパー・T43、VW・初代ゴルフ、BMC・ミニ、シトロエン・DS、シトロエン・4CV、スバル・360、ポルシェ・956、トヨタ・初代プリウス。。。枚挙に暇がありません。こうした偉大なる革新的な挑戦によって、自動車は進化を果たしてきたのです。

 

「Mercedes Vision A93 Concept」という革命的なコンセプトモデルが見せた未来とは?

1993年、フランクフルトモーターショーで「Mercedes-Benz Vision A93 Concept」が発表されます。このクルマこそ、「究極の正しさ」を以てゼロベースで開発されたコンセプトモデルでした。

彼らは、自身の巨大サルーンの存在を全否定する、すべてのムダを切り捨てた「サイズ・ミニマム」こそが、未来の自動車のあるべき姿として「最善」だと提案したのです。

かつて、メルセデス・ベンツは全ての自動車メーカーの「先生」でした。彼らは「最善か無か」を座右の銘に、厳格な戒律を課してクルマづくりを行っていました。特徴的な80年代メルセデスが持つ共通のシルエットは、「ベンツらしく見せる」ためのものではありません。この戒律に忠実であれば、同じシルエットとせざるを得なかったのです。

その提案はメルセデスらしく、実に理に適っていました。当時既に、地球環境の維持は行き詰まりを見せており、あらゆる物がコンパクト・軽量であることが「最善」であると示されれば、「生徒」たちは頷かざるを得ませんでした。それだけ、圧倒的な「正しさ」を備えたコンセプトモデルだったのです。

Vision A93は、床を二重構造とすることで将来のEV化に備えつつ、Sクラスとの衝突でも充分に生存性を確保できるとしていました。小さい=安い=危険という、自動車の方程式を根本からひっくり返したのです。誰しもが、自動車の革新が間近に迫っていると確信したことでしょう。

しかし、市販されたA-Klassは、カタチこそVision A93を踏襲したものの、その実態は単なる背の高いコンパクトカーに過ぎませんでした。加えて言えば、その後のメルセデスがダウンサイジングを志向することも無かったのです。結局、メルセデスはAクラスを単なる「ハッチバック」に意趣替えさせ、理想を放棄してしまいました。

今や、彼らは先生ですら無くなりつつあります。戒律を緩めてしまったからです。今の彼らは「最善か無」かよりも、「メルセデスらしさ」の方が大切なように見えます。

 

稀代の鬼才デザイナーが作った、革新的ミニマムコンパクト「MOTIV」とは。

本来、自動車デザイナーはその存在そのものから、発想をスタートせねばなりません。

時代が求めるクルマ、未来にあるべくクルマとは何か?これをトコトン深く思案し、メカニズム・パッケージングからデザインしていく。タイヤはここで、パワーユニットはここ。荷室はここに確保して、乗員スペースはこれだけ確保する。そして、衝突時にはこれがクッションになって・・・という具合にです。

そうして導き出されるデザインは、絶対に巨大なBEVのような馬鹿げたクルマにはならないでしょう。きっと、Vision A93と似たような、ミニマムサイズのクルマのはずです。

F1で鬼才と呼ばれた屈指のデザイナーであるゴードン・マーレイは、ミニマムコンパクトのプロジェクト「MOTIV」を自ら推進しています。ポルシェ博士もジウジアーロも、生涯の傑作は豪奢なスーパーカーではなく、コンパクトカーでしたから、マクラーレン・F1という稀代のスーパーカーをデザインした彼が、コンパクトカーを求める。その事自体が、とても興味深く感じられます。

MOTIVが目指すのは、究極の効率を実現した、既存の価値観に縛られない、究極のコンパクトカー。そんなことは絵空事、と思う方も多いでしょうし、そう判断している経営者が大半でしょう。実際、ゴードン・マーレイのMOTIVに興味を示す自動車メーカーはありません。

しかし、GAFAがMOTIVを支援したとしたら。。。時代がMOTIVを欲していたとしたら。。。それが出現した瞬間、100年掛けて築き上げてきた自動車工業は、音を立てて崩壊することでしょう。自動車に対する価値観は、根っこからひっくり返るはずです。

 

いくら技術が進化しても、クルマそのものが進化せねば、未来は描けない。

自動車技術は100年に1度の激変期を迎え、加速度的進化を遂げています。ただ、中身が変わっても、クルマの存在そのものは全く進化していません。クルマという存在が、マイナーチェンジを繰り返すばかりで、フルモデルチェンジができていないのです。

未だに「高級=デカイ」という旧来の概念から、全く脱することはできていないのは象徴的な事実でしょう。それには、新興国市場の急発達が災いしていると見て間違いありません。自動車ブランドが、名曲よりもヒット曲を志向するようになったと言えば、分かりやすいのかも知れません。新興国市場は、ポップでキャッチーなクルマを求めているのです。しかし、そうした変化は販売至上主義的変化をもたらすため、デザイナーもエンジニアも、革新より安定を目指すようになります。

人々は、いつも革新を求めています。1960年代、クルマに大衆はワクワクを感じていました。それは、見るも鮮やかに技術が進化していくのを、誰しもが感じられたからでしょう。以来、半世紀。今や、クルマに革新を感じることはできません。

技術が進化しても、その技術がどう世の中を変えていくのか、それをクルマ自身が示すことができていないからです。そもそも、2020年にあるべきクルマの姿とは、どのようなものでしょうか。少なくとも、Vision A93が描き出した未来は、決して今のようなものでは無かったはずです。

 

文責:スバルショップ三河安城和泉店 営業:余語

 

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