スバルショップ三河安城の最新情報。第52回クラブ・スバリズム開催予告:「電気式気動車の系譜〜ハイブリッド気動車の誕生〜」| 2020年7月14日更新

 
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第52回クラブ・スバリズム
 
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文責:スバルショップ三河安城 和泉店

お問い合わせ:0566-92-6115

担当:余語

 

2020年8月23日は、クラブ・スバリズム:電気式気動車の系譜。第2弾は「ハイブリッド気動車の誕生」。

2019年12月、JR東海はハイブリッド式気動車HC85系を報道公開しました。このHC85系は、現行のキハ85系の老朽置き換えを目的に開発された、期待の次世代特急型気動車です。現在は試験走行車4両編成1本が試験に供されており、奥飛騨の厳冬に耐え得るか否か、南紀の塩害に耐え得るか否か、念入りに試験走行が繰り返されています。順調に試験が進めば、2022年を目処に営業運転が開始される見込みです。

ディーゼルエンジンを動力源とする気動車は、いま技術的過渡期にあります。エンジンの小型・高効率化が進む一方、モータ及び制御装置の高効率化、電池技術の高度化により、ハイブリッド式の技術的優位性が高まりつつあるのです。

HC85系では、従来のエンジン2基搭載を1基搭載に半減させても、大容量電池のアシストにより、同等の性能を確保するとしています。JR東海の野心的な技術的目標が達成されるのであれば、ハイブリッド気動車の経済性及び環境性の改善は大いに進展することになるでしょう。

6月のスバリズムでは「電気式気動車の系譜」と題して、戦前にまで遡ってその技術史を振り返りました。今回は、その第2弾。戦後から現代に至るまで、国鉄気動車の技術的発展と現代のハイブリッド気動車の技術的展開について見ていきます。

 

第1弾ダイジェスト「気動車の黎明期と電気式気動車」

スバル1000

エンジン出力を発電機で電力に変換して主電動機を駆動する、ハイブリッド気動車。このハイブリッド気動車が、遥か90年前に実用化されていたことをご存知でしょうか?それは、電気式気動車と呼ばれるもので、気動車技術の発展期に於いて採用されたものでした。ハイブリッドと異なり蓄電池はなく、主発電機の出力制御により、主電動機を制御するものでした。ただ、余りに非効率だったため、液体式に取って代わられ「幻の駆動方式」となったのです。

昭和30年代に至るまで、日本の鉄道の主力であり続けた蒸気機関車。ところが、その熱効率はたった5%(!!)に過ぎませんでした。鉄道省は昭和初期から早々に無煙化を模索しますが、莫大な費用を要する日本全国の電化推進など、まったく非現実的でした。そこで、考えられたのが第3の動力源を用いる「内燃動車」でした。

内燃動車とは、内燃機関を動力源として車軸を駆動する鉄道車両です。蒸気機関よりも遥かに熱効率が高く、煤煙も排出しない内燃機関ならば、非電化区間の無煙化を大いに貢献するであろうと、期待は極めて高かったのです。

1917年、日本に初めて上陸した内燃動車。その車体は、まるでマッチ箱。当時のガソリンエンジンは海外製ですら出力が足りず、車体を小さくするしかなかったのです。それでも、1930年代に至るまでには、車体は徐々に大型化していきました。しかし、出力は常に不足していました。蒸気機関車や電車のような高速運転は、夢のまた夢。ちょっとした勾配さえ、彼らには酷だったのです。

もし、蒸気機関車牽引旅客列車を気動車列車に置き換えるのであれば、2つの大きな技術的課題を克服せねばなりませんでした。一つは、大出力ディーゼルエンジンの実用化。2つめは、連結運転を可能にする駆動力伝達方式の技術確立でした。

1930年代当時、国産ディーゼルエンジンの技術開発は他国に大きく遅れており、ガソリンエンジンが性能・経済性・安全性に劣るのを覚悟で、内燃動車の動力源として採用せざるを得ませんでした。鉄道省は、ガソリンカーであるキハ41000形、キハ42000形を大量製造し、全国に配備を進めていきます。ただ、鉄道省の本命はあくまでディーゼルエンジンでした。1934年、鉄道省は国産試作ディーゼルエンジンをキハ41500形に搭載。各種試験を開始します。以後、試作エンジンの搭載試験を繰り返しますが、石油需要の逼迫の影響もあり、大戦を前に完成には至りませんでした。

当時、駆動方式には専ら機械式を用いていました。これは、自動車のMT車同様のもので、クラッチによって駆動を切って、手動で変速を行う方式でした。ただ、変速を遠隔操作できないため、連結運転の場合は各車両ごとに運転士が必要で、連結も数両が限界でした。これでは、全く非効率であり、客車列車の置き換えなど全く不可能でした。

そこで、開発が進められたのが、「電気式」と「液体式」の2つの駆動方式です。電気式はエンジン出力を発電機で電力に変換。この発電機出力を制御することで、主電動機を駆動・制御する方式です。これに対し、液体式はトルクコンバータのトルク増幅効果を活用しつつ、高速域では変速を行うものです。

1930年、鉄道省は初の電気式気動車キハ36450形2両を試作します。ガソリンエンジンに発電機と主電動機を組合せた方式でしたが、自重は49tに達し、出力は完全に不足。まったく実用には程遠いレベルでした。鉄道省はこれに懲りず、1937年に本格的電気式気動車キハ43000形を試作します。3両固定編成の美しい流線型車体で、動力車は両端の車両で、中間車は付随車。新開発の大型試作ディーゼルエンジンを採用した先進的な車両でした。ただ、装置構成が複雑で重く、新製費用が高額な電気式は、あくまで急場凌ぎであって、本命ではありませんでした。

鉄道省の本命は、液体式でした。液体式は、トルクコンバータを内蔵する液体変速機により変速を行う方式であり、装置構成がシンプル・軽量で制御も容易でした。1936年、鉄道省は神戸製鋼所製試作液体変速機をキハ41000形に搭載、1940年にかけて試験を実施しています。ところが、液体変速機の実用化・量産には、相当の時間を要するのは確実でした。

戦時中、気動車開発は完全に停滞します。「石油一滴、血の一滴」に表されるように、石油はもっとも貴重な資源だったからです。戦火の下、すべてのガソリンカーは休車となり、まったく顧みらることなく、車庫の隅に放置されることになるのです。。。

 

クラブ・スバリズム・バックナンバー

スバル・ヒストリー・シリーズ

 

番外編

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自動運転の歴史と、アイサイトの発展。

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クラブ・スバリズムって、何?

クラブ・スバリズムはスバルを中心に、自動車をもっと深く理解することを目的に設立されました。小生が考えたネタに関する原稿を準備し、役に立つ情報をお客さまに学んでいただこう、というスタイルでした。当初は、エンジンオイルやタイヤ、保険など、真面目な内容を中心に据えていたのですが、第6回を終えた頃には早くもネタ切れ。。。と同時にある結論にたどり着きます。

「役に立つハナシほど、つまらないモノはない。」

そこで、スバルの歴史秘話(トリビアに近いネタ)を中心とするようになっていきます。そんな真面目なネタが続いた後、メンバーのお一人がこう仰ったのです。

「スバルは、そろそろ飽きたよね。」

以後、ネタはスバルとはまったく無関係になっていきます。ポルシェ、トヨタ、フェラーリなど、どんどんスバルから離れていきます。そして、ある時こんな話になったのです。

「そろそろ、クルマももう飽きたね。」

今や、自動車をはるか離れ、トンネルや橋梁、鉄道、航空まで。面白ければナンでもOK。次回ネタは、終了後にメンバーの皆さん全員で話し合って決めるスタイルです。つまり、次々回が何になるかは、まったく未定。<その代わり、とにかく深掘りしていくのが信条。これでもか!と言うほど、深く深く掘り下げていきます。

役に立たないムダな知識ばかりが増えていく、そんなクラブですが、参加をご希望の方はいつでも大歓迎。是非とも、一度ご来店ください。

 

第1回からのクラブ・スバリズム開催テーマ一覧。

スバル1000
スバル1000
スバル1000

2015年4月に第1回を開催して以来、もう4年。クラブ・スバリズムは、これまで様々なテーマを取り上げてまいりました。以下に、その題目を列挙してみました。スバリズムと銘打ちながらも、自動車史全般に広く関心を持って頂きたいので、テーマはスバルに限っていません。

ですので、自動車にご興味をお持ちの方なら、どなたでもお楽しみ頂けます。(他メーカー車ご所有のメンバーも、他店のお客様もメンバーにいらっしゃいますので、お気兼ねなくご来店下さい。)

※過去の回のテキストは、順次Web上で公開していく予定です。遠方のお客様は、コチラでお楽しみただければと存じます。

第1回「エンジンオイルとそのメンテナンス」

潤滑の原理、エンジンオイルの役割と機能、精製方法や歴史、添加剤の分類。

第2回「タイヤの歴史と発達」

人類の古代史における車輪の発達、ゴムタイヤと空気入りタイヤの発明。

第3回「タイヤの選び方とメンテナンス」

タイヤのグリップの原理、エコタイヤ技術の実態、タイヤメンテナンスの基礎。

第4回「自動車保険のギモン・シツモン」

海上保険の始まりとロイズ、保険の原則、自動車保険の保障や特約について。

第5回「スバルの歴史 その1〜中島知久平の生涯〜」

中島知久平の生涯を通して、中島飛行機の栄枯盛衰。半田製作所の建設から終焉まで。

第6回「スバルの歴史 その2〜技師たちの戦後〜」

中島知久平亡き後、散り散りになった技術者たちの戦後。富士重工業の再合同。

第7回「ポルシェ博士の歩み〜天才技術者の生涯〜」

自動車史上最高の技術者、ポルシェ博士の生涯を追う。VWやアウトウニオンGPカーなど。

第8回「フルブレーキ体験〜もしもの時のために〜」

初にして唯一の実体験講座。砂利路面上でのフルブレーキングでグリップ限界を体感する。

第9回「スバルの歴史 その3〜スバル360の開発 自動車産業への参入〜」

富士重工の自動車開発史。P-1の失敗から360の開発へ。大人4人乗れる軽を目指しての苦闘。

第10回「自動運転技術とアイサイトの発展」

自動運転技術の本来意義とその歴史。スバルの安全技術、ADAからアイサイトへ。

第11回「スバルの歴史 その4〜乗用車4WDの誕生〜」

スバルの技術的原点であるスバル1000の開発史。世界初の本格的FF車の開発に挑む。

第12回「西三河自動車産業の成立〜トヨタの歴史 佐吉の生涯〜」

トヨタグループの創始者、豊田佐吉の生涯。豊田紡織の設立からトヨタ自動車の誕生まで。

第13回「西三河自動車産業の成立〜トヨタの歴史 その2 喜一郎の生涯〜」

挙母工場の建設と太平洋戦争。戦後の混乱と労働争議と天才技術者喜一郎の最期。

第14回「乗り心地とは?〜自動車文化と乗り心地〜」

日米欧の道路環境と乗り心地評価の違いを分析。ステア特性と乗り心地評価を学ぶ。

第15回「エンジンの最新技術〜エンジンは今、最期の技術革新を迎える〜」

熱サイクルの原理。熱効率とエントロピー。直噴やVGターボ、排ガス対策、HCCI等々。

第16回「スバルの歴史 その5〜レガシィの開発 混迷からの脱出〜」

技術的低迷期であるレオーネの時代、レガシィの開発へ挑む技術者たちの挑戦。

第17回「スバルFAN MEETING in マキノ高原キャンプ場レポート」

2016年11月5日に開催された、スバル公式ファンミーティングの特派員レポート。

第18回「凄惨な事故の歴史〜技術発達は、尊い犠牲のうえに〜」

鉄道、自動車、航空など日本や世界各地で起きた凄惨な事故の数々。人類が学ぶべき教訓とは。

第19回「スバルの歴史 その6〜インプレッサの誕生 混迷の中に活路を見い出したスバル〜」

水平対向エンジンを継続すべきか否か。スバル社内を二分した激論の末に見い出したものとは?

第20回「スバルの四輪駆動システム〜スバルの個性的メカニズムの根幹に迫る〜」

スバルのAWDシステムの分類と技術的特徴。作動特性と各タイプ別のメリット・デメリット。

第21回「アルシオーネSVXの誕生〜帯に短し襷に長し。混迷ここに極まれり。〜」

ジウジアーロのデザインを愚直に製品化するための技術的難題に挑む。しかし、売れない。。。

第22回「塗装と色〜鮮やかさを競い合うボディカラーの秘密〜」

ボディカラーの技術発達史。ナショナルカラーの歴史。マイカ、メタリック、パールの違い。

第23回「マツダ、ルマン優勝の奇跡〜遥々東洋から来た挑戦者が起こした奇跡〜」

ルマンの歴史とマツダの挑戦。弱小マツダは、完全無欠のメルセデスに如何に勝ったのか。

第24回「エンツォ・フェラーリ〜エンツォの生涯とフェラーリの歴史〜」

謎に満ちたエンツォの生涯とフェラーリの歴史。モータスポーツの栄光の数々に迫る。

第25回「プリンス自動車〜消えるべくして消えた。もう一つの自動車メーカー〜」

スバルの兄弟だったプリンス自動車は、ブリヂストン総帥石橋正二郎に潰された。。。

第26回「プリンス自動車 その2〜日産の伝説、それはすべてプリンスが作った〜」

技術の日産ではなく、技術のプリンスだった。彼らの日本グランプリ挑戦の歴史に迫る。

第27回「サーキット小話〜伝説の生まれる場所。サーキットの数々〜」

鈴鹿サーキット、富士スピードウェイ等々、世界各地のサーキットの解説と歴史の数々。

第28回「トンネル工法〜トンネル掘削の歴史と最先端技術の数々〜」

屈指の難工事である中山トンネル、鍋立山トンネル。そして外環道東京区間、リニアへ。

第29回「最新潜水艦技術〜海深く身を潜める最高機密の塊。その実像とは。〜」

世界最強の潜水艦、シーウルフ級とオハイオ級の技術詳細。相互確証破壊とは何か。

第30回「トラックと鉄道貨物輸送〜なかなか進まない、モーダルシフト〜」

日本の貨物輸送の歴史を辿る。モーダルシフトやダブル連結トラック、自動隊列走行等々。

第31回「東海道新幹線物語〜改軌論争と弾丸列車計画〜」

東海道新幹線建設の裏に隠された、もう一つの幻の新幹線計画とは。その歴史に迫る。

第32回「最新橋梁技術〜街を、風景を彩る、橋梁技術の粋とは。〜」

都市のランドマークとして親しまれる橋梁。その最新技術の真相に迫る。

第33回「商用車ものがたり〜地味な仕事のパートナー〜」

ハイエース、プロボックス、サンバー等々、4ナンバー車の歴史秘話。

第34回「東海道新幹線ものがたり〜線路を枕に討ち死に〜」

国鉄技術陣は世界初の高速鉄道実現に向けて、未知の領域に踏み出す。。。

第35回「ステルス技術〜スカンクワークス奇跡の軌跡〜」

秘密のベールに隠された、米国極秘軍事技術開発の足跡を辿る。

第36回「航空機はなぜ飛ぶのか〜航空機基礎講座〜」

知っているようで知らない航空技術。基礎の基礎からしっかり学ぼう。

第37回「電動機制御の進化〜電気鉄道の進化の歴史を辿る〜」

EV時代を目前に控えた今こそ、温故知新。電気鉄道を通じて、その歴史を学ぶ。

第38回「東海道新幹線ものがたり〜立役者不在の出発式〜」

十河信二、島秀雄、二人が不在のまま行われた出発式。その理由とは。。。

第39回「ダムの建設と技術〜人々の生活を支える巨大インフラ〜」

ダムのはどのように造られるのか。ダムの建設技術、その全貌に迫る。

第40回「高速道路の夜明け〜戦後復興と夢のハイウェイ〜」

日本の道路はビーチか。戦後の惨状から脱し、高速道路建設へ邁進する姿に迫る。

第41回「高速道路の夜明け〜戦後復興と夢のハイウェイ その2〜」

中央道派と東海道案派の熾烈な政争。名神高速先行着手は、その妥協案だった。

第42回「8代目ブルーバード〜日産がキラキラ輝いていた頃の話〜」

神の作った完全な作品を目指せ。主管担当員町田收の無謀な挑戦の記録。

第43回「町田收、世界に挑む〜日産、最高の好機を絶望に変える〜」

WSPCに挑み、ルマン制覇を目指した町田收。グループCの技術と歴史の全貌に迫る。

第44回「碓氷峠の記憶と記録〜66.7‰に挑んだ技術〜」

中山道随一の難所、碓氷峠。明治年間、ここに鉄道を建設した人々の苦闘の歴史。

第45回「碓氷峠の記憶と記録〜煤煙の恐怖と電化〜」

ようやく開通を果たした碓氷線。煤煙と熱気は深刻な問題となり、日本初の電化に挑む。

第46回「碓氷峠の記憶と記録〜粘着運転化と横軽廃止〜」

粘着運転化と複線化による輸送力の大幅増強が実現。北陸新幹線開業により廃線へ。

第47回「碓氷峠の記憶と記録〜新幹線建設と上信越道〜」

天下の険碓氷峠に、新幹線と高速道路を建設せよ。技術の粋を集め、地形克服に挑む。

第48回「RX-7ものがたり〜ロータリー市販への道〜」

ロータリーエンジン開発の記録。会社存続の危機という逆風の中、RX-7開発に挑む。

第49回「技術的偉業10選〜ベストセレクション〜」

ようやく開通を果たした碓氷線。煤煙と熱気は深刻な問題となり、日本初の電化に挑む。

第50回「電気式気動車の系譜〜気動車黎明期ものがたり〜」

現代注目の新ジャンル、ハイブリッド気動車。その始祖、電気式気動車の系譜を辿る。

第51回「RX-7ものがたり〜2代目RX−7開発史〜」

起死回生の大成功を収めた初代RX−7。その歴史を受け継ぐ、2代目RX-7の開発史。

 

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