スバルショップ三河安城の最新情報。スバリズムレポート第3弾「ステルス技術の全貌。」完全版:U-2からF-22まで。| 2019年2月6日更新

 

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マッハ3.2での巡航を可能にした、空前絶後の画期的ジェットエンジンJ58。

SR71 J58 Engine Airflow Patterns
 

出典:Wikimedia Commons

A-12に搭載すべくプラット&ホイットニーが開発したJ58は、空前絶後の極めて画期的なジェットエンジンでした。最大の特徴は、対気速度と外気圧に合わせて、エンジン様式が変幻自在に変化したことです。

エンジン先端には、速度に合わせて位置が変化するノーズコーンを設置。また、エンジン各部に「ドア」が設けられており、その開閉によって空気は多様な経路を辿るよう設計されていました。極めつけは、6本のバイパスダクトで、マッハ3周辺ではこのエンジンをバイパスジェットに生まれ変わらせます。J58は、常に最高の推力が得られるようにすべてが緻密に制御されていたのです。

マッハ3.2に達する時、ノーズコーンは最後方まで後退しています。空気はインテーク内で減速しつつ自ら圧縮されていき、バイパスダクトを経由した空気は、アフターバーナーに達して一気に膨張。莫大な推力を発生させます。この状態では、エンジンコアが発生する推力は全体の20%に過ぎず、80%の推力はインテークダクトのラム圧縮で生み出していました。

J58の最大の欠点は、アフターバーナーの点火に時間差があることで、超音速ダッシュ時に予期せぬ急激なヨーを発生させる可能性がありました。これは、後にエンジン制御が完全にデジタル化されるまで、解決されませんでした。

 
J58 AfterburnerT Pratt & Whitney J58
 

[左]アフターバーナーに点火したJ58は、最大推力151.24kNという途方もない出力を発揮する。排気炎の明るく輝く部分は、ショックダイアモンドと呼ばれる。出典:Wikimedia Commons
[右]側面に見える3本のパイプが、バイパスダクト。J58無くして、A-12の誕生はあり得なかった。 Greg Goebel [CC BY-SA 2.0], via Wikimedia Commons

 

ソ連産のチタンで作られた、ソ連を偵察する戦略偵察機A-12。

IMPREZA STI コンセプトモデル A-12 Production
 

[左]空力加熱によって上昇する、機体表面の温度分布。なお、単位は華氏。[右]チタンは切削性が悪いため、スカンクワークスでは工具から作らねばならなかった。 出典:CIA

 

立ちはだかる問題は、まだまだありました。マッハ3に達すると、機体は空気との激しい摩擦によって熱せられてしまうのです。これを空力加熱といい、計算上では500度以上に達するはずでした。

この温度域にはアルミ合金は使用できません。強度を失って、アメのように溶けてしまうからです。そこで考えられたのは、スチール。しかし、耐熱性の要求は満たすものの、その重量が問題でした。機体が重くなるほど、エンジンは大きく燃費は悪化します。すると、燃料搭載量を増やさざるを得ません。最終的には、航続距離を犠牲にせざるを得なくなって、要求性能未達に陥ります。

スカンクワークスが選んだのは、チタン合金でした。A-12は、機体全体が総チタン製という前代未聞の難関に挑むことになります。最大の課題は、これだけ大量のチタンを何処から調達するか、でした。米国内の備蓄では足りなかったのです。A-12用にかき集められたチタン。原産国表記は、何とソ連でした。

スカンクワークスは、チタンの持つ最悪の切削性に悩まされます。ドリル等の工具が次々にダメになってしまったのです。結局、彼らはA-12よりも先に工具の設計をせねばなりませんでした。

 

機体も、エンジンも、燃料も、潤滑油まも。すべてが専用品。

KC-135Q & A-12B
 

[上]KC-135Qから空中給油を受ける、複座練習機のA-12B。KC-135Qは、専用燃料JP-7をA-12に
空中給油するための専用機。出典:Wikimedia Commons

 

[右]空中給油のために接近するSR-71。主翼上面に見える筋が、JP-7が漏れて流れ出た跡。マッハ3
では空力加熱でパネルが伸び、シーリングが完全になる。出典:US AirForce

続いて問題となったのは、潤滑油と燃料です。空力加熱によって機体全体が300度に達するので、揮発性と引火点の問題から、通常のジェット燃料が使用できないのです。

そこで燃料に採用されたのは、JP-7と呼ばれる新開発の専用ジェット燃料。JP-7は、マッチを投げても火が付かないほど安定性が高く、エンジン始動やアフターバーナー点火には有毒なトリエチルボランが用いられました。

また、潤滑油にはシリコンをベースとしたグリスを使用したため、始動時には予熱して十分溶かす必要がありました。

空力加熱によって機体が伸びることを考慮して設計してあるため、冷間時にパネルの隙間から燃料が染み出すのは仕方ないことでした。そのため、地上での待機中は機体の下にバットを並べて、ボタボタ垂れる燃料を受けてやらねばなりませんでした。これから命を機体に預けるパイロットには、余り気持ちのいい光景ではありません。

A-12は、地上ではすべての燃料を搭載せず、領空内で空中給油を実施。満タン状態からマッハ3に加速するのが、通常のミッション形態でした。

SR-71
 

危うくハードランディングとなるところだった、冷や汗モノの初飛行。

A-12 Schalk Flight, 1962
 

チタン地のまま飛行する、A-12。A-12のすべてのテストは、秘密基地であるエリア51で行われた。
そのため、写真が公表されるようになったのは最近のことである。出典:Wikimedia Commons

 

A-12の初号機の完成に、J58は間に合いませんでした。その為、当初の試験は推力に劣るJ-57を搭載して行われました。

初飛行は、ちょっとした事故でした。1962年4月25日。僅かな燃料しか積んでいなかったために、タキシーテスト(滑走試験)中に不意に浮き上がってしまったのです。テストパイロットのルー・シャルクは慌ててスロットルを戻し、半ば強引に着地!機体はドンッと接地したものの、砂塵に包まれたのです!

砂塵の中に消えた、A-12。ケリー・ジョンソンは、危うく心臓発作に見舞われるところでした。

大きなトラブルにはならず、翌日には正式に初飛行。その後の試験は順調に進み、J57のままでもマッハ1.6に到達しました。並行して生産も進捗し、最初の5機がJ57搭載で完成しています。

1963年にはJ58の本格搭載を開始し、設計通りマッハ3を突破してケリー・ジョンソンを安心させました。

 

空軍に大型防空戦闘機として提案された、YF-12。

AIM-47
 

迎撃戦闘機YF-12は、3発の長距離空対空ミサイルAIM-47をウェポンベイに搭載する。出典:Wikimedia Commons

空軍はF-106デルタダートの後継機として開発中だった、大型迎撃戦闘機F-108レイピアをキャンセル。そこでケリー・ジョンソンは、F-108のレーダと兵装をそのまま流用してA-12と組み合わせる、新たな防空戦闘機として空軍に提案します。これが、YF-12です。完成を急ぐケリー・ジョンソンは、CIAと交渉して7~9号機をYF-12として完成を急ぎます。A-12から遅れること1年4ヶ月。1963年8月7日には、早くも初飛行を実施します。

YF-12は、機体先端部にレーダを設けるため、チャインが途切れて機種部が太くなっており、悪化した安定性を補うために機体尾部にベントラルフィンを追加。また、空軍の要求によって複座化されています。YF-12は、A-12の機密が何らかの理由で破れた場合の「言い訳」としても機能しました。

A-12が高精度カメラを収納するウェポンベイには、長距離空対空ミサイルAIM-47を3発収納。マッハ3.2からの発射と、標的機への命中に成功しています。

 

A-12の存在は秘匿され、YF-12として公式発表された。

YF-12
 

ソ連に対する戦略偵察任務を秘匿するため、最初に存在が公表されたのは、迎撃戦闘機YF-12だった。 出典:CIA

完全に存在が秘匿されてきたA-12ですが、地上管制官には異様な速度で飛行する航空機の存在は知られていましたし、いくつかの事故を起こしていたA-12の存在を隠すのは、これ以上不可能でした。

そこで、1964年2月29日、リンドン・ジョンソン大統領が、マッハ3で飛ぶチタン製の迎撃戦闘機「A-11」として公表に踏み切ります。写真は、機体形状が窺い知れ無いようにYF-12を真横から撮影した写真が選ばれました。

存在が明かされたYF-12は、ソ連から航空機に関する速度記録を奪還すべく、数々の記録飛行に投入されています。そして、1965年にF-12Bとして、計画は正式に承認されます。しかし、ベトナムの戦費拡大に悩むロバート・マクナマラ長官が、これをキャンセル。残存した機体は、NASAに移管されて数々の試験に供されることになります。

 

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